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あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
2021/03/04
「近さ」を巡る百合短編集
『ふたりべや』では二人の恋愛ではない?親密さを描き続ける雪子先生。この短編集『おねだりしてみて』も、様々な「近さ」を描いている。 それは寄り添って安心を得る、という『ふたりべや』に近い内容もあれば、秘された心と向き合い、関係を構築する内容もある。いずれも恋心がどうこうよりも「どうすれば安心できるのか」の方が大切なテーマの様だ。 だから読後には、二人の「続き」への興味と空想が尽きない。興味深い連載のパイロット版が何本も並んでいる様な面白さなのだ。 そしてここから『ふたりべや』も始まる。 ♡♡♡♡♡ ●『おねだりしてみて』隣人の喘ぎ声が気になる。近付き、事情を知り、そして……ラストにビックリ。 ●『魔法少女が将来なりたい職業1位になりました。』魔法少女養成学校に、おバカ女子と賢い親友が挑む!彼女の資質は親友力? ●『No.105』液体になれるけど元に戻れないアンドロイドと、彼女に苛立つ博士の助手。心開けば、彼女は水鏡。 ●『筍と帆立の春雨サラダゆず胡椒風味』不眠症のお姉さんとサラダしか食べない少女、深夜の逢瀬。 ●『泣きたい人は何処にも居ない』彼女は私に傷付けさせる。嫌なのに抗えない、そして彼女は……。グロ注意。 ●『蜂蜜日和』双子の姉妹はいつも密接していて、でも少し内面は違って、それでも一緒にいる。 ●『ふたりべや』連載作品の元になった同人作品。少し設定は違うらしいが、ほぼ一緒。この近さ、良いなぁ。
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
2021/03/03
〈超密着〉二人の同居はもう7年目…
同居物語には大抵、喧嘩が付き物。喧嘩しても仲直りして絆深まるのが物語の常ですが……いやいや、現実なら拗れて終わるでしょ?と思う訳です。 『ふたりべや』の二人は……そもそも喧嘩しませんねぇ、驚く程。 仲が良過ぎて、同居初日から一緒のベッドで寝てるし、頬寄せ、膝枕、手繋ぎ、何かと言うと体寄せ合ってくっ付いている……恋愛抜きでですよ?それを8巻、高校から大学四年まで7年間続けて、本人達も読んでる方も全く飽きない。 しっかり者の桜子は、食いしん坊で面倒くさがりのかすみに、あれこれ世話を焼く。彼女にとってはそれが愛情表現で、やりたい事。でもそれはかなり過剰。そんな桜子をかすみは、やりたい様にさせて置き、喜ぶことで受け止める(意外な程の思慮深さで)。 お互いのあるがままを受け入れ(時に引かれても)相手に素を見せて甘え、寛ぐ。そこには恋愛の甘々や情動ではなく、夫婦という絆でもない、ただ一緒に生活を楽しむだけの、決して壊れない究極の「仲良し」感がある。 周囲には女性同士の恋愛模様が、幾つか描かれる。それを見ても二人の様子は、何も変わらない。私としては、いつか壊れる恋愛よりも、こんな関係性が羨ましい。 物語とか要らない。二人の同級生になったつもりで、この関係性を何処までも眺めていたい。そんな風に思わせる作品です。 (8巻までの感想です)
あうしぃ@カワイイマンガ
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2021/02/25
ジャージィ・ローマンと九十九の敬意
陸奥九十九の闘い方は二通りある、と描かれる。一つは、陸奥圓明流としての効率的な殺人拳。そしてもう一つは、敢えてそれをしない闘い方だ。 陸奥九十九は、これはと思った相手……本能的に恐怖を感じる、それ故尊敬に値する相手と試合う時、わざと相手の土俵に乗る。 相手の得意分野で闘い、正面から互角以上に渡り合った末に、遂に相手を凌駕する。その象徴的な闘いが、第三部・ボクシング編のジャージィ・ローマン戦だ。 「神の声」を聞き、完璧な読みで攻撃を封殺するローマンに対し、陸奥九十九はスピードを何段階も上げ続ける事で「神の声」を置き去りにし、無効化しようとする。 陸奥九十九は試合前も後も、常に言い続ける、「ローマンが怖い」と。そこには「神が怖いのでは無く」という含意と、〈人間〉であるローマンへの敬意があるだろう。 相手の得意分野を凌駕して見せる事で、陸奥九十九は、敵の全てを折る。ローマンの「神」もそうだが、所属団体や流派のプライド、最強の称号、等々。しかし陸奥九十九は恨まれない。敗者は皆、そんな負け方に納得してしまうのである。そして負けて全てを失っても、陸奥との闘いを胸に、先へ進める。 陸奥圓明流という殺人拳を使いながら、相手の土俵で闘うという「敬意」によって陸奥九十九は、相手に爽やかな敗北感と次へ向かう力を与える。こんなに「精神的な」美しさがある格闘マンガもなかなか無い。 ジャージィ・ローマンの、身体では無く〈心〉が闘いを止める瞬間の印象的な1ページを眺めながら、そんな事を思った。 #マンバ読書会 #少年マンガの名バトル
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
2021/02/24
ヒーローは博士ポジ?(「らしさ」の解体)
『魔法先生ネギま!』の私的ベストバウトは、27巻のネギ・スプリングフィールド対ジャック・ラカン戦です。 犬上小太郎とのタッグ戦ですが、終始ラカンとネギの力比べが繰り広げられます。しかし魔法世界最強傭兵に対し、実力的に劣るネギ。それをカバーしたのは、何重にも仕掛けた罠と、天才的な魔法開発力、そしてあらゆる力を取り入れた、なりふり構わぬ戦術でした。 戦いの後、ネギは称賛と共に揶揄されます。「(筆者注:それはヒーローというより)どう考えてもハカセポジションやで!」 (27巻249時間目より引用。口調からして味方の小太郎ですね……) ヒーローらしくない博士ポジの主役……そうネギが呼ばれる時、私は同時代に週刊少年マガジンで連載されたテニス漫画『ベイビーステップ』を思い出します。 ベイビーステップの主人公・丸尾栄一郎は、浅いキャリアと肉体的な不足を補うべく、「研究」と「コントロール」を武器として強豪と対峙する。遂に世界ランカーになる彼ですが、最後までコートで研究ノートを書き続けました。 2000年代末から2010年代にかけて同じ誌面に描かれた、二人の「博士ポジ」主人公。彼らはヒーロー「らしく無さ」がカッコ良くなる、と言う事を示してくれました。 この10年でマンガに描かれてきた、ジェンダーの揺らぎや、新たな文化系ジャンル、もしくはスポーツ漫画の新たな価値観や育成観。そこでは少年マンガに顕著な従来のヒーロー「らしさ」は、解体されて行く。 そしてそこで描かれるバトルは、従来のヒーローバトルよりも更に複雑で、新たな視点からの面白さに満ちている。旧世代代表のラカンを乗り越えるネギの戦いは、その代表例と言えるでしょう。 #マンバ読書会 #少年マンガの名バトル
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
2021/02/20
駄目プロ絵師と世話焼き腐女子
最初タイトルを見て、メンヘラ的内容なのかなぁ、と思ったのですが、そこまで重い物は無かったです。 〈不安定さん〉は、プロのイラストレーター。締め切りに追われ、筆が乗らず、自信も持てなくて……と、クリエイターっぽい苦しみに、布団を被って落ち込むかソシャゲに逃避。その上極度のコミュ障で、打ち合わせの外出すらままならない。 そんな不安定さんと同居する〈しっかりさん〉は、かなり年下のOLで腐女子。世話好きの彼女は同人活動に勤しみながら、不安定さんを支える。 構図としては『2DK、Gペン、目覚まし時計』が近いですが、不安定さんはかえちゃんがコミュ障な感じ、と言うと、その救いの無さが伝わるでしょうか。一方しっかりさんは奈々美ちゃんよりずいぶん幼く見えても、甲斐甲斐しいのは似ている。 不安定さんを叱咤激励しつつ、つい甘やかし、お世話することに喜びを見出し、そして男装した不安定さんにときめいてしまうしっかりさん。腐なのにちゃんと百合しててよろしい! 同居に懐疑的な家族が出て来るのですが、それに対するしっかりさんのアンサーは、なかなか度胸があって、これが推しへの愛なのか……と感激のラストでした。
あうしぃ@カワイイマンガ
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2021/02/18
親友女子のチャレンジ同居生活 #完結応援
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恋人と親友、何が違うのか?と考える。 恋?性欲?……特別感と言う事なら、親友もかなりの物ですよ?百合を「精神的な清い繋がり」という狭い定義で捉えるなら、時に親友は恋人と並ぶ位、百合的だと思うのは私だけでしょうか?(そういう関係性に、私はよくロマンシスという語を当て嵌めます) ルームメイトで同じ会社に勤める伊勢さんと志摩さんは、高校の時からの知り合いですが、親友になるのは社会人になってから。 要領が良くてもドライな伊勢さんと、仕事は出来なくても人当たりが良い志摩さんは、仕事でも日常生活でもナイスコンビ。恋は無くても互いが切り離せない二人は、うん「相方」ですね!(画像は1巻/CHALLANGE10より。周囲から見ても「相方」な二人) 毎日やりたい事、試したい事をチャレンジ表に書き出して、試していく日々は楽しそう。でもこれ、二人だから続くんだろうなぁ……と羨ましくもあり。 恋をしたい!という二人ですが、次第に二人の間には少しの、ズレや複雑さが見えて来る。最後まで読み進めれば、単純なユルフワお友達ではない、互いを奥深くまで受け入れた「親友」の、心震える感情交換が味わえます。 そして全て分かってから、また1巻から読み返してみると……えっ、この時彼女は何思ってたの?という感じで、かなり驚かされる造りになっています。その辺は是非、本編で確かめてみて下さい!