nyae
nyae
1年以上前
読み始め、作者の中村キヨさんが前の奥さんを病気で亡くして別の女性と再婚するところから始まるんですが、別れの部分があまりに衝撃的だったので「その話を描いたエッセイがあるのでは」と思って探したんですけど、多分ないみたいです。そして、作中でも亡くなった方とどのような暮らしをしていたかはほぼ語られません。 メインは酔っ払って道端で座り込んでいたところを中村さんが介抱してあげたことがきっかけで知り合い、結婚(もちろん事実婚)したサツキさんとの生活が描かれますが、その中身は私が想像できるレズビアン同士のやり取りからは想像を遥かに超えるものがありました。 ただそれは、この人達がこうなだけであって、レズビアンとはLGBTとはこういうものという話ではなく、言うなればその辺で生きてるとあるカップルの日常を描いたに過ぎない。 サツキさんには息子が3人いるのですが、当然中村さんとは血の繋がりはありませんので、父と母が1人ずつではない家庭を彼らなりに受け入れなければならない。そこで親が先駆けて周りにカミングアウトするのもありではという中村さんに対し、サツキさんが「子は親を選べない以上、選べることは全て選ばせたい」「遠くの1億人が理解してくれたって、身近な10人が無理解だったら地獄でしょ」と伝えます。ほんとその通りですね。 「愛とはなんなのか」というのも常に問い続けているのも印象に残ります。もちろん答えは見つかりませんが、読者として感じたのは、愛する人が幸せであるように願うこと、かもなと思いました。
sogor25
sogor25
1年以上前
小さいころからミュージシャンになるのが夢だった主人公の葵。 しかし、夢を叶えることができないまま時間だけが過ぎ、彼女は自分に才能がないと気付きながらも現状から抜け出せず、体を売るという"仕事"ことでお金を稼ぎつつショーパブのような酒場で歌うという日々を送っていました そんなある日、"仕事"で謎の研究所のような施設に呼ばれた葵は、依頼主に「プレイを見せてほしい」と言われ、相手としてその依頼主が開発している"恋人型アンドロイド"のゆいを差し向けられます。 そこで一瞬、依頼主が離れて2人きりになる瞬間が生まれるのですが、その時 ゆいに「助けて」と囁かれます。 すぐに依頼主が戻って来たためその場では行動ができなかったものの、葵はゆいに心惹かれてしまう、という導入の物語です この導入からは夢破れた女性とアンドロイドの逃避行が始まりそうな予感がするのですが、どうやらこの作品はそんなにシンプルに物語は展開指定化なさそうなのです。 葵は相手がアンドロイドだということを理解しながらも相手をしていくうちに少しずつゆいに惹かれていくのですが、実はゆいが葵に対して語りかける言葉にはある"ウラ"があり、そうとは知らない葵の心は彼女の言葉にどんどん惑わされていきます。 さらに、この作品の重要な要素として「夢と現実」というキーワードがあるのですが、「葵のミュージシャンになる夢とそれが叶っていない現実」という序盤に登場した要素だけではなく、もう1つ、異なる意味での「夢と現実」という要素が登場し、そしてそのどちらもが葵を苦しめる要因になっていきます 2つの意味での「夢と現実」、そしてゆいの存在によって狂わされていく葵の人生が今後どのような道を辿っていくのか、最後まで目が話せない作品です。 上巻まで読了
nyae
nyae
1年以上前
ここに居たい、とかここに居ても良いんだと思える場所があると、人は自分を肯定できるし、幸福を感じるんだなと思います。 親友に裏切られ、傷つき、癒やしを求めて田舎へやってきた主人公の真由美は、常に「これでよかったのか」と思い悩みながら、必死に自分が居るべき場所を探します。 「東京から来た女性と、田舎に住む女性が出逢って、恋をしました。」という単純な話ではないところが非常に面白いのです。内容からすると、3巻では足りないのでは?と思ってしまうほど複雑な人間関係が描かれているのですが、そこはしっかり3巻で美しくまとめてくださってます。 さらに主人公2人以外に、もう一組のカップルが描かれています。妾の子として親からの愛を受けられず、家の中に居場所がない少女・阿島と、その異母姉妹のさくらです。 言ってしまうと、私は阿島とさくらの関係性のほうが読んでいてドキドキしました。この2人が主人公のスピンオフ、待ってます…!笑 それぞれが、何かから逃げた自分も、何かを受け入れられない自分も、全部肯定してあげたうえで、居場所を見つけていく姿を最後まで見守るような物語です。
野愛
野愛
1年以上前
昔ドラマやってたなあ懐かしいなあなんて気持ちで読んでみました。 ほんとに変わったんだなあ、時代。 坪井千夏はめちゃくちゃ強くていい女で、上下関係や社会常識なんてつまらないものをぶち壊していく的なお話かと思っていましたが、この会社別に平和じゃない?ショムニも他部署も変わらず平和なホモソーシャル。良くも悪くもホモソーシャルな世界観がここにはありました。 豪快で大胆で物怖じしない。下品でデリカシーがなくて、男の数で女の価値が決まるだなんてとんでも理論を振り翳す。 坪井千夏27歳美人OLにこの人格がおさまっているから、ショムニは面白い漫画として成り立っている。 主人公男だったらドラマ化絶対しないよなあ…。 そして今のこのご時世なら、塚原は普通にモテる。そんな気がする。 女が男の中で男と同じ振る舞いをして戦うのが男女平等だった時代から、変わりつつあるんだねえ…なんてしみじみ感じてしまいました。 それにしても8割下ネタなのでよくこれドラマ化したな、うまくやったなあと感心してしまいました。 まあそんなとこに注目せずにコミカル要素だけを楽しむのもよし、時代の変化に想いを馳せるもよし、だと思います!
たか
たか
1年以上前
袈裟姿の綺麗な女性が大樹に座ってる表紙に惹かれて買い2年ほど積読していた作品。こんなストーリーだったのか…! 柔らかくて繊細な絵柄がとにかく美しい!ちょっと西炯子先生の絵に近いかも。ここぞというときの見開きや、いろんなシーンの見せ方がすごく印象的で素敵。 美しいケヤキの木の精霊・ほおずきと先祖の天馬が結婚し、町に住む子孫たちには「起こし」と呼ばれる植物をちょっと元気にするような不思議な力がある…という世界。 人間たちと精霊の心の機微が素晴らしかった。この心の触れ合いという部分は夏目友人帳的な読み味で、「起こし」という和風超能力な設定は恩田陸の常野物語に出てきた「しまう」っぽくて、どっちも好きな自分にはたまらなかった。 そしてなにより主人公の一歩、幼馴染の望音、先祖で精霊のほおずき、そして130年間妻を残して消えた先祖・天馬を巡る複雑な四角関係が最高だった。 美しいほおずきに幼い頃から想いを寄せる一歩…でもほおずきは本来伴侶を失い枯れるべきところを生き延び、130年間健気に夫を待ち続けている。 一歩はだんだん生まれ変わりのように天馬の姿に似てくるが本人には全く記憶はない。 一歩に想いを寄せる望音ちゃんがほおずきをそれはもう的確に傷つけまくってたところが最高でした。悪役として見事。 全2巻でこんなに読み応えがあって面白い漫画は久々です。いい漫画に出会えて良かった〜。 鈴木有布子先生の他の作品もぜひ読もうと思います!
袈裟姿の綺麗な女性が大樹に座ってる表紙に惹かれて買い2年ほど積読していた作品。こんなストーリー...