クマ撃ちの女

17話がピークではない

クマ撃ちの女 安島薮太
toyoneko
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クマ撃ちの女。タイトルどおりの内容の漫画です。女が北海道でヒグマを撃ちます 1巻はヒグマ猟の一般的な話。主人公(チアキ)にクセがあり,少しイラッとする方もいるかも 2巻に収録されている17話は主人公の過去話。あまりにも怖すぎるとTwitterなどで話題になりました https://twitter.com/poranchan/status/1182524075610009600 ただ,私はこのあとの話を追ってませんでした また,正直,このへんがピークでは…?という感触もありました ところが,その後も連載は続き,最新刊はもう7巻 一体どうなってるのだろう…?と思って続きを読んでみると,3巻以降は,それまでとは少し方向性が変わって,さらに面白い物語になってました 3巻では,平気で法律違反をするヤバげな「師匠」が登場し,チアキとの考え方の違いが描かれます 4巻以降で,チアキはクマ撃ちの技量や覚悟を高めていき,一方で,チアキの精神的な危うさ/アブなさも描写されるようになります(特徴的なのは32話) 5巻では狩猟犬が登場します。カワイイ…狩猟犬カワイイ… また,4巻くらいから,猟友会の面々が登場するようになり,チアキの世界/人間関係は広がっていきます(本格的なのは6巻から) 最初は,クセがあるうえ無鉄砲なばかりで,正直,あまり魅力的とはいえなかったチアキが,様々な経験の中で,どんどん魅力ある主人公になっていく(又は読者がその魅力を理解できるようになってくる)というのが,3巻以降のストーリーです なお,6巻まではアンリミテッドの対象です。途中で読むのをやめてしまった方も,また読んでみることをおすすめします

今日から始める幼なじみ

ありそうでなかった関係

今日から始める幼なじみ 帯屋ミドリ
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)

もう、タイトルの「今日から始める幼なじみ」そのままの内容で非常に分かりやすい帯屋ミドリ先生の新連載。一応ラブコメなのかな? 隣の家に引っ越してきた女の子が、同じ中学、同じクラスでさらに隣の席だから気にかけてたけど、どうも引っ込み思案らしくて、ある日放課後呼び出されて言われたことは「私の幼なじみになってください」だった!? ここで出てくる転校生の女の子と同じく、自分は幼少期から転校が多く故郷すらどこか分からないような感じなので「幼なじみ」がほしいという気持ちが痛いほど分かる……!!! ただ、そうじゃないんだ…! 転校してきて航平くんと隣の家で、部屋が窓同士で向かい合ってて、教室でも同じクラスで隣の席ってなったらもう幼なじみになるしかないでしょってそんなことないんですが、非常にいいです。 と、幼なじみ作りに突っ走る楓ちゃんを楽しみつつ、これって彼氏彼女とどう違うんだ?とドギマギする航平くんでもう一楽しみできてお得です。 おそらく二人はこれから距離を縮めていくわけですが、楓ちゃんはどこの時点から幼なじみも恋人に変わり得るということに気づいていくのか、見ものです。 https://kuragebunch.com/episode/3269632237305143755#

ケーキの切れない非行少年たち

原作も読了しましたが・・・

ケーキの切れない非行少年たち 鈴木マサカズ 宮口幸治
六文銭
六文銭

新書で出ていた原作も読みましたが、漫画として絵になるとグッとリアリティがでますね。 漫画家さんも「「子供を殺してください」という親たち」といった、 ノンフィクション系を描くのが巧みな方なので、より強く印象に残りますね。 原作でもそうでしたが、非行少年というと、どうしてもヤンキー系のオラオラした少年をイメージしがちだったのですが、 本作では、 「そもそも悪い行為だと理解できない」 「悪いとわかっていても他に方法が思いつかない」 といった軽度な知的障害に分類される少年たちが、犯罪にそめる様を描いおり、これが衝撃的でした。 それを端的に「ケーキのきれない」(円を3等分にできない)と表現するのは、キャッチーでありながら、深くに心に訴えかけます。 初等教育からつまずき、徐々についていけなくなって、 最後はこぼれ落ちていく少年たちの焦燥感や孤独感を丁寧に描いており、 だからこそ読んでいて苦しくなることも多いです。 が、これが現実なのだと思うと、教育について色々考えさせられます。 非交少年の問題を知る上で、とてもタメになる作品だと思います。