封神演義

唯一無二「フジリュー」というセンス

封神演義 藤崎竜
六文銭
六文銭

まず、皆思うのが、巻数を重ねるごとに 「絵柄変わってない?」 ということだと思います。 最初のほうはシュッとしているのに、だんだん靴とかガンダムみたいになっていきます。 本題。 小さい頃どハマリして再読。 今でも、最後にかけて畳かける摩訶不思議な展開は、ドラッグやっているかのような中毒性があります。(ドラッグやったことないけど。) 中国の古典怪奇小説『封神演義』を原作としながら、作者の類稀なるセンスによって大胆にアレンジしたところが、本作の魅力だと思います。 SF、ファンタジー、ギャグ、バトルの要素を取り入れつつ、ちょいちょい美形キャラも出して…といった上質な少年漫画として仕上がってます。 自分自身、『史記』における『キングダム』同様、 有名原作を「忠実」に再現したから面白いわけではないと常々思っているんですね。 同じ題材でも、ストーリーの構成や演出、登場人物のキャラ付けなど、作家によって異なりますよね。 そこが、ポイントなのだとしたら、作者のもつ独創的発想と幻想的なデザインに、摩訶不思議な古典小説が、見事にマッチしたからでしょう。 本作がここまでヒットしたのは、そこにあると改めて思いました。 余談ですが、何年たってもスープーシャンは可愛いっすね。

逃げ上手の若君

異能は歴史マンガでも主人公のチョイスがすごい

逃げ上手の若君 松井優征
六文銭
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歴史が好きなんです。 おそらく、多くの歴史好きがそうであるように、自分も 戦国時代(信長とか)⇒幕末(龍馬とか)という、 いうわゆる「どメジャー」から入ったものです。 戦国、幕末時代は登場人物全てにドラマがあっていいですよね。 ・・・と思っていた時期が私にもありました。 というのも最近、戦国、幕末はいささか食傷気味だったので、 鎌倉後半~室町に戻ったのですが、 「え? この時代が一番おもろくない?」 ってなってます。結構、本気で。 語ると長くなるので割愛しますが、 この時代の、いつまでも政権が決まらない、天皇も派閥が別れたりしたグダグダっぷりが、世紀末感あって自分好みなんすよね。 ここに人間の権力に対する欲望というか、獣の闘争本能というか 、そういうのが随所に垣間見えて、理性をもつ人間のプリミティブな価値観をぶつけてくれるんですね。 楠木正成のような英雄もでてきて良いスパイスです。。 幼い頃歴史の授業を思い出しても、いい国つくろう鎌倉幕府(今はいいくにじゃない)程度の知識しかなく、室町も金閣くらいしか記憶になかったので、目からウロコでした。 さて前置きが長くなりましたが、本作はそんな時代の鎌倉最後の話。 足利高氏が次の時代をつくる英雄としたら、 敵側の鎌倉・北条時行が主人公の話。 この人選が、松井優征という異能の為せる技だとうなります。 歴史マンガで普通、こちらを主人公にしますかね? 最近、この辺を噛んだからホクホクしてますが、知らない人はどうなんだろ?気になります。 作家のネームバリューによって読む人もいるかもしれませんが、 歴史を知っている側としては、本当に面白い歴史上の人物です。 ネタバレになるので控えますが、何度も鎌倉再興で抵抗し(実際、実現した)た人物なので、 そこらへんがドラマチックに描かれること期待して読んでます。 「ネウロ」「暗殺教室」の松井優征だけに一本道ではいかない感じが2巻からでも、ビシビシ伝わってきて、上記のクセのある人物とマッチしてそうです。 今後の楽しみな作品の1つです。 余談ですが、楠木正成のシーンでてくるかなぁとわくわくして読んでます。