すみれ先生は料理したくない

おにぎりを握ると鈍器になっちゃうピアノの先生

すみれ先生は料理したくない 大久保ヒロミ
nyae
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こんな面白いと思わなかったー!笑い泣き必至。 ピアノの先生という職業と、見た目の美しさで私生活も優雅でパーフェクトだと思われてしまう主人公・すみれ。その実態は…ピアノ教師は忙しい割に薄給なうえ、なによりも「料理が苦手でやりたくない」。やりたくないならやらなくて良いと思うけど、やたら料理の腕を試される場面が多いのがかわいそう。笑 すみれは地がお人好しなので、その度に努力はしてみるものの結果が全くついてこない様が申し訳ないけど笑えるんです。おにぎりが鈍器と手榴弾になっちゃう。なかでもクッキーを作ろうとする回がいちばん秀逸です。あなたはクッキーが焼けたときに「誰もいないっ…!」って言ったことありますか? 困った時はバズレシピで有名な“キッチンお兄さん”のツイッターに頼るのが今風。 そんな自分を受け入れてくれる料理上手な王子様が現れてくれるのを待ってるところは少しイタいけど、すみれがピアノクラブの講師をしてる幼稚園のイケメン朝日先生(優しい)や、ギャル先生(料理上手い)、料理家である朝日先生の姉など、すみれの今後を左右しそうな良いキャラがたくさん出てきます。3巻がもう待ち遠しくてしょうがない!

統合失調症日記

当事者によるユーモアにあふれたエッセイ漫画

統合失調症日記 木村きこり
ひさぴよ
ひさぴよ

1巻が面白かったので2巻も購入。「面白い」という言葉が適切かどうかわからないけど。わたしが知ってる統合失調症の知識というのはネットやテレビで聞きかじった程度のものなので、何かを知った気になるつもりもないのだけど、それでもこのマンガは何かが凄い作品なのではないかと思うに至った。 そもそも、精神性疾患を取り上げた作品は世に数多くあるものの、自分の知る限りでは統合失調症を描いた作品はあまり見かけない。 外部からの視点で描かれた作品はあるにせよ、本人が自ら筆をとった漫画となると、さらに少ないはず。 (パッと思い浮かぶのは卯月妙子先生の作品くらい) これは、当事者が「自己を客観視」して表現するということが、いかに難しいかを物語っていると思うし、まだ世間の関心や理解度が追いついてないという事かもしれない。 「統合失調症日記」というストレートなタイトルの為、誤解されたり、敬遠されてほしくなくて、まず作者のきこりさんの独特の世界観だったり、ユーモアセンスがあって漫画として面白いので、少しでも興味があれば読んでみてほしい。 ちなみに、紙の単行本の値段設定は1100円ほどで、電子書籍版だと600円ほどで購入できる。

14歳の里山レシピ 東吉野で、いただきます。

奈良吉野の里山ごはんに癒される……

14歳の里山レシピ 東吉野で、いただきます。 元町夏央
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

【「ごはん日和」作品ピックアップ①】 ぶんか社から出ている、「食」がテーマの「ごはん日和」という雑誌をご存知ですか?漫画誌でありながら、表紙に作品名や作者名がほとんど無く、代わりに描かれている料理名がふんだんに散りばめられている、という徹底したテーマ性がすごいこの雑誌。 幾つか単行本化された連載があるので、面白いものをピックアップしてご紹介してみます。(ちなみに先週レビューした『釣りとごはんと、恋は凪』もこの雑誌連載) ※※※※※ 仕事も婚約者も捨てた30前の男は、東京から奈良県東吉野村の祖父の家に逃げて来る。疲れ果てた男は、隣人の中学生女子に「すき焼き」をご馳走になる。……なんだこれ、美味っ! ※※※※※ このすき焼きの肉、実は地元のブランド牛。「ここは自然いっぱい、美味しいものいっぱい!」という女子中学生・海青子に、その後も美味しいご飯をもらい、彼は元気を取り戻していきます。 三輪そうめんなど特産品あり、季節の野菜や竹の子もあり、クレソンやハーブもその辺で採れ、素材は豊富。更に人助けするとお礼に色々もらえる田舎の食生活は豊かで、羨ましい! 食材は海青子の手で見事な料理になり、二人で感動しながら食べているうち……辛いことってなんだっけ? 海青子の方にも重い過去がありながら、そんなことは全く感じさせない元気さ。 色々あっても、ごはんの間は棚上げして、そのうち時間が解決してくれる……そんな食による「精神の回復」の過程を見せ、穏やかな気持ちにさせてくれます。 気軽に読めて、奈良吉野の食知識とリラックス効果を得られる、疲れた人におすすめの作品。本当に恋愛要素も犯罪要素も、面倒なことは全くないので、安心して! ----- 【「ごはん日和」作品ピックアップ】として、以下の作品を取り上げています。 ①14歳の里山レシピ 東吉野で、いただきます。 ② 笑とお兄ちゃんのなりゆきごはん ③ 午前4時の白パン 【描き下ろし漫画付】

釣りとごはんと、恋は凪

「カップル釣り」って、上手くいくの?

釣りとごはんと、恋は凪 小池田マヤ
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

普段は女子の話を、相槌を打ちつつ大人しく聞いている私だが、もし女子が「彼氏と釣りに行きたい!」と言い出したら、やめときな?と言ってしまうかもしれない。その位、「カップル釣り」は微妙な問題を孕んでいる。 『釣りとごはんと、恋は凪』は、「カップル釣り」の典型例とその可能性について考えさせてくれる、釣り漫画としては一風変わった作品である。 ……いきなり喧嘩かよ! 彼氏の釣りについて行くかで揉めた樺山ユキは、「釣りなんかできっこない」という彼氏への当て付けに、いきなり一人で乗合船に!……まあ酷い目に遭うが、隣のカッコいいお姉さんに教わって、初釣果!そして大量のお裾分け。その美味しさに感動したユキは、釣りに積極的になる。 時にお姉さんと釣りを共にするが、お姉さんは教え上手で面倒見がいい。 それに引き換え彼氏は、やっと一緒に行くようになったが、教えるのは下手だし自分の釣りに夢中でユキは放っておかれるし……男って駄目ねぇ。 そんな2人を繋ぎ留めるのは、釣果を美味しくいただくこと。2人とも料理上手で食いしん坊。不機嫌で釣行から帰ってきても、美味いものとビールで仲直り!羨ましい! 釣り漫画としては、釣法の説明もありつつも、釣りの楽しさや釣れない悔しさ、その他様々な感情を描き出し、あるある!と共感させてくれる。そしてどんな感情を持ち帰っても、最後には魚を料理して食べて、解決! 因みにこの漫画、『ごはん日和』(ぶんか社)という食に関する漫画を集めた雑誌の連載。道理でご飯が美味しそうなわけだ(ちょっと珍しいレシピもあって、興味深い)。 「カップル釣り」を検討中の方も、失敗した事のある方も色々気づく点のある、釣り漫画の珍品と言えるだろう。