アフタヌーンの感想・レビュー500件<<89101112>>囲碁、算術、天文…数々の人々の想いを繋ぎ、江戸の改暦事業へ挑む歴史時代劇 #推しを3行で推す天地明察 槇えびし 冲方丁starstarstarstarstarひさぴよ巻末で原作者・冲方丁氏もベタ褒めするほど完成度が高く、天文ジャンルのマンガとしても、歴史マンガとしても非常に優れた作品です。 原作の力も凄いですが、作画・槇えびし先生の人を惹きつける静謐な表現力がとにかく素晴らしい。 渋川春海の弱さとも取れる謙虚さ、優しさが、歴史に残る一大事業へと向かわせるのですが、中盤から終盤にかけて盛り上がってゆく物語なので、ぜひ最後の9巻まで通して読むことをおすすめします。古本屋で見かけたので買ってみた電夢時空 高山和雅名無し高山和雅って数年前に青林工藝舎から「天国の魚」「鎮魂巡礼」を出した人だよな?昔はアフタヌーンで描いてたんだ!と驚いたのでちょっと読んでみたくなり購入してみました。ものすご〜く絵も上手いし、SFとしても面白いけど、やっぱり読み手を選ぶ作家だよな…と思いました。決して万人受けはしない。でも作者本人にもそういう自覚があるようで、表紙カバーに記載されてる作者コメントに「こういう漫画をかいて、発表の場を探すことが、私自身の戦いです。」と書いてあって、この人は昔から戦ってるんだなと感慨深いものがありました。全1巻として完璧な終わり方でしたが2巻もあるようですね。掲載時の評判がよかったということだろうか。中毒性のヤバい薬物みたいな漫画星のポン子と豆腐屋れい子 トニーたけざき 小原愼司にわか表紙から予想できないジェットコースター的展開。でありながら人間の倫理観を問いかけるようなSF漫画としての完成度も高い。風呂敷畳まで文句なし。いや、すごい 試し読みで、その面白さの片鱗が見える。ぜひ読んでみて欲しい http://www.moae.jp/comic/hoshinoponko/1?_ga=2.154199995.208182216.1615057429-1531232728.1615057429最近で一番良かった四季賞は石読み 薄雲ねずstarstarstarstarstarひさぴよ近年のアフタヌーン四季賞は、どの作品もハイレベル過ぎると思いませんか。 「最近で一番良かった四季賞は?」と聞かれたらしばらく悩むのは確実。もし一つだけ選べるなら、この『石読み』(四季賞2020冬)を選びます。ちょっと気が早いですが。 何も知らずに読んでしまったが世界の孫 SABE名無し孫顔の中学生・甘栗甘水が出会った者すべてを孫パワーで狂わせていくギャグ漫画…だったのですが、どんどん話が逸れていきイカしか出てこないわ格闘マンガになっていくわで一体どういうことなのか?と読み終わっても困惑していました。SABE先生のお名前を検索してようやくピンときました。私は元奥様のファンなのでお名前だけ知っていたのですがコアな作風だと聞いていたので、逆に月刊アフタヌーンというメジャーな雑誌でも描いていたことに驚きでした。二世帯住宅で巻き起こるセクハラ攻防戦吉田家のちすじ 中島守男starstarstarstarstarウマタロ男ばかりの吉田家に嫁いできた多香子さん(30歳) 隙あらば男どもからセクハラをかまされ、自らもラッキースケベを提供して、吉田家の男たちを興奮させるという日常を描いた作品。 昭和っぽさがまだ残る時代設定だが、令和に同じことをやってたら炎上間違いなしの内容である。 直接的なエロ描写が少ないだけに、なんというか全体から漂うムッツリ度合いが非常に高い。自分も男だけど、こうして客観的に男の性欲のしょうもなさを見せつけられると情けなくも笑えてきてしまう。僕と学園祭と運営スタッフというひとたちとの思い出スポットライト 三浦風名無し読んでたら大学のときの記憶が蘇ってきた。個人的な話なんだけど、学祭スタッフのウェイノリみたいなのが苦手で逸崎元貴のことをあまり好意的に見れないというか、ビビりながら読んでしまっている。魅力的な人物だというのもわかるのだが…。 大学の学祭の運スタってあんな感じでテキトーさと熱さと冷たさが入り混じってるというか、うまく使い分けてるみたいな人が多くて、自分が振り回されていた個人的な思い出が蘇ってきたのでそういう人物像をうまく描けてるんだな〜と思う。(もちろん真面目な人もたくさんいたけど)というかどこの大学でもあんな感じの「運営スタッフ」がいるんだろうか。 何よりツラいのが未だにこんなことを考えている自分の陰キャぶりを思い知らされてしまうこと…けど読んでしまう。なぜ俺はこの漫画を読んでいるんだ…うう…。 水彩の色合いが堪らない #読切応援ねむれない FiokLee名無しコマ枠がなくて四角い絵の端がじわっと滲んで曖昧な感じとか水彩の絶妙な色合いから、悪夢にうなされる眠れない夜の辛さが伝わってきます。 次回作をいつまでもお待ちしています…! #読切応援美しすぎる!オールカラーの四季大賞受賞作ねむれない FiokLee名無し明日仕事だから少しでも眠らないと…ああ眠れない。という経験がある人は多いと思います。慢性的な不眠はつらいものです。このお話ではとにかく眠れないある一夜、青年が過去の引っ掛かりから抜け出すようすが描かれます。 オールカラーで、そしてたぶんアナログ着彩で描かれる珠玉の16ページは四季賞大賞にふさわしい。とってもハートフルポチとボク 松冨まこと名無しいいですね、イケてますね。かなり好きです。 ある女性の「イヌ」に徹していた男・ポチとたぁ君という幼児のこころの交流のお話。ほんとうなら絶対子どもに近づけてはいけない種類の大人たちなんですけど、まったく薄汚れた感じはしなくて、オチも最高でハートウォーミングな作品になってます。さすが四季賞受賞作家だなあ。 http://www.moae.jp/comic/pochitoboku 硬派SFを絵に落としたらこうなるという新装版 BLAME! 弐瓶勉狐優曇華序盤は本当に硬派なSFでこんなのよく連載続いたな、アフタヌーンえらいぞっと思える。 中盤からは次第にセリフも増えてきて登場人物も長生きしたりストーリーらしきものが削り出されてくるのでわかりやすいと言えるがそれでもやはり硬派感がすごい 最後まで説明らしき説明はないし、とても淡々と進む物語なんだけど、アニメ化したりフォロワーも多く、この作品の成功によって勇気づけられて生まれた作品も多そうだ。そういう意味でパイオニア的存在に思える。美しい残酷ヴァンデミエールの翼 鬼頭莫宏狐優曇華読んだのはだいぶ前ですが今でも印象に残っていてたまに思い出す。 なるたるより前だったと思いますが、負けず劣らずな残酷さ・・・でも美しい・・・ やりきれない気持ちになりたい時読むといいかも。私も最近読んでないので電子で買おうかな。読後感は▶︎ピザとコーラマージナル・オペレーション キムラダイスケ 芝村裕吏漫画の海テーマは重いのに、スピーディーで読みやすく、アクション映画のよう。夢中になれる。 アフタヌーン2021年3号で最終回マージナル・オペレーション キムラダイスケ 芝村裕吏名無し※ネタバレを含むクチコミです。藝大受験に落ちた私が古傷の痛みに耐えながらブルーピリオドを読むブルーピリオド 山口つばさhysysk※ネタバレを含むクチコミです。「遠い食卓」ってそういうことか!遠い食卓 イシダナオキ名無し表紙からして面白そうだったので迷わず手に取りました。タイトルに「食卓」とあるのでグルメ漫画かな?と思っていましたが、なかなかご飯にありつけない状況を描いたコメディーでした。だから「遠い食卓」なんですね!大半は一話完結の物語ですが登場人物がリンクしたり、群像劇のように話が展開するのもあって面白かったです。どうしても反抗期の娘と一緒に夕飯を食べたいから、仕事が出来る人なのにあえて左遷されようとするお父さんの話が好きでした。 ゆるそうに見えて良質なハードSF漫画ベントラーベントラー 野村亮馬starstarstarstarstarひさぴよ※ネタバレを含むクチコミです。アニ研ものって定期的に面白いのが出てくるよねハックス! 今井哲也さいろく「映像研には手を出すな!」でアニメ映像を作る学生達のストーリーが話題となったの昨今ですが、アニメを作る学生さん達の作品は定期的に生まれていると思うのです。 「迷走アニ研部」ていう同人も読んでて面白かったんですが、描きたいことがきっと共通しているのです。それはきっとアニ研の楽しさだったりアニメの素晴らしさだったりアニメを作る大変さだったりなんだけど、それをマンガにするだけだと商業的に成り立ちにくいのでどうしても奇抜な方向に行きがちなのです。 この「ハックス!」は商業的に難しい方の路線ですが、ちょいちょい学生であることによる面倒くさいところが含まれてたりして(映像研はそこも深堀りしてますね)バランスが難しいんだけど、ハックス!のとっつきやすさは絵柄なのです。 失礼ながら画力でいうと中の下ぐらいな印象だけどそこも相まって善悪がわかりやすすぎるがために深読みしなくて済むのも良いところで、これもストーリーに集中できるポイントであると考えます。 学生時代アニ研に憧れる事はなかったけど、実際どういうことしてるんだろうなーという興味はちょっとあったなー 見てみたかったなー などと歳を取ると昔の自分に活を入れに行きたくなりますね、しみじみ。一歩退いてみると猛烈に恐ろしい青野くんに触りたいから死にたい 椎名うみさいろく彼女はとても可哀想だし、これは中学生というところで想像したら「どうなってもいい」という彼女の想いが本心で強い気持ちなのだけはわかる。 中学とか高校のころってそのぐらい強い真っ直ぐな気持ちあったもん。 でも、この状況はよく考えたら本当に恐ろしい。 電柱がこんなにしょっちゅう出てきちゃダメだろ、おかしいって…怖いって…! ネタバレしないようにするとこれ以上クチコミ書けないもん、すごいよ。 そういうわけでこの作品は1巻の序盤で究極の状態になるので1巻だけ読むだけでもすごくわかると思うのでまずは1巻を読もう。 ちなみに私も彼氏彼女ではないものの中3のときに友人を亡くし、中二病を発症した私は当時TVCMでよく永瀬正敏が宣伝してたスクリュードライバー(お酒)をコンビニで買って彼のお墓に月1ぐらいで持っていってました。イタい。 大好きな姉を蘇らせたい主人公は禁術を求め道教の世界へ飛び込むネクログ 熊倉隆敏starstarstarstarstarひさぴよこれの前作の「もっけ」では日本の妖怪を描いてましたが、 今作は近代中国を舞台にした、道教における仙術・妖怪漫画です。 ざっくり説明すると、大好きな姉を蘇らせたい主人公が、道教の世界に足を踏み入れる、という物語です。 中国の道教の世界観が本格的に描かれているので、日本でお馴染みの仙人やキョンシーとはイメージが大分異なります。 仙術や世界観について細かい説明はされないですが(そもそも道教とは明確な定義が無いらしい)、それ故に道教へのリアリティを持たせているように感じます。 巻末などの参考文献を見る限り、作者の熊倉隆敏氏は妖怪に対する深い造詣を持つだけでなく、道教についても相当調べられているように思います。 まぁ道教の知識がなくともマンガは楽しめるのですが、それだと魅力が伝わりきらない可能性はあるかもしれません。 図書館などで参考文献の本を借りて読んでみたり、ネットで少し道教について調べるだけでも、より深く作品を楽しめるのは間違いないです。言葉では説明できないような奇想天外な展開ばかりですから。 仙術バトル以外にも、ぎょっとしてしまうようなエログロも多いので、やや読者を選ぶタイプの作品かもしれませんが、全4巻で伏線もきっちり回収し、綺麗に終わっていて読後感の良い作品です。 「カブのイサキ」1巻の感想カブのイサキ 芦奈野ひとし名無し地面の広さが10倍になった地球で、飛行機が移動手段の基本になった世界で生きるひとたちを描きます。 藤本タツキ先生がジャンプフェスタでおすすめしていたのを聴いて気になって読んでみた次第です。ちょっとミステリアスなお姉さんのシロさんと、素直にパシられてる純朴なイサキ少年の組み合わせ…。 なるほど藤本先生がお気に入りな理由、『チェンソーマン』を読んでるとちょっと納得かも! 1巻だけではこの世界の成り立ちなどまだまだ分からないことだらけですが、のんびりした空気と地に足ついたキャラクターの雰囲気がたまりません。 なにより広大な世界から本当に風が吹いてくるかのように感じられる飛行シーンが素敵! 続きもじっくり読んでみます〜。今さら読んでないと言えなかった寄生獣 岩明均かしこ名作なのに読んでない漫画が自分にはたくさんあるのですが、中でも「寄生獣」がそうで、今さら読んでないと言えない漫画の第一位だったのですが、もう読み終わりましたので一安心です。ずっとミギーだけで会話を乗り切ってきましたが、これからはパラサイトとか田宮良子とか言ってやろうと思います。 読むのが遅かったので、偶然にも「骨の音」「風子のいる店」「寄生獣」の順番で読んだのですが、「寄生獣」がズバ抜けて面白いとは思いませんでした。完全版に収録されてた岩明均先生のコメントを読むと「自分には登場人物よりも出来事をベースにしたストーリーが合っていた」とあったので、その違いはあるかもしれません。あくまで個人的な意見ですが…。 それは愛だった手指の鬼 鏡ハルカ野愛これは凄いそりゃ大賞になってもならなくてもなんにせよ世界に見つかりますでしょ、と。 優しくて美しい鬼の忘れられない記憶。 優しくて美しい鬼との忘れたいような記憶。 鬼の気持ちに寄り添えば、救いのある物語のような。 よかったね、とは言えないけれど。 それは愛だったと気づくのは、すべてが終わってからなのかもしれません。泣いたTie your shoes 川合円名無し子供の頃の、些細ではあるけど大人になっても決して消えない心残りってある。大抵の場合は、死ぬまでそのままか、自然消滅するかだろうけど、この話ではちゃんと決着がつくところがものすごく気持ちいいし、感動した。 言葉の通じない異国の人間に親身になることって結構難しい。どうしても子供に対する態度みたいになってしまいがちで、相手の人となりを知るに至るまではかなりの時間が必要。 出会ってからたった4ヶ月で、友達といえるのかも微妙な関係のまま別れることとなってしまったウィリアムとノゾム。大人になってから再会したとき、当時は見えなかった(見ないようにしていた)事実を知ることに…という話でした。再会によってあの一緒にゲームしたりした短い日々が宝物に変わったんだと思うと、泣けます。<<89101112>>
巻末で原作者・冲方丁氏もベタ褒めするほど完成度が高く、天文ジャンルのマンガとしても、歴史マンガとしても非常に優れた作品です。 原作の力も凄いですが、作画・槇えびし先生の人を惹きつける静謐な表現力がとにかく素晴らしい。 渋川春海の弱さとも取れる謙虚さ、優しさが、歴史に残る一大事業へと向かわせるのですが、中盤から終盤にかけて盛り上がってゆく物語なので、ぜひ最後の9巻まで通して読むことをおすすめします。