名無し

10代やそこらの年齢で、ひとつの目標に何年もかけて全力を注ぐという経験はなかなか出来ないですが、やはりそういう道を選ぼうと自分の意志で決められる人は、尊敬するなと読んで思いました。

主人公の少女・朝顔が、宝塚音楽学校への受験に失敗し、年齢制限によってその道が完全に閉ざされてしまうところから始まり、ひょんなことから音楽学校への入学を志す少女・くるみの指導係をつとめることになる話。

一度はドン底に突き落とされダンスや歌自体から離れようと決めた矢先に、再びこれから受験をしようとする人を目の前にして生まれる複雑な感情。
そんな中でくるみが直面する課題や、家庭の境遇に触れ、グラデーションのようにゆっくりと変化し、少しずつ整理されていく朝顔の気持ちの表現が素晴らしかった。

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夏・ユートピアノ

夏・ユートピアノ

ピアノの調律の家業を継ぐため実家に戻った新(あらた)。彼女はそこで他人との交わりを拒否するかのような生き方をしている饗子(きょうこ)と出会う。響子は国際的なピアニストの娘だった。未熟な二人がピアノを通して少しずつ交流を深めていく。近づいては離れ、一瞬の理解と寄り添いに喜びを感じつつ、二人は自分の人生を生きていく。他に四季賞2021春のコンテスト四季大賞受賞作で、発表時に大きな話題を呼んだ読み切り『あさがくる』も収録。

2021年春の四季大賞受賞作!にコメントする