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10代やそこらの年齢で、ひとつの目標に何年もかけて全力を注ぐという経験はなかなか出来ないですが、やはりそういう道を選ぼうと自分の意志で決められる人は、尊敬するなと読んで思いました。
主人公の少女・朝顔が、宝塚音楽学校への受験に失敗し、年齢制限によってその道が完全に閉ざされてしまうところから始まり、ひょんなことから音楽学校への入学を志す少女・くるみの指導係をつとめることになる話。
一度はドン底に突き落とされダンスや歌自体から離れようと決めた矢先に、再びこれから受験をしようとする人を目の前にして生まれる複雑な感情。
そんな中でくるみが直面する課題や、家庭の境遇に触れ、グラデーションのようにゆっくりと変化し、少しずつ整理されていく朝顔の気持ちの表現が素晴らしかった。
【四季賞2021春 四季大賞受賞作】大学受験のため予備校に通う朝顔は、自分が失敗した宝塚音楽学校に挑むくるみの指導を頼まれる。くるみにかつての自分を重ねつつ、受験に失敗したダメージで、省みることが出来なかった自分の成長の過程を振り返る。(アフタヌーン2021年6月号)