ヤングアニマルの感想・レビュー165件<<12345>>小林多喜二もびっくり #1巻応援新約カニコウセン 原田重光 真じろう兎来栄寿まさか、あの『蟹工船』がこんなSFバトルマンガにされるとは小林多喜二氏も想像もしなかったことでしょう。 この『新約カニコウセン』は、日々命懸けで「蟹」との死闘を繰り広げる立場の弱い奴隷のような労働者と、彼らを支配する者を描いた作品となっています。 恐ろしい進化を遂げた「蟹」とのバトルシーンは非常に激しく、緊迫感があります。傷つけ過ぎると商品としての価値が損なわれるのでただ殺せばいいというわけではないのは、モンハンでの捕獲の難しさを髣髴とさせます。 アクションも良いのですが、この作品の一番の見どころは何と言っても原作『蟹工船』に通底するテーマ性です。原作が書かれてから100年近くが経ちましたが、労働者の苦しみは今の世でも不変。もう少し未来になれば、AIなどによる労働が普及して人間が働かなくていいようになり事情も変わっているかもしれませんが、過酷な労働を課せられて命まで絶ってしまう人は令和になっても存在します。 しかし、もし仮に人間が全く働かなくて良くなったとしても、別の面で人間は互いを相対比較してマウントを取り争いを起こし優越感に浸る体験を求めて止まないし、それによって傷つき悲しみを抱える人間は尽きないであろうなという絶望感を感じさせるエピソードが描かれます。 SFバトルアクションになりはしましたが、一見した印象とは違い深奥のテーマとしてはしっかり『蟹工船』を踏襲しており、リスペクトも感じる内容です。 時代を越えて人間の普遍性へ響く名作の力を感じずにはいられませんでした。力強さに感動した。3月のライオン 羽海野チカクロキ羽海野チカ先生の絵が大好きなので読みました。 零という孤独な少年が、将棋によって再生していく、涙なしには読めない感動作です。決勝の名人との将棋戦が最高でした。歴史好きなら楽しく読める!信長の忍び 重野なおき名無し元々戦国時代が舞台の作品が好きなのと、アニメ化されていたので気になって読み始めました。少女の忍者が主人公で、信長に仕えて天下泰平を目指し戦う話。平和にかける思いが印象に残ります。歴史とエンタメのかみ合わせが秀逸天竺熱風録 田中芳樹 伊藤勢名無し相当にマイナーな題材なのに小難しさがなく説明もスッと入って来て読みやすかったです。個性あるキャラクター達による駆け引き、バトルついには合戦を織り交ぜながら6巻を一気に読了しました(余韻がまた素晴らしい)。伊藤勢作品の中でも最も薦めやすい作品であり、個人的には現時点での最高傑作だと思っています。 謙一郎、革命を起こす!PUNK 長尾謙一郎starstarstarstarstarかしこ漫画家の長岡謙一郎が妻と子供と暮らすマンションにファンを名乗る黒人の巨女シモーナがやって来て「この世界は〈悪い奴ら〉にコントロールされてる」「お前の漫画を読んでピンときた」と言われ一緒に革命を起こすことになってしまう! 夢と現実が混ざっているようなめちゃくちゃな話なんだけどめっちゃ面白い。謙一郎が総理大臣とキスしたり戦争が起きたりヤバいシーンがたくさんあるんだけど、漫画業界をくさするネタが一番ドキドキする!これぞPUNKだ! 漫画喫茶のパタリロの棚の後ろに秘密の部屋に繋がるスイッチがあったり、檸檬が爆弾になったり、所々の小ネタがかっこよくて好き。すべてのひとに読んでほしい作品ホーリーランド 森恒二野愛学校にも家庭にも居場所がない少年・神代ユウが不良狩りとして街の伝説になっていくストーリー。 ひ弱な少年が強くなり周囲を見返すといった単純な物語ではない。 強くなればなるほどに苦悩する神代の弱さや優しさがなによりも印象的だった。 暴力への嫌悪感と高揚感の狭間で思い悩んだり、仲間を傷つけられた怒りで我を忘れたり、過去の対戦相手と友情が芽生えたり……常人離れした力を身につけながらも、繊細で素直な神代に強く惹かれた。 誰といても何をしていても虚しかったり、かつての神代のように自分の居場所がわからず心を殺して生きている人はたくさんいるだろう。 街に出たら、拳を繰り出したら何か変えられるかもしれない。 今いる場所が全てではないんだ、歩みを止めなければ世界は変わるんだということを神代の生き方が教えてくれた。 今まさに悩み苦しんでいる人にも、通り過ぎて何も感じなくなってしまった人にも、もちろんそれ以外のすべての人にも是非読んでほしい作品だった。不死者と死の匂い #1巻応援勇気あるものより散れ 相田裕あうしぃ@カワイイマンガ死の匂いがする、と感じて読み進める。不死者の物語であるはずなのに、登場人物の誰もが死と隣り合わせの様な、妙な悲壮感で前のめりに進んでゆく。 不死の眷属の女性と、彼女から血を分けられた元会津藩士。不死者を殺す事ができる刀を求める二人の戦いは、「大切な者」を殺す予定に向かって進んでゆく。 新たな目標に再び生き甲斐を見つける元会津藩士。美味しい食べ物を知る不死の女性。活き活きと前進し、刀を振るって躍動する二人。 しかし切られれば深く傷つくし、強力な敵の前に危険は尽きない。不死者の尊厳を奪う構造は江戸幕府滅亡後も残り続ける。そしてなんと言っても「不死者を屠る刀」という、強力なジョーカーの存在。残酷さに震えながら、読む手を止められない。 そこにある切なさからは「強力なサイボーグだが代償に短命を宿命づけられる」という『GUNSLINGER GIRL』と同様の、悲しい袋小路を想起してしまうが……。 元・武士が「母親を殺したい」不死の少女と出会う勇気あるものより散れ 相田裕名無し※ネタバレを含むクチコミです。ガンスリファンに絶対刺さる勇気あるものより散れ 相田裕mampuku※ネタバレを含むクチコミです。最弱少年の再起ホーリーランド 森恒二名無し森恒二さんってこういう漫画書かれてたんですね イキイキとしてる感じがありました 最弱少年なのにヤンキー狩りを始めるというギャップ! そして作中で「僕自身ナイフを持った相手と対峙したことがありますが…」と描かれていてヤンチャな方なのかなと… なんにせよ面白かったです! 「ただ離婚していないだけ」のアナザーストーリー読切ただ結婚しているだけ 本田優貴名無し※ネタバレを含むクチコミです。仕事を頑張ろう!と思える拳闘暗黒伝セスタス 技来静也黒木公一アニメを見たのをきっかけに読みました。 拳闘をやっているセスタスという主人公が每日生き残るために戦う話。 人が死んだり、別れがあったり、勝ったり、色んな場面で感情が揺れ動き、泣ける。自分も頑張ろうと思える漫画。果たして完結するのか。ベルセルク 三浦建太郎秘密探偵ファンタジーマンガの傑作です。 主人公が障害者っていうのがすごい。 ただし、ここ数年間、年間数回の連載のため話が進まない。 最近アニメ化もされたけど、中途半端に終わってしまった。 自殺島の前日譚無法島 森恒二六文銭自殺島が好きだったので本作も最新刊(2021年4月現在の最新4巻)まで読了。 読んだ感想は・・・自殺島とほぼイコールですね。 自殺島が自殺志願者が集まったのに対し、凶悪犯のみが集められている設定。 また、主人公が、元々野球で基礎体力があるのも前回とは異なる点かな。ポテンシャルがこちらのほうが高い。 ただ相変わらず、この島でヒャッハーする輩がいて、主人公たちと相対していき、自分たちは自分たちのコミュニティで根をはっていく流れ。 どちらかというと自殺島の、漁したり狩猟したりのサバイバル部分が好きだったので、本作はそれよりも抗争が多めで(まぁ、無法島なので)全体的にちょっと重めですね。 主人公は冤罪ですが、他の登場人物は色々抱えてここに来ているので、それに悩み苦しむ感じなど暗い展開が多いです。 ただ、段々と、主人公に無実の罪をなすりつけた張本人がでてきたり、抗争相手のジンボ組織が内紛で瓦解しかけてきたりと、物語が大きく動きはじめた感じがあるので、今後が更に楽しみになってきましたね。 自殺島とどうつながっていくのかな? 自殺島で使っていた道具が、実はこの作品の〇〇とかだったら胸アツですね。 女性向け風俗、略して"じょふう"じょふう(読切) 甘詰留太名無し※ネタバレを含むクチコミです。ゆるパニえち奇譚てなんだよさやかちゃんはおしっこがしたい! 堀田阿伴名無し※ネタバレを含むクチコミです。 いい漫才の外の漫才だったかぶけ!「いちご同盟」 コニシリュウイチ名無し※ネタバレを含むクチコミです。女漫才師のネタ合わせを描いた読切かぶけ!「いちご同盟」 コニシリュウイチ名無し※ネタバレを含むクチコミです。久しぶりの良作人類を滅亡させてはいけません 高畑弓 蒲夕二名無しこの手のジャンルの中ではピカイチ!表情がコロコロ変わるリリンちゃん可愛いし、これから色々と成長が楽しみ! 100%可愛い!人類を滅亡させてはいけません 高畑弓 蒲夕二名無し可愛い漫画! テンションの高いよつばとって感じですね リリンちゃんが宇宙人幼女なので普通の花火浴衣回の話もちょっとベターから逸れて違った感じになってる気がします!いま日本一行きたいバー今宵のよいこちゃん 松田舞名無し小4の女の子がカウンターに立って接客してくれるバーとか行きたすぎ… 宵子ちゃんが宿題してるところ見てるだけでもいい。天竺を救った外交官、王玄策という男のロマン天竺熱風録 田中芳樹 伊藤勢ANAGUMA中国史に詳しい方なら王玄策という人物をご存知なのでしょうか。 一行でまとめるなら彼は「出先のインドで投獄されたから脱獄して内戦に介入し、解決に導いた一介の外交官」といえます。「そんなマンガみたいなやつがマジでいたのか?」と思って読むわけですが、どうやら居たようです。完全に居た。『天竺熱風録』を読めば分かる。 より興味を持っていただくためにもう少し王玄策のことを紹介しましょう。 7世紀・唐の時代、玄奘三蔵法師とほぼ同時代の人物だといったらわかりやすいはず。王玄策も三蔵法師と同じく、天竺(インド)の地を踏んだ人物です。もっとも彼は僧侶ではなく修好使節団のリーダー、すなわち外交官でした。 本作で描かれるのは王玄策の二度目の天竺行で、これがなんとも波乱に満ちた旅となります。 やっと辿り着いたインドは交流のあったハルシャ王が死去しており、得体のしれない集団が王権を握っている状態。玄策は簒奪王アルジュナに仲間を殺されたうえ、使節団まるごと投獄されてしまいます。 極限状況で彼が導き出したプランは、 ①脱獄して隣国ネパールに向かう ②ネパール王に助力嘆願して兵力を借りる ③友軍とともに天竺の首都カナウジに舞い戻る ④アルジュナをボコる ⑤仲間を救う。HAPPY!! という大胆不敵なものでした。詳しく書くほどに「マンガか?」となるわけですがどうやら歴史上の人物らしい。 彼がどう決断し、次に何を見せてくれるのか「一体どうしてこんなことが出来ちゃったんだ?」と結果がわかっていても常にワクワクドキドキです。伊藤勢先生が「外交山師」と評するとおり、武力に頼るのは必要最小限、血を流さず知恵によって状況を打開しようとするスタンスも魅力的なんですよね。 そして賢い彼を取り巻くキャラクターも全員キレ者揃いでとにかく話が早い。頭のいいキャラクター同士が会話しているときの気持ちよさがずっと続きます。 特にネパール軍のラトナ将軍が超イカす!気がつけば彼女の麾下の兵士と声を揃えて将軍を全力で推していることでしょう。 当時の軍事状況や地政学的な知識に裏付けされた描写も圧巻で「7世紀のインドってこんな雰囲気だったんだろうな」という説得力が半端じゃありません。インドを旅したこともあるという伊藤先生のあとがきは本編を読み解くうえで最高のコラムです。 一方でマンガ的なケレン味もバッチリ備わっていて、具体的には怒りのデスロードを爆走しているかのような象戦車とかが出てきます。歴史の知識がしっかりあるから遊び心も映えるんだなぁ。 「原作を読んだときにぱっと絵が浮かんだ」と語られるラストカット、これがまた最高にシビれるのでぜひ最後まで読んでいただきたい次第…インドの風を感じながら、ロマンあふれる男の生き様をド級のエンターテインメントとともに味わえる快作です。 ラッコと暮らす、癒やしの日々。 #1巻応援OL、ラッコを飼う。 井上知之sogor25会社勤めの普通の OL・時庭ゆとりさんと彼女が飼っている"ラッコ"との生活を描いた作品。 ラッコといっても、例えば表紙にもあるように時庭さんと一緒にゲームをしたり、ほかにも水族館やイチゴ狩りに一緒に出かけたり、家では一緒にお酒を飲んだりとほとんど人間と同じような振る舞いをしています。 かと思えば ベランダに積もった雪を見てはしゃいだり、遊びたいと駄々をこねたりと、幼い仕草を見せることもあります。 この、恋人でもなければ友達でもない、大人な付き合いもできれば子供っぽいところがある、そんなラッコとの共同生活のなかには、ゆったりとした癒やしの時間、そして忙しなく生きていたら素通りしてたかもしれない日常の様々な気づきで溢れています。 日々忙しく働いていてプライベートでの癒やしを求めている、そんな人にこそ読んでみてほしい作品です。 1巻まで読了ビットコインを題材にしたサスペンス漫画ジェネシスコード えりちん 鷹野浪流かしこビットコインを作った人の正体は今も明かされてないって知ってました?それこそ漫画みたいな話ですが、この実話をベースにしている漫画です。ホワイトハッカーの主人公がネットアイドルと一緒に謎の「人質ゲーム」に巻き込まれるという話で、本格ITサスペンスと謳われてますが仮想通貨?なにそれ?みたいな私でも楽しめるエンタメな内容になってます。えりちん先生の描く女の子はやっぱり可愛いですね。ファンなので連載もってくれて嬉しいです。<<12345>>
まさか、あの『蟹工船』がこんなSFバトルマンガにされるとは小林多喜二氏も想像もしなかったことでしょう。 この『新約カニコウセン』は、日々命懸けで「蟹」との死闘を繰り広げる立場の弱い奴隷のような労働者と、彼らを支配する者を描いた作品となっています。 恐ろしい進化を遂げた「蟹」とのバトルシーンは非常に激しく、緊迫感があります。傷つけ過ぎると商品としての価値が損なわれるのでただ殺せばいいというわけではないのは、モンハンでの捕獲の難しさを髣髴とさせます。 アクションも良いのですが、この作品の一番の見どころは何と言っても原作『蟹工船』に通底するテーマ性です。原作が書かれてから100年近くが経ちましたが、労働者の苦しみは今の世でも不変。もう少し未来になれば、AIなどによる労働が普及して人間が働かなくていいようになり事情も変わっているかもしれませんが、過酷な労働を課せられて命まで絶ってしまう人は令和になっても存在します。 しかし、もし仮に人間が全く働かなくて良くなったとしても、別の面で人間は互いを相対比較してマウントを取り争いを起こし優越感に浸る体験を求めて止まないし、それによって傷つき悲しみを抱える人間は尽きないであろうなという絶望感を感じさせるエピソードが描かれます。 SFバトルアクションになりはしましたが、一見した印象とは違い深奥のテーマとしてはしっかり『蟹工船』を踏襲しており、リスペクトも感じる内容です。 時代を越えて人間の普遍性へ響く名作の力を感じずにはいられませんでした。