mothers 草原うみ短編集
母なる瞬間。それは静かな祈りのようで―― 喪失を抱えるふたりの母の心の葛藤を描いた表題作「mothers」。突然開けた新しい世界を前に揺れ動く少年とその姉を描いた「蝶になる日」。 親子、家族、人間関係の複雑さを優しさあふれる視点で真正面からとらえた珠玉の12編。 秘めた気持ちがあふれ出す、新鋭・草原うみの初短編集。
チャック・アンド・ザ・ガール
当代一のイラストレーター、サイトウユウスケによる初コミック作品! 「私は思い出す。海と坂道に囲まれた街。大切な人との夢のような時間――」 私の名前はエイミー。お母さんに連れられて、アメリカ・ロサンゼルスから横浜の町に引っ越してきた。寂しいかって?ううん全然。だって、外国に住むなんて、クールじゃない?おばあちゃんもカッコよくて、いい感じ!私はここで暮らしていくんだ! 青春の一歩手前。ひとりの少女が経験する眩いばかりの光、そして影。人生に二度と訪れることのない、輝かしいワンダーイヤーズ。国内外で数々のアートワークを手がけてきた稀代のイラストレーター・サイトウユウスケのライフワーク“Chuck and the Girl”の世界が一気に広がる! 「大人になったらわかるんじゃなく、きっとわかるために大人になるんだ。僕らの人生とどこか重なる、猫と少女の物語。」(KANA-BOON・谷口鮪)
関内で暮らす二人について
東京都内に住むイマイ君とミキちゃんのカップルは横浜、みなとみらいのど真ん中・関内に引っ越すことに。「ミキと俺は違うヨコハマが見えてると思う」。煌びやかな景色の分だけ影ができる。関内で暮らす対照的な二人の生活。そこでは、互いの見えなかった部分が忘れ去られた横浜の風景とともに照らし出される。2020年、今井新が関内文庫での個展に出展した作品。
べじたぶるサンドイッチ
強くなりたいと心から願いながらもケンカがめちゃくちゃ弱い不良高校生・つくしは、ある日動物園から脱走したライオンと対峙することに!! 鋭い牙が向けられたその時、飛び蹴り一発でライオンを打ち倒したのは、小柄な女子小学生のわらびだったーー。激ヨワ不良の師匠は最強小学生!? 前代未聞の凸凹コンビ、ここに誕生!
We are connected
女子会。今夜7時の約束。私たちは生活を楽しむ。私たちは何ひとつ悪くないのだから。 今夜7時の合コンを待つ、スリリングな時間が流れる女子会の後、4人が選んだ行動は——? 新鋭・菜緒都が描く、静かなるポリティカル・ダイアローグ!
絵が上手くならない問題
画力とはいったい何か?スケッチ、色、デッサン、パース、デザイン…いや、私は何を描きたいのか?描きたいものはどこにある?すべての絵描きに贈る「本当の気持ち」。くらげバンチ同人誌大賞奨励賞作品。
アイアムジョンキャントリー
僕の名前はジョン・キャントリー。イギリス人。いわゆる戦場カメラマンだ。日本では友人の名前「今井新」で活動している……なぜか? 日本の東北地方は2011年の震災後、独立の機運が高まり、ついには戦闘状態となってしまった。いまや独立を果たそうとしているこの地には、海外の武装組織もやってきて戦況は泥沼化している。その国を調査するため、僕は常磐自動車道を北上し、最前線である福島県に入ろうとしていた。“F”として国外で高く評価される本作は現代美術家・今井新が描いた3.11以後の東北のパラレルワールド。そこにあるのは不都合なフィクションか、それとも――。
ここにあるだけの記憶を煙にからませて
「そう遠くもない昔、精華寮は確かに存在した。様々な国の人間が衝突を避けて暮らしたが、建物は燃え尽きてしまった。」 怠惰に生きるごく普通の青年・イマイはMr.コライというホームレスの老人から、精華寮なる建物に住んでほしいと依頼される。そこで青年が見たものは「生活そのもの」であった。Mr.コライは言う。「故郷」とは、人の生まれ育った場所を示す言葉だ。だが必ずしも生まれ育った場所を故郷としなくても良いのだ。かつて実在し、焼失した集合住宅をモチーフに現代美術家・今井新が描く、確かにそこに在った“生活の記憶”。