文春e-bookの感想・レビュー42件犬といられる奇跡と幸せと愛 #1巻応援老犬とつづ井 つづ井兎来栄寿″愛犬というのは愛が犬のかたちをしているという意味です″ もう、冒頭のこの部分からして「流石つづ井さんッ!」と膝を打たずにはいられませんでしたよね。 『腐女子のつづ井さん』、『裸一貫! つづ井さん』でお馴染みのつづ井さんが、いつもより少し穏やかなテンションで綴る老犬Aとの思い出の物語。あえて名前を公表しないところにも、つづ井さんの想いが伝わってくるようです。 最初に断り書きがある通り、「犬が死ぬ」「犬が死ぬまでの話」です。読む前から「こんなの読んだら泣くに決まってる……」と思いながらも、つづ井さんの優しくて面白い筆致で読まないという選択肢はなかった犬飼いです。 Aは、グレートデンや土佐犬に間違えられるほど大きなラブラドール。たまにいるんですよね、規格外に大きくなる子って。私の知り合いでも、1歳ちょっとで20kgになり30kgを超えてから先は計るのが怖いと言われていた超巨大芝を飼っている方がいます(そもそも「芝」が小さいという意味で成犬の平均が10kgくらいです)。でも、大きい子はまた大きい子のかわいさがあるんですよね。小さい子がかわいいのはもちろんなんですけど。 老犬になってもなお成長してできることが増えていく部分があったり、人間への甘えが不足していたりという部分は、考えてみれば人間でも同じようなところはあるよなぁ〜学びだとなりました。 つづ井さんがソファで寝ている時に、近寄ってきてひとペロしてそばで寝るという動作をした時に、穏やかに同じ空間で暮らしていられることの奇跡、その喜びなどで自然と涙が溢れてくるシーンではこちらも早くも目から汗が出てきました。 おばちゃんが大切にしてくれた「いぬき」のエピソードにもほっこりしながら、本当に少しでも辛い瞬間は少なく、穏やかで幸せな時間を1秒でも長く過ごして欲しいなと願うばかりでした。 そして、つづ井さんのように伝えても足りない愛情を、伝わらないかもしれないけれど今まで以上にどうにか目一杯伝えていきたいと思いました。 犬を飼っている方もそうでない方も、笑って泣けて心がじんわりと温まる1冊です。なんか!なんか!!やまとは恋のまほろば 浜谷みおstarstarstarstarstarNano2話まで読んで「なんかさあ!!飯田くんさん!!!??」ってなりました。えっずるくないですか??私も主人公と同じタイプなので「やめろ勘違いする!!」って暴れながら読んでました。とか思ってたら3話の可児江先輩もなに!!!もう!!!!キュンキュンが止まらん助けて……。 主人公の心情もすごく分かるし(変わっていく友人と置いていかれる自分、周囲からの目など)、しんどさもあるけど古研のみんながあったかくて尊いです。良い漫画と出会えた……感謝……。かわいく美味しくもどかしく #1巻応援にゃーの恩返し 山崎紗也夏starstarstarstarstar_border兎来栄寿『シマシマ』、『サイレーン』、『はるか17』などでお馴染みの山崎紗也夏さんが描く、「猫」×「グルメ」×「恋愛」という美味しいものをたっぷり詰め込んだお子様ランチのようなマンガです。 雨の中、怪我をしている猫のミケを助けたことで知り合ったシュウとアヤ。ふたりは何やかんやで同棲するようになったものの、シュウは親の不動産業の手伝いをしており、アヤは看護師で夜勤もあり生活時間帯が異なり少しすれ違う日々。 しかし、それを埋めてくれるのが毎週火曜日にミケが恩返しで人間の姿になって作ってくれる美味しいご飯。シュウもアヤも、まさかミケが作っているとは思わずお互いに料理が上手だなと勘違いしながら食べていく様子が面白いです。 ミケは、毎回共用財布から持ち出した1000円札1枚くらいを使ってスーパーで買い物をし、その日のお得な食材を調達して料理をするので登場するレシピは日常手にできるものばかりで、作ろうと思えば作れそうなものばかりです。作中でも卵1パック220円で買っていましたが、ようやく卵の値段が下がってきて一安心している庶民としては、安心するメニュー。野菜もたっぷり使われていて健康的なので、読んでいて作ってみたくなるものも多いです。コンソメスープに油揚げを入れるのは今度確実にやります。 生活時間がズレているふたりなので個別に食べるのですが、面白いのは後に食べるアヤはいつも残り物を少しアレンジして食べるところ。調味料を少し加えて味変したり、パンやうどんを追加したり。それに対してミケが「ご自由にどうぞ」と優しく見守ってくれているのが癒されます。 猫とご飯部分はひたすら癒されつつお腹が空くのですが、シュウとアヤのふたりの煮え切らない関係性は読んでいてもだもだし、作中のミケの気持ちに同調します。 本編のミケのモデルとなっている山崎さんが飼っている保護猫を描いた巻末のおまけマンガは、我が家の保護ポメも似たような所があり笑ってしまいました。我が家のポメも不在時に美人になってご飯を作ってくれたらなぁ。恋愛マトリョシカガールの感想 #推しを3行で推す恋愛マトリョシカガール 山本白湯navy・恋人とは?恋愛ってしなきゃダメ?って人にオススメ! ・身の回りの人間関係が愛おしくなった!! ・搾取される側だったキャラクターが成長するところに感動🥺 やさぐれパートの美央ちゃんでほっこりしたあと、ダメ恋の理恵ちゃんパートで心削られて、 一念発起した理恵ちゃんの成長に拍手を送りたくなります。 お姉さんのお祝い事に浮かれポンチになったママの一言は酷いものだけど、バネにできた理恵ちゃんはとっても愛情いっぱいで育ってきたんだなって思って、ほっこりした 読んでいて涙があふれる私だけ年を取っているみたいだ。 ヤングケアラーの再生日記 水谷緑starstarstarstarstar名無しの権兵衛※ネタバレを含むクチコミです。シベリア抑留を描いた作品ラーゲリ〈収容所から来た遺書〉 河井克夫 辺見じゅんstarstarstarstarstar_borderひさぴよ原作『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』(辺見じゅん・著)の映画化を機にコミカライズされた本作。人気俳優が演じた映画版に比べ、漫画版の方はというと地味に感じられ、感動の嵐はないかもしれないが、無理に泣かせようとせず淡々と描かれていて、個人的には漫画版の方が断然良いと感じた。 シベリア抑留の漫画と言えば、おざわゆき先生の「凍りの掌 シベリア抑留記」も忘れてはいけない。こちらも合わせて再読したい。 また、東京新宿の平和祈念展示資料館では、シベリア抑留に関する貴重な展示が常時公開されている。入館無料なので新宿に立ち寄った際は足を運んでみては。 https://www.heiwakinen.go.jp/近年稀に見るリアル・緻密・ピュア・ラブ=最高やまとは恋のまほろば 浜谷みおstarstarstarstarstarSS大好きすぎて感想がうまくまとまらないので今まで書けずにいましだが新刊(5巻)の最高さに居ても立っても居られず書き込みです。ここまで既に読んでる人は5巻はもう最高すぎるので姿勢を正してバッチリ受け取れる状態で臨んでいただきたい。これはもうここでしか得られないきらきらが詰まっています。最高。 この作品は、初っ端から最高なんですけど、巻を追うごとに最高の種類が変わります。パフェみたいな感じというんでしょうか…全層美味しいんだけど層によって美味しさがまた違うというか。最初はいっしょにキャンパスライフを楽しんでいるような、言い方がほんとによくないんですが、なんとなく恋愛戦力外女子かな、みたいな、ある意味環境でなんとなくそう思われたり自分も思ったりしたことがある女の子の気持ちがリアル。共感もできたり、へーそんなふうに思うんだ?と思ったりできるかもしれません。LINEマンガで連載されてただけあって(?)LINEでのやりとりが非常にリアルです。現代の少女漫画だなー!ととても趣深い。からの、いまの感動を述べたいので間の巻も最高なんですがとりあえず5巻の素晴らしさなんですけど、これはもう私たちの夢が形になった!!というか、こ、これこれーーっっさいこうーーっっという正直さっきまでリアルな道を歩いていたと思ってたら、途中から虹の上を歩いていた的な、そんな最高な見たかったものを見せてくれるストーリーになっています。最高。私は多分今レインボーの上にいる。マジで。 想像していたような話ではなかったコミック鵜頭川村事件 櫛木理宇 河野那歩也名無し※ネタバレを含むクチコミです。老成せざるを得ない子供の悲しみ、辛み私だけ年を取っているみたいだ。 ヤングケアラーの再生日記 水谷緑兎来栄寿「ヤングケアラー」という言葉を知らない方や、自分が実際にそうである・そうだったという人に切実に届いて欲しい一冊です。 「ヤングケアラー」とは、「介護や病気、障がいや依存症など、ケアを要する家族がいる場合に大人が担うような責任を引き受け、家事や看病、感情面のサポートなどを行っている18歳未満の子ども」のことであると幕間のコラムで解説されています。 発売から3ヶ月が経ちましたが、本日発売の電子ストアもあるということで、改めてこのタイミングで推薦しようと思います。 本作は、さまざまな子供たちの実際のエピソードを元にして作られたあるヤングケアラーの少女のお話で、単なるフィクションではないことが明示されて始まります。 統合失調症の母によって物理的にも精神的にも傷付けられる日常を送る主人公・ゆい。父親も弟も助けてくれず、認知症の祖父もおり、家事は自分がやって当然。年相応に遊ぶことが生業である同級生たちとは、まったく違う生活を強いられていますが、なかなか自分の境遇が特殊であるとは当事者は気付きにくいものなんですよね。それがたとえ、妄想の中では何度も母親を殺したり、ぬいぐるみを破壊しては直したりして何とか心を保っているような、危うい状態であったとしても。 また、そんな窮状を何とか大人に伝えられる機会があっても、事勿れ主義の権力を持つ輩によって闇に葬られてしまい、子供一人ではいかんとも動かし難い状況の絶望感も描かれます。助けを求めることすら諦めてしまうようになる、そんな悲しいことがあるでしょうか。 私も認知症の祖父を自宅で介護したり、一親等以内ではないですが統合失調症の身内がいて途方もない大量の妄想を子供の頃からじっと傾聴したりして生きてきました。また、幼い頃からネグレクトやDVその他により強い殺意を抱かされ絶対にこの遺伝子を後世に残さないと決意させられた父親とは、若い頃に絶縁して久しいです。なので、多少形は違えど共感できるポイントが多々ありました。 本当の自分の感情を切り離して辛い事象をワンクッション置いて俯瞰的に捉えるやり方などもそうですし、冒頭のミヒャエル・エンデの『モモ』を読みながら「夜 皆が寝た後一人で本を読んでいるのが安心で安全な時間」と綴られるモノローグは正に自分と重なりました。バラバラになりそうな心を繋ぎ止めてくれてたのは、私にとってはマンガを始めとする物語やキャラクターたちでした。 恐らく、この本を読んで初めて「自分も助けを求めていいんだ」と思える子もいることでしょう。そういう子たちに届くように、ぜひ色々なところに置かれていて欲しい作品です。当事者の子供にも読めるように、と総ルビになっているのは素晴らしい配慮です。 また、現実に存在する個々別々の地獄を知っておくことは、社会でさまざまな人に出会った際の想像力の助けになります。そういった意味でも、広く読まれる意義のある作品です。老成せざるを得ない子供の悲しみ、辛み私だけ年を取っているみたいだ。 ヤングケアラーの再生日記 水谷緑兎来栄寿「ヤングケアラー」という言葉を知らない方や、自分が実際にそうである・そうだったという人に切実に届いて欲しい一冊です。 「ヤングケアラー」とは、「介護や病気、障がいや依存症など、ケアを要する家族がいる場合に大人が担うような責任を引き受け、家事や看病、感情面のサポートなどを行っている18歳未満の子ども」のことであると幕間のコラムで解説されています。 発売から3ヶ月が経ちましたが、本日発売の電子ストアもあるということで、改めてこのタイミングで推薦しようと思います。 本作は、さまざまな子供たちの実際のエピソードを元にして作られたあるヤングケアラーの少女のお話で、単なるフィクションではないことが明示されて始まります。 統合失調症の母によって物理的にも精神的にも傷付けられる日常を送る主人公・ゆい。父親も弟も助けてくれず、認知症の祖父もおり、家事は自分がやって当然。年相応に遊ぶことが生業である同級生たちとは、まったく違う生活を強いられていますが、なかなか自分の境遇が特殊であるとは当事者は気付きにくいものなんですよね。それがたとえ、妄想の中では何度も母親を殺したり、ぬいぐるみを破壊しては直したりして何とか心を保っているような、危うい状態であったとしても。 また、そんな窮状を何とか大人に伝えられる機会があっても、事勿れ主義の権力を持つ輩によって闇に葬られてしまい、子供一人ではいかんとも動かし難い状況の絶望感も描かれます。助けを求めることすら諦めてしまうようになる、そんな悲しいことがあるでしょうか。 私も認知症の祖父を自宅で介護したり、一親等以内ではないですが統合失調症の身内がいて途方もない大量の妄想を子供の頃からじっと傾聴したりして生きてきました。また、幼い頃からネグレクトやDVその他により強い殺意を抱かされ絶対にこの遺伝子を後世に残さないと決意させられた父親とは、若い頃に絶縁して久しいです。なので、多少形は違えど共感できるポイントが多々ありました。 本当の自分の感情を切り離して辛い事象をワンクッション置いて俯瞰的に捉えるやり方などもそうですし、冒頭のミヒャエル・エンデの『モモ』を読みながら「夜 皆が寝た後一人で本を読んでいるのが安心で安全な時間」と綴られるモノローグは正に自分と重なりました。バラバラになりそうな心を繋ぎ止めてくれてたのは、私にとってはマンガを始めとする物語やキャラクターたちでした。 恐らく、この本を読んで初めて「自分も助けを求めていいんだ」と思える子もいることでしょう。そういう子たちに届くように、ぜひ色々なところに置かれていて欲しい作品です。当事者の子供にも読めるように、と総ルビになっているのは素晴らしい配慮です。 また、現実に存在する個々別々の地獄を知っておくことは、社会でさまざまな人に出会った際の想像力の助けになります。そういった意味でも、広く読まれる意義のある作品です。 マンガで読む「竜馬がゆく」として読んで欲しいコミック竜馬がゆく 鈴ノ木ユウ 司馬遼太郎 司馬遼太郎六文銭「竜馬がゆく」は孫正義が愛読したくらい名著であり、 多くのアラフォーが司馬遼太郎好きだと思うのですが、自分もその1人。 特に「竜馬がゆく」は3回買い直したくらい好きで、それを「コウノドリ」の作者が描くとなれば、もう期待しかない。 実際、おもろい。 基本、原作になぞらえているので、あのシーンはどう描くのか?とか。 文字だけではわかりにくかった部分を表現してくれるので、自分としては新たな発見と感動が得られている。 しかし、気になるのが、これ続けられるのか?という不安。 昨今の漫画と比較しても、ストーリー展開が大分ゆっくりなので、 竜馬、初見の人、ついてきてる? という謎の不安に苛まれている。(というか、大きなお世話) 新撰組にならぶ人気な歴史上の人物だけに、多くの人、特に若人に読んで欲しい。 活字はちょっと・・・という人も、漫画で読む「竜馬がゆく」として読んで欲しい。 孫正義など数々の経営陣や著名人に影響を与えた名著なので、そのクラスターの人にも届いて欲しい。 そんなことを思いながら読んでます。 幕末の激動時代に、綺羅星の如く登場した竜馬。 その行動力と決断力、何より生き様を刮目してお読みください。 ホントにこの人、交通手段が船しかない時代なのに、どんだけ日本中を縦断しているのかってくらい動くので。 宗教2世に寄り添うための #1巻応援「神様」のいる家で育ちました ~宗教2世な私たち~ 菊池真理子あうしぃ@カワイイマンガ再び宗教2世の声を集めた書が出る事を祈って、1巻応援とします。 宗教2世という言い方は最近知りましたが、思えば昔から、そういう子は身近な存在でした。クラスメイトの穏やかな男の子は運動会に出なかった。優しいお姉さんが亡くなった家は一家で信仰を始め、その家のお兄さんは家族と色々あったらしい。毎週のように我が家の前を通る、複数の親子集団……。 そういう方の心の内は、子供ながらに聞いてはいけないもの、と思っていたのですが、この本によってその一端が知れます。彼らが持つ、私と変わらないような愛情や嗜好を知ると、宗教2世の方達が抱える葛藤は、私にも切実に伝わって来るのです。 親への愛着、教義への疑問、自由への憧れ、そして何より辛いのが「信仰を捨てたら親の愛を失う」こと。引き裂かれる思いに同調してしまう……。 そしてそこに、幼い頃から教えられた「教義」が、重みを持って様々に絡みます。 複雑に揺れる心の内を伺えたことで、宗教2世の方達が「よくわからない」存在ではなくなり、さらに慮ることが出来るようになります。この話を始めるに当たって、ただ机上の空論を振りかざして感情的になるのではなく、実在する人に「寄り添う」ための、基本の書になるのではないでしょうか。ドラマとの違いも楽しめる拾われた男 勝田文 松尾諭nyaeドラマをみて面白かったのでコミカライズも読んでみた。 あくまでも上巻までの感想ですが、ドラマのほうが主人公と兄の関係性の変化がより密度高く描かれている印象です(終盤ではほぼそこがメインと言ってもよかったほど)。漫画では今のところ兄はほとんど出てきません。 一枚の航空券を拾ってから、主人公の運命が目まぐるしく動き出す様子がテンポよく描かれていて、また芸能界の裏側をもっと知ることができるようなワクワク感があります。もしかしたらドラマと違うかも知れないけど、先を知っているのに上巻が「そこで終わるか!!」という終わり方をしてるので下巻が出るのが今とんでもなく待ち遠しいです。 彼らの存在「神様」のいる家で育ちました ~宗教2世な私たち~ 菊池真理子ナベテツ7月の銃撃事件が起きたことにより、本来著者が描きたかったこととはまた別の意味を持つことになったことが、作品にとって幸福なのか不幸なのかは分かりませんが、この国において、他者を搾取する新興宗教が存在する限り、この本は読まれ続けるべきだと考えます。 実在の宗教団体の信者を親に持つ、7人の体験を元にしたノンフィクションは、読者にとって決して遠い出来事ではありません(実際、それらの教団の施設は、身近な所に存在しています) 人間の悩みを減らし、心を救済することが、宗教の本来の目指す姿だと、個人的には考えます。ここで描かれる宗教は、共同体によるぬくもりを与えながら、そこではお布施という名前の収奪が繰り返される、どこまでも「汚い」現実が描かれています(お布施以外にも、様々な形での収奪が描かれています)。 最初の連載が、ある団体からの圧力で中止に追い込まれたことが、後書きにより明言されています。恐らく、広告出稿という形で、様々なメディアに圧力がかけられているであろうことも、容易に想像させられます。 言うまでもないことですが、人間は生まれてくる場所を選ぶことは出来ません。全ての宗教2世に、魂の休まる日が 訪れることを、願います。ビッグ・ウォールの感想 #推しを3行で推すビッグ・ウォール 鎌田洋次 横溝邦彦マンガトリツカレ男・読んだ直後に思ったこと ※一番大事!※ 久しぶりに読んだけどたしかビッグコミックで連載していた気がするが文藝春秋から出ているのか。アルパインクライマーの山野井泰史が協力しているのか ・特に好きなところは? 第三話の「遺恨の果てに」先輩/母親亡くなった息子の感情の入り混じりかたがいい ・作品の応援や未読の方へオススメする一言! 一話完結でたまに話が続いているけど全ていい感じで終わるのよかった。横溝邦彦って「THE ALPINE CLIMBER 単独登攀者・山野井泰史の軌跡」の原作の「よこみぞ邦彦」と同じ人だよね? 原作が村上たかし先生の作風にぴったり少年と犬 村上たかし 馳星周starstarstarstarstarひさぴよ漫画ファン側からの意見になってしまうけど、村上たかし先生の作風にめちゃくちゃ合っている原作だと思った。たぶん「星守る犬」を読んことのある人がコミカライズを提案したのではないだろうか。旅の途中でさまざまな人間たちと出会うロードムービーっぽい感じが星守る犬にも通じる所で、一番好きな部分でもある。クライマックスにかけて感動的ではあったものの、ちょっとうーんという感じは残ってしまった。 命懸けではたらくネズミダくんが愛しいバイトのネズミダくん キューライス野愛命懸けでバイトするネズミダくんがかわいい。かわいくてかわいそうでかわいい。 コンビニでバイトをしつつ、いろんなバイトに挑戦するネズミダくん。 ティッシュ配り、リゾートバイト、ネコカフェ、ヒーロー、実験台、田植えなどなど定番のものから危険なものまでなんでもやってみるけどだいたい命の危機にさらされる。もしくは虚無。 それでも頑張って働くネズミダくんの姿に癒されるような、励まされるような。ちょっと切なくもなるような。 ネズミダくんがんばれ。人間もがんばるよ。新たな大学恋愛漫画の傑作の予感…!やまとは恋のまほろば 浜谷みおstarstarstarstarstarたかきのう読んで「2019年一番よかった少女漫画」に躍り出た作品。これはヤバイ…!!!表紙を見ての通り、「前方後円墳みたいな体型の主人公が、部員が同期&先輩のイケメン2人しかいない古墳研究会で充実したキャンパスライフを送る」物語です。(※1巻時点) https://res.cloudinary.com/hstqcxa7w/image/fetch/c_fit,dpr_2.0,f_auto,fl_lossy,h_365,q_80,w_255/https://manba-storage-production.s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/uploads/book/regular_thumbnail/280147/417efc3e-e01c-4d7f-bba3-acf825fe68b5.jpg これだけ聞くと、「ま〜〜〜たいつもの冴えない主人公が何故かハイスペックイケメンに好かれるやつかよ😡」と思いたくなるけどぜんぜん違います…!! いや、なぜかイケメンに好かれるとこはよくある少女漫画と同じなんですけど、それ以外の女同士の人間関係と主人公の心理描写がハチャメチャに現実的で生々しいんです…! 主人公・穂乃香はその見た目から男子には合コンであからさまにハズレ扱いされ、学校では至近距離でブスと言われる。中学からの友人・友葉は同じ大学に進学したけれど、新たな友人・丹菜との出会いで入学して1カ月で白目の面積を減らしたり(※カラコンのこと)、合コンに行きたがったりと変わってしまう。 丹菜という黒船によって、穂乃香は2人の『ごまめ』となってしまった。(※ごまめ…1人前ではないが仲間に混ぜてもらうこと) このような状況で苦悩する穂乃香は、妙にテンションが高かったり卑屈だったりする多くの少女漫画の主人公たちに比べ地に足ついた等身大の悩み方をしている。その心理描写がすごく現実味があって、自然と穂乃香の気持ちに寄り添いながら読んでいました。 入学してまだ1カ月頃のお話なので、今までずっと一緒だった友人と離れ、別々に人間関係を構築していくところが最高に新生活の幕開け感があってグッときます。懐かしい…。 そして、少女漫画でバチクソ大事なのがその作品を代表するイケメン(ヒーロー)ですよね。この漫画に登場するメインの男の子は、表紙を飾る同期の飯田君と3年の可児江先輩の2人。 https://i.imgur.com/lADf6l7.png (『やまとは恋のまほろば』浜谷みお 第1話) 「ごまめ」と化しているときに女友達の前で飯田君と話したり、女友達の前で可児江先輩が穂乃香をかばったり(※三和はそのことを知らない)。それが読者にとってカタルシスになっていてたまりません。正直めっちゃ気分い〜! …というか、主人公が2人に話しかけられる度にまるで自分が実生活でイケメンの友達に話しかけられたとき同じ高揚と緊張を感じます。この漫画リアルすぎる…! あと大事なことなんですけど、この作品は舞台が関西なので 2人とも関西弁です!! 最高か〜〜!! 先輩がクソみたいな合コンから助け出してくれたり、飯田君と2人で古墳を見に行ったり、古研で宅飲みしたり。悩みつつも三和が充実したキャンパスライフを送っているのを見ると、なぜだか不思議な満足感が得られます…なんなんだこの気持ちは…! 1巻の最後では、「古研に自分が居ていいのか」という葛藤にケリをつけた三和が、2人と距離を驚くほど縮めるので(マジで)、ぜひ読んで確かめてほしいです。 LINEマンガで連載中とのことで、これから連載を追っていこうと思います…! (下記画像は6話より。2つの「3人の世界」の対比がいい…)1話目からパンチがあってオススメきょうも厄日です 山本さほstarstarstarstarstarかしこ文春オンラインのサイトをわざわざ見にいってるくらい好きな連載です。山本さほ先生ご本人が巻き込まれたトラブルを語るエッセイ漫画なのですが、マジで心配になるやつ、笑える話、共感できる話とバラエティ豊かなのが特徴です。私が好きなのは謎のTwitterアカウントに粘着された話と、おぎぬまXさんが赤塚賞に入選するまでの経緯を語った話と、最近だと百貨店勤務をしていた時に出会ったお客さんシリーズが好きですね。人間ってヤバいですね(いい意味も込めて)!あとがきに「描きたいことのほとんどが炎上しそうで漫画に出来ない」とあったのがすごく気になりました…! カレーとライブハウス事情と… #1巻応援ピリピリとビリビリ 西倉新久 印度カリー子あうしぃ@カワイイマンガ時はコロナ禍の現在。経営の苦しいライブハウス存続をかけて、女性店長はカレーに詳しい駆け出し女性ミュージシャンにスパイスカレー作りを教わる、という本作。現実的な問題に対してリアルさを失わずに、希望のある解決を見せて楽しい。 舞台は渋谷、ライブハウスとミュージシャンの苦境は報道と同じ。マスク率が高いのも含めてエッセイコミック的な現実感だ。 登場するスパイスカレーのレシピは本格的だが、料理を少しする身としては何となくできそうな気がしてくる。その辺は、スパイス監修として関わっておられる印度カリー子さんの、レシピの考え方が分かりやすいためかもしれない。そして美味しそう……。 コミカルに進む二人のカレー作り。その中で美味しいと言ってもらえる喜び、誰かと共に味わう喜び、相手のためになりたい思いなど、二人の女性の想い合いは強くなる……ので、百合とまでは言わないが、軽いロマンシス物としても時折グッと来る。 音楽も食も、日常を少し彩るスパイス。カレーを通じて食の意味を知るこのマンガも、楽しさと未知への興味と世情の緊張感を織り込んだ複雑なスパイスのような彩りを、脳にもたらしてくれた。やっぱり山崎紗也夏の漫画はこういうのが好き! #1巻応援アンダーズ〈里奈の物語〉 鈴木大介 山崎紗也夏starstarstarstar_borderstar_borderかしここれは面白い!一気読みしてしまった!行き場のない未成年の女の子たちが稼ぐ手段として援助交際を取り仕切る組織に加入するんですが、要は犯罪ですから環境は劣悪な訳です。そういうことが『未成年援デリ』と呼ばれてるのも初めて知りました。ただ漫画としては重くて暗いだけの話ではありません。主人公の里奈が賢いんですよ。闇しかない世界で自分と仲間を守ろうと組織のリーダーになるんです。常に危険と隣り合わせなのでハラハラしっぱなしではありますが、ただそれだけじゃないっていう所の加減が上手いのは山崎紗也夏先生だからこそですね。特に「サイレーン」と「シマシマ」が好きな人にオススメかな!アラサーになったつづ井さんの“今”裸一貫! つづ井さん つづ井nyaeCREAwebのコミックエッセイルームで、満を持して新連載を開始した「腐女子のつづ井さん」のつづ井さん。 前作のファンとしては待ってました!そしてお友達の方々も相変わらずのようでホッ。 腐女子+夢女子として進化していたつづ井さんの今後、再び目が離せません…! 大正破天荒ラブストーリー美は乱調にあり 柴門ふみ 瀬戸内寂聴無用ノスケ子瀬戸内寂聴さんの小説を漫画化したもの。史実を踏まえた歴史マンガの面白さと、愛憎入り交じったラブストーリーの描き手として、柴門ふみ先生はこれ以上ない適任者であると感じました。しかも「東京ラブストーリー」のキャラクターは「美は乱調にあり」から刺激を受けてのものだそうで、その繋がり方には妙に納得感があります。 本の主な内容としては、大正時代の雑誌「青鞜(せいとう)」で活躍されていた、今でいうフェミニストの先人となる女性達、平塚らいてう、伊藤野枝、神近市子、そして革命家で、プレイボーイの大杉栄を中心とした、それぞれの人間模様が描かれています。 主人公・伊藤野枝は、若くして結婚して子どもを出産しますが、不倫して家を出てしまう所など、瀬戸内寂聴さんの人生とも似てます。そして、不倫を超越した恋愛を「フリーラブ」と称し、互いに自立した男女関係こそが古い価値観を壊し、革命に繋がるのだ!と熱弁。当然、こうした思想・価値観は政府からの反発を受け、世間からはスキャンダラスな扱いを受けるわけですが…。 後半になるほど歴史的には面白くなるはずが、昼ドラみたいになってしまったのが少し残念。ページが足りなかったのか事実の羅列だけで、最後に甘粕さんが出てきても誰?状態になる人続出だと思います。私も村上もとか先生の「龍―RON―」で描かれた時代の知識しか無いので、この時代の事はもう少し勉強せねば。姿勢も境遇も真似できないお金さま、いらっしゃい! 高田かや野愛初心者に節約術とか財テクとかを教えてくれる漫画っぽい表紙なのがなんとも憎いです。何も知らずにうっかり読んだらお金よりカルト村のことが知りたくなるはず。 対価0円で毎日労働、物は共有で金銭のやりとりはない、そもそもお金を隠し持っていたら没収されてしまう。 そんなカルト村で育った高田かやさんが一般社会でどのようにお金と向き合ってきたかを描いた作品です。 ・お金に触れる機会がほぼ無かったから、お金に対して強い憧れがある。 ・ものを買うという経験がないから、自分の欲望と消費が結びつかない。 一般社会で育った者からすると、こういう感覚は自分にないもの。貧乏で我慢しながら生活していた人ともまた違う感覚だと思います。 安くていいものと高くていいものの見極めができるようになったり、共有ではなく個人で所有する感覚を掴んだり。 何気ない日常にも新鮮な喜びや学びがあるのだなと感じました。 旦那さん達の金銭感覚にはちょっとモヤるけど、かやさんが受け入れて幸せなんだから凄いよな……。 環境や他人のことを責めずに、自分が幸せであるために努力できるのは素晴らしい。 素晴らしいけど……それは村で育ったおかげなのか?という考えが一瞬よぎってしまうので、やっぱりカルトは恐ろしい。<<12>>
″愛犬というのは愛が犬のかたちをしているという意味です″ もう、冒頭のこの部分からして「流石つづ井さんッ!」と膝を打たずにはいられませんでしたよね。 『腐女子のつづ井さん』、『裸一貫! つづ井さん』でお馴染みのつづ井さんが、いつもより少し穏やかなテンションで綴る老犬Aとの思い出の物語。あえて名前を公表しないところにも、つづ井さんの想いが伝わってくるようです。 最初に断り書きがある通り、「犬が死ぬ」「犬が死ぬまでの話」です。読む前から「こんなの読んだら泣くに決まってる……」と思いながらも、つづ井さんの優しくて面白い筆致で読まないという選択肢はなかった犬飼いです。 Aは、グレートデンや土佐犬に間違えられるほど大きなラブラドール。たまにいるんですよね、規格外に大きくなる子って。私の知り合いでも、1歳ちょっとで20kgになり30kgを超えてから先は計るのが怖いと言われていた超巨大芝を飼っている方がいます(そもそも「芝」が小さいという意味で成犬の平均が10kgくらいです)。でも、大きい子はまた大きい子のかわいさがあるんですよね。小さい子がかわいいのはもちろんなんですけど。 老犬になってもなお成長してできることが増えていく部分があったり、人間への甘えが不足していたりという部分は、考えてみれば人間でも同じようなところはあるよなぁ〜学びだとなりました。 つづ井さんがソファで寝ている時に、近寄ってきてひとペロしてそばで寝るという動作をした時に、穏やかに同じ空間で暮らしていられることの奇跡、その喜びなどで自然と涙が溢れてくるシーンではこちらも早くも目から汗が出てきました。 おばちゃんが大切にしてくれた「いぬき」のエピソードにもほっこりしながら、本当に少しでも辛い瞬間は少なく、穏やかで幸せな時間を1秒でも長く過ごして欲しいなと願うばかりでした。 そして、つづ井さんのように伝えても足りない愛情を、伝わらないかもしれないけれど今まで以上にどうにか目一杯伝えていきたいと思いました。 犬を飼っている方もそうでない方も、笑って泣けて心がじんわりと温まる1冊です。