きょうも厄日です

息の長いシリーズになってほしい #1巻応援

きょうも厄日です 山本さほ
無用ノスケ子
無用ノスケ子

何かとトラブルを引き寄せてしまう作者の実体験を綴ったエッセイ。子供時代から最近の出来事まで、いろんな"厄"をユーモアたっぷりに表現されています。厄日の話ばかりでなく、友人の話だったり、ちょっとした恋愛話(厄あり)も入ってきます。私のお気に入りは、整骨院のおじさんの話。この話、何回読んでも笑ってしまいます。行けるところまで行ってしまう作者も相当おかしいのがよく分かるエピソードでした。漫画家の友人、おぎぬまXさんの登場回はマンガ好き必見で、おぎぬまXさんがいかにして29年ぶりの赤塚賞に入選したのか、実際にどういう人物なのか、この漫画を通して知りました。そして、特別編として収録されている世田谷区役所編。Twitterで話題になり知ってる方も多いと思いますが、世田谷区役所を相手に、三軒茶屋にある「まんがの図書館ガリレオ」を巻き込んだ大騒動を漫画にしたものです。詳細は読んで頂くとして、「描く。今日の出来事マンガにする」と並々ならぬ決意をした時の山本さほさんに痺れます。文春オンラインで、まだまだ連載中の作品ですので、この先も息の長いシリーズになってくれたら嬉しいですね。

うつ病九段

とても読みやすいうつ病エッセイ漫画

うつ病九段 河井克夫 先崎学
沼袋

明確な原因はわからないけれど、うつというものは気づかないうちにじわじわと近づいてくるものなんだなと、やはり他人事ではないんだなというのを改めて実感した1冊でした。 本書は、将棋界へ復帰できるかどうかというところで、精神科医であるお兄さんに闘病について文章にしてみるよう薦められて終わりますが、ウィキペディアによるとその後にしっかり復帰されたようでホッとしました。 うつと向き合う中で、少しずつ回復傾向であると思っても、その日のうちで調子の良し悪しに波があったり(夜は元気でも朝起きると悪くなっているとか)、文字が読めなかったり、将棋の初歩の初歩すら分からなくなっていたりと今まで当たり前にできていたことが出来なくなるというのはどれだけ辛いことだろうと、読んでいて心配になるんですが、自暴自棄にならず医者からのアドバイスも素直に聞き入れ、将棋への意欲が再び芽生えたことに喜びを感じられたからこそ復帰までたどり着けたんだろうと思います。 やはり受診する病院や医師によって良くも悪くも左右される病気だと聞くので、身内に優秀な精神科医がいたことが幸運だったと思います。しかし兄は精神科医、弟はプロ棋士となんと優秀な家庭だろうと、うつと関係ないところでもなかなか興味深い部分がありました。 最後の方に羽生善治棋士と少し会話するシーンが有るのですが、なんとなくクスッと笑ってしまう微笑ましさがありました。

ありがとうって言えたなら

美しく強かった母のすい臓がん闘病記

ありがとうって言えたなら 瀧波ユカリ
nyae
nyae

がん闘病コミックエッセイは数あれど、これほどわかりやすく、かつ面白く描かれているのはないかもしれません。 癌になるのは著者である瀧波先生のお母さんで、年齢的にも子供側の立場で読んでしまうのですが、漫画が上手いので読むのが辛いという事はありませんでした。 病人がいちばん大変なのは前提として、読んでていちばん印象強かったのは、主にお母さんのお世話をしていた瀧波先生のお姉さんです。だいぶマイルドに描かれていると思うのですが、正直「よくそれで生きているな」と思えるくらい壮絶。ストレスをイオンのメダルゲームで発散してるのが笑えるんですが、思う存分やってくれ、じゃないとお母さんより先に死んでしまう…!と心配になる。 読んだことでいちばん学びになったのは、よくドラマなどで死にそうなのに穏やかに会話をする描写がありますが、実際患者にはそんな余裕なんてないこと。笑 考えてみれば当たり前ですね。 あと、普段は全く関心がなくても、こういうときこそお金を払って何かしらのセラピーを受けるのも自分を守るために必要だということ。覚えておこうと思いました。