文春e-bookの感想・レビュー42件<<12>>村を捨てよ書を読もうさよなら、カルト村。 思春期から村を出るまで 高田かや野愛カルト村で育った著者の高田かやさんが自らの意志で村を出るまでを描いた作品。 ほのぼのとしたイラストで淡々と描かれているのでさらっと読めてしまうけれど、どこを切り取ってもおかしなところしかありません。ほんとに現代の話してる?と衝撃を受けました。 親や兄弟と切り離される。日々労働に駆り出され、休日や報酬はない。音楽も読書も恋愛も禁止。日記は検閲され、理不尽に怒られる。 そりゃはやく出ていきたくもなるよねと一般人は思うけれど、幼い頃からずっと村しか知らなければこれが当たり前になってしまうんですよね。 怒られるときに叩かれないこと、廃棄の菓子パンのおかげでひもじい思いをしなくていいこと、そんなことで喜んでいる子どもがいるなんて悲しすぎる…。 本を読むのが好きで深く思考する力があるかやさんだから、自分の本当の気持ちに気づけたんだろうなと思いました。 正直なところ、村や親を恨んではなさそうな(描いてない気持ちもあるんでしょうが)清らかさに洗脳の恐ろしさを感じざるを得ませんが……今幸せに暮らしているなら何よりだなあと安心しました。人生について考えさせられる日々我人間 桜玉吉hysysk漫画喫茶での生活や伊豆での生活を面白おかしく漫画にしているのだが、読んでるうちにだんだん自分がどう老いと向き合っていくかについて考えさせられる。 歳を取っても連載を続けている漫画家は沢山いらっしゃるが、回想でもなく、子育てや病気などテーマのある体験談でもなく、ただ生きている様を描いたものはそんなに多くないのではないだろうか?何というか少し先の自分を見ているようで、楽しみながらもふと真顔になってしまう瞬間がある。こうやって遊びたい裸一貫! つづ井さん つづ井野愛死ぬほど笑った後、こんな友達欲しい!ってちょっと泣きそうになる。そして、こんな友達わたしにもいる!会いたい!ってちょっと泣きそうになる。 お風呂入ったら褒めてくれたり、推しの妄想プロフィール話で盛り上がったり、旅行したり相撲したりめちゃくちゃ楽しそう。 大人になると友達と会っても家庭事情や将来の不安や仕事や健康の話が多くなりがちだけど、精神年齢下げまくってキャッキャしてる時間がいちばん幸せなんだよな!持つべきものは友達と推しなんだよな!つづ井さん気づかせてくれてありがとう。 推しを謙遜しちゃう&推しに似てる人を推すことに申し訳なさを感じるのわかりみが深すぎてわかる。わかる。人型ロボットとの共存私にできるすべてのこと 池辺葵nyae※ネタバレを含むクチコミです。 池辺葵が描くSF私にできるすべてのこと 池辺葵名無し単行本が3/24に出ると知って今から楽しみ(*^^*)村上世彰の半生を漫画化マンガ 生涯投資家 西アズナブル 村上世彰マンガトリツカレ男村上世彰の半生と投資理念を綴ったベストセラー自伝がありそれをコミカライズしたもの。村上世彰は10年以上前にニュースで見たぐらいで、西アズナブルはよくコンビニコミックなどで見かけていたので気になった。村上世彰のベストセラー自伝と言う認識よりも、西アズナブルの漫画なので買った要素の方が強い 中身は村上世彰の半生や投資家としての考えを学生にわかりやすく経済や株取引の仕組みを教えると言う形式になっていて読みやすかった。ちなみに登場人物に関してはほとんど知らなくても充分楽しめます。夫婦版ZUCCA×ZUCAタクマとハナコ はるな檸檬名無し「ある日、夫がヅカヲタに!?」という副題は付いてますが、内容は普通にZUCCA×ZUCAでした。1巻の後半で旦那さんがエリザベートの当日券を買う為に朝3時から日比谷にタクシーで行って(並んでしまうと警備員さんに怒られてしまうので)チケット売り場前でたたずむ…という強者エピソードあるんですけど、このエピソードがめっちゃ面白かったです。男性が沼にハマっていく瞬間が女子と全く違うのも読んでてなるほど〜って思いました。 共感とも嘘松とも違う独特の空気感裸一貫! つづ井さん つづ井mampuku元来、自己投影主人公をキモく描いて楽しくいきていますイエーイな自虐半分ルサンチマン半分なマンガはあまり好きではないんですが、このマンガは微笑ましくて割と楽しく読めますね。 「腐女子」や「推し」などの基本的なオタク用語に脚注がついているのが好印象でした作者に起こったトンデモトラブルをコミカルに語るきょうも厄日です 山本さほ名無し作者の絵柄がかわいく、コマ割りや演出も読んでいて楽しいです。なんと、最後のエピソードでまんがの図書館ガリレオが登場!女性の店長さんも出てきます。不意打ちでびっくりした!かにえ先輩よりの三巻やまとは恋のまほろば 浜谷みお名無し恋愛に鈍感な3人とその取り巻き、たまらんなという感じ! 三巻も最高だったので読んでほしい 息の長いシリーズになってほしい #1巻応援きょうも厄日です 山本さほ無用ノスケ子何かとトラブルを引き寄せてしまう作者の実体験を綴ったエッセイ。子供時代から最近の出来事まで、いろんな"厄"をユーモアたっぷりに表現されています。厄日の話ばかりでなく、友人の話だったり、ちょっとした恋愛話(厄あり)も入ってきます。私のお気に入りは、整骨院のおじさんの話。この話、何回読んでも笑ってしまいます。行けるところまで行ってしまう作者も相当おかしいのがよく分かるエピソードでした。漫画家の友人、おぎぬまXさんの登場回はマンガ好き必見で、おぎぬまXさんがいかにして29年ぶりの赤塚賞に入選したのか、実際にどういう人物なのか、この漫画を通して知りました。そして、特別編として収録されている世田谷区役所編。Twitterで話題になり知ってる方も多いと思いますが、世田谷区役所を相手に、三軒茶屋にある「まんがの図書館ガリレオ」を巻き込んだ大騒動を漫画にしたものです。詳細は読んで頂くとして、「描く。今日の出来事マンガにする」と並々ならぬ決意をした時の山本さほさんに痺れます。文春オンラインで、まだまだ連載中の作品ですので、この先も息の長いシリーズになってくれたら嬉しいですね。とても読みやすいうつ病エッセイ漫画うつ病九段 河井克夫 先崎学沼袋明確な原因はわからないけれど、うつというものは気づかないうちにじわじわと近づいてくるものなんだなと、やはり他人事ではないんだなというのを改めて実感した1冊でした。 本書は、将棋界へ復帰できるかどうかというところで、精神科医であるお兄さんに闘病について文章にしてみるよう薦められて終わりますが、ウィキペディアによるとその後にしっかり復帰されたようでホッとしました。 うつと向き合う中で、少しずつ回復傾向であると思っても、その日のうちで調子の良し悪しに波があったり(夜は元気でも朝起きると悪くなっているとか)、文字が読めなかったり、将棋の初歩の初歩すら分からなくなっていたりと今まで当たり前にできていたことが出来なくなるというのはどれだけ辛いことだろうと、読んでいて心配になるんですが、自暴自棄にならず医者からのアドバイスも素直に聞き入れ、将棋への意欲が再び芽生えたことに喜びを感じられたからこそ復帰までたどり着けたんだろうと思います。 やはり受診する病院や医師によって良くも悪くも左右される病気だと聞くので、身内に優秀な精神科医がいたことが幸運だったと思います。しかし兄は精神科医、弟はプロ棋士となんと優秀な家庭だろうと、うつと関係ないところでもなかなか興味深い部分がありました。 最後の方に羽生善治棋士と少し会話するシーンが有るのですが、なんとなくクスッと笑ってしまう微笑ましさがありました。 美しく強かった母のすい臓がん闘病記ありがとうって言えたなら 瀧波ユカリnyaeがん闘病コミックエッセイは数あれど、これほどわかりやすく、かつ面白く描かれているのはないかもしれません。 癌になるのは著者である瀧波先生のお母さんで、年齢的にも子供側の立場で読んでしまうのですが、漫画が上手いので読むのが辛いという事はありませんでした。 病人がいちばん大変なのは前提として、読んでていちばん印象強かったのは、主にお母さんのお世話をしていた瀧波先生のお姉さんです。だいぶマイルドに描かれていると思うのですが、正直「よくそれで生きているな」と思えるくらい壮絶。ストレスをイオンのメダルゲームで発散してるのが笑えるんですが、思う存分やってくれ、じゃないとお母さんより先に死んでしまう…!と心配になる。 読んだことでいちばん学びになったのは、よくドラマなどで死にそうなのに穏やかに会話をする描写がありますが、実際患者にはそんな余裕なんてないこと。笑 考えてみれば当たり前ですね。 あと、普段は全く関心がなくても、こういうときこそお金を払って何かしらのセラピーを受けるのも自分を守るために必要だということ。覚えておこうと思いました。 古墳から始まる非モテ女子のラブストーリーやまとは恋のまほろば 浜谷みお兎来栄寿2019年の恋愛マンガの中でもトップクラスに素晴らしいと感じた作品です。 「前方後円墳」と呼ばれる位が丁度いいと自認する、デブで非モテのヒロイン。同じ大学に進学した高校からの友人も、大学デビューして垢抜けてしまい住む世界が変わってしまっていて疎外感に包まれる日々。 大学でも合コンの場でも心無い言葉に傷付けられることを当たり前の日常として受け入れ、それが自分の正しい評価なのだと自戒する主人公の心理描写が非常にリアルで切実です。 そうした心構えなので、同級生のイケメンに散々勘違いするような行動を取られても必死に取り繕い自制するのですが、その姿が大変いじましく共感しました。本作は主人公が女性ですが、男性が読んだとしても立場を置き換えて共感できる内容です。 ストーリーの続きも気になりますが、それ以上に場面場面での主人公の感情の描き方に魅力を感じます。 恋愛マンガが好きな方には見逃して欲しくない一作です。めちゃめちゃ人に勧めたいやまとは恋のまほろば 浜谷みおむ新しい! なんと言ったらいいか、新しい恋愛もの! ちょっと読んでみてほしい! 安易な非モテ主人公のいきなりモテ期到来じゃない! 主人公の女の子が卑屈じゃない!素でそのままなのに周りが惹かれていく感じです。 恋愛もの読み飽きたという人に是非一読してみてほしい漫画!無名デザイナーとして背筋が伸びるデザイナー渋井直人の休日 渋谷直角hysysk著者は自分より少し上の世代で、いつも自分が踏み抜きそうな(踏み抜いてるものもある)地雷を漫画にしてくれてるので助かってます。助かってるのかな? 最後の晩餐どうする?おあとがよろしいようで オカヤイヅミstarstarstarstar_borderstar_borderかしこいのまま、ものするひとのオカヤイヅミさんが小説家たちに「死ぬ前に食べたい物は何か?」を尋ねるコミックエッセイ。オカヤさんが食と文学の両方をテーマにしたマンガって最強じゃん!と思って読みました。物語を描く人たちの死生観はとても豊かで自分はもっと今を楽しむべきだと感じました。まさにメメントモリ。カルト村で生まれましたカルト村 高田かや地獄の田中宗教団体に所属している両親の元に生まれて、その村で育ったという話 タイトルがそのまんま中身になっていて、これ以上内容を説明する言葉がない お祈りとか病的な信仰とかはなかった 代わりに所有をなくして、共同体で分け合って生きていこうっていう感じの思想。小学生でも農作業とかをさせられるとか、朝食は抜きとか指導が厳しいとか、マインドコントロールがあるとか、まぁまぁダークだけど、ホラーみたいな感じではなかった。なんていうか勉強になるな<<12>>
カルト村で育った著者の高田かやさんが自らの意志で村を出るまでを描いた作品。 ほのぼのとしたイラストで淡々と描かれているのでさらっと読めてしまうけれど、どこを切り取ってもおかしなところしかありません。ほんとに現代の話してる?と衝撃を受けました。 親や兄弟と切り離される。日々労働に駆り出され、休日や報酬はない。音楽も読書も恋愛も禁止。日記は検閲され、理不尽に怒られる。 そりゃはやく出ていきたくもなるよねと一般人は思うけれど、幼い頃からずっと村しか知らなければこれが当たり前になってしまうんですよね。 怒られるときに叩かれないこと、廃棄の菓子パンのおかげでひもじい思いをしなくていいこと、そんなことで喜んでいる子どもがいるなんて悲しすぎる…。 本を読むのが好きで深く思考する力があるかやさんだから、自分の本当の気持ちに気づけたんだろうなと思いました。 正直なところ、村や親を恨んではなさそうな(描いてない気持ちもあるんでしょうが)清らかさに洗脳の恐ろしさを感じざるを得ませんが……今幸せに暮らしているなら何よりだなあと安心しました。