部長に威厳はありません

卓球部にSM百合はありま…す!

部長に威厳はありません 高橋真弥
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

卓球部……ですらない場所で、ひとり壁打ちに勤しむ自称部長の絵夢(えむ)。そんな彼女を何故か気に入った恵澄(えすみ)は部員になるが、真面目にやらないばかりか、隙あらば部長をイジリ、イジメる日々。この部活、どうなる? ★★★ Sっ気たっぷりの恵澄に巨乳・ぽっちゃり・ドンくさいとイジられれまくる絵夢。嗜虐心を煽る絵夢だが特にMっ気は無いので、普通に傷つくが、共に部活をしてくれる仲間として、そしてほんの少し繰り出される恵澄のデレもあり、二人は怒りながらも一緒にいる、絶妙なバランスのSM百合となっている。 絵夢が部長として頑張ってしまうのは、恵澄が実は卓球の実力者だから。しかし恵澄のための絵夢の頑張りは全く恵澄には響かない。カワイソス。 お互い相手を想っているのに、お互いの気持ちが分からなくてすれ違うコメディは、本当にどこで交わるのだろう……と最後までヤキモキさせられる。 この二人より分かりやすい百合としては、恵澄を一方的にライバル視する子や、後から入部するダブルスの二人の、幼馴染&互いを補うパートナーシップが尊い。 ガチの卓球描写はあまり無いが、卓球を挟んだ関係性のコメディとして、そして何よりも嫌な感じの無いSMコメディとして、ムズムズする感じとブレない笑いがある作品。

徳田虎雄物語 トラオがゆく

徳洲会病院の歴史が分かる漫画

徳田虎雄物語 トラオがゆく 貴志真典
名無し

面白かった。徳洲会病院といえば地方にある自分の地元にもある病院だけど、その成り立ちについては一切知らないので全部興味深く読めました。2004年以降に描かれているはずなのに謎に劇画調なところも面白かった 1972(昭和47)年に、大阪・松原市に年中無休、24時間オープンの救急医療を行う徳田病院がオープンしたところから始まり、創設者の徳田虎雄が「生命だけは平等だ」という理念のもと、既得権益を守ろうとする医師会とバチバチに戦いながら日本各地に徳洲会病院を増やしていくという熱い話。 いつ何時倒れようと夜間救急や休日診療を訪れたり、救急車搬送され治療してもらえるのが当たり前だと思っていた自分にとって、70年代の救急医療の酷さにはとても驚きました(この本以外のソースをあたってないのでどの程度正確に描写されているのかわかりませんが)。 徳田虎雄自身は鹿児島市から約468km離れた徳之島という島の出身で、隣の町まで呼びに行ったのに医者が来ず弟を喪ってしまったことが、徳田虎雄の強い信念の礎となっている。病院を建てるためにあらゆる手段を尽くすと自ら選挙にも出ていたと知り、その信念が本物だなと感じた。 新しい病院を設立するために毎回自分に生命保険をかけ受け取り人を銀行にし、その額が1億8千万→8億→27億3千万と跳ね上がっていくところが凄まじい。 内容以外の絵について言うと、並んでる人物の大きさがおかしかったり、コマ割りが謎だったり、ギャグとシリアスの見分けがつかなかったりいろいろあるのですが、全部ひっくるめて面白かったです。

エビスさんとホテイさん

正反対なあの人が嫌い。でも…

エビスさんとホテイさん きづきあきら サトウナンキ
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

本社から異動してきたエビスさんは「仕事ができる」女。必ず定時で帰るエビスさんが気に食わない「カワイイ」女・ホテイさんだが、彼女が定時で変える理由を知ってしまう。それ以来、心がモヤモヤして……。 ♡♡♡♡♡ ……とこう言うと、その時にホテイさんが心変わりした様に聞こえるが、実は彼女の心にあるのは、常に変わらない想いだった。 それは自分と正反対の人への嫉妬。そしてそれ以上に、憧れ。 自分に巣食う感情を捉えきれないホテイさんの、迷い、混乱。そしてホテイさんは、エビスさんの事ばかり考える様になる。エビスさんとの距離は縮まったり遠ざかったりし、その度に懊悩するホテイさんが息苦しい。 グチャグチャした想いは、エビスさんの意外な弱り顔や酔った姿を見て、一つの想いに纏まっていく。 そこでただ恋心に浸るだけでなく、「彼女の為に」何が出来るかを考え始める所が、ホテイさんの恋の強さだ。自分の意思が薄弱だったホテイさんが、エビスさんの為に行動を起こす……こんなに尊い百合成長譚があるだろうか。 ドロドロ渦巻く闇の中から、熱く真剣な百合が花咲く瞬間を見たくて、何度でも手に取りたくなる作品だ。