青年マンガの感想・レビュー15396件<<330331332333334>>気づかないまま生きていけたら裸のマオ もぐこん野愛華奢な少女をデッサンする先生、という甘美な響きから想像するものとはかけ離れた作品だった。 マオはとても華奢な女の子。母親からほとんど放置され、貧乏で不健康な暮らしをしている。 先生はマオの体を褒め、ヌードモデルになることを持ちかける。マオは先生の家へ通い、お風呂に入り食事をし健康な生活をおくるようになる。 めでたしめでたし。とはいかない。 マオは自分の境遇について何も気づいていないように見える。 母親の気持ちにも、先生の気持ちにも、友達の気持ちにも何も気づかない。まっさらで何も知らないということは、マオにとって救いなのだろうか。 失って、過ぎ去って、はじめて気づいたとき、マオは華奢な体のまま生きていけるのだろうか。 大人になるためのイニシエーションにしては、切ない結末だと思った。読切なのがもったいないCUREZIクレジ 梅澤春人名無し※ネタバレを含むクチコミです。魔女とオカルトの要素が詰まったハイブリッドなファンタジー #1巻応援僕の未来は魔女の中 なかだまおsogor25主人公の中学生・将太の周りでは10日ほど前からいくつかの異変が起こり始めました。 見知らぬ少女が出てくる同じ夢を見ること、他の人には見えない謎の黒い生物が見え始めたこと、そして隣の家にアナというルーマニアからの留学生が引っ越してきたこと。 親しく接してくれる彼女になぜか得体の知れない恐怖感を覚えていた将太でしたが、夢の中に出てきた少女が彼の目の前に現れたことで、アナの正体が"魔女"であることが明らかになる、という導入の作品です。 繰り返し見続ける夢に自分にしか見えない謎の生物、そして隣に越してきた海外からの不思議な留学生に"魔女"というキーワードと、オカルトファンタジーとして胸躍る要素が詰まった作品です。 そして そんな状況下に巻き込まれただけだと思われていた将太にもどうやら秘密の要素が隠されていることが明らかになり、ストーリーの魅力も自然に高まっていきます。 1巻の後半では今後の敵となりそうな存在も仄めかされ、今後の展開にさらに注目していきたい作品です 集英社系列のホーム社という出版社が運営する『 WEB漫画サイト「Z」』というサイトで連載されている作品。 私もこのサイト自体を初めて知ったのですが、オカルトファンタジーが好きな方には是非薦めたい作品です。 1巻まで読了妻を亡くした男と全聾の姪、共に暮らす日々を描くヒューマンドラマ #1巻応援しまのおと 仲山米sogor25舞台は小さな島にある町。絵描きとして生計を立てる源太郎は9年前に全聾である妻のなお美を不慮の事故で亡くし、後悔の念に苛まれながら日々を送っていました。 そんなある日、なお美の妹・ゆう子が病気で亡くなったとの知らせが入ります。 全聾のなお美の事故で源太郎のことを責めていたゆう子だったのですが、1人娘の翔子を何故か源太郎に預けるという遺言を残していました。 ゆう子に子供がいたことも聞かされてなかった源太郎でしたが、翔子もなお美と同じ全聾であることを知らされます。 この作品は、妻の事故死という過去に縛られ続けている源太郎と、 母親を亡くした翔子が共に暮らす様子を描いた作品です。 妻の死という過去を未だに乗り越えられずにいる源太郎とまだ幼いうちに母親を亡くしてしまった全聾の少女・翔子。 それぞれ内面に異なるベクトルの障壁を抱える2人が共に暮らすことにより、徐々にその障壁を乗り越えていく様子が描かれていきます。 舞台となる島の風景は美しいですが やや閉鎖的に見える部分も感じられ、それがなお美、そして翔子が全聾であるという要素とも関わってきて、マンガの絵としてもストーリーとしても緻密に組み立てられている作品です。 1巻まで読了 粗削りだけど愛を感じる漫画チ。―地球の運動について― 魚豊mampuku科学革命に挑む異端者たちの話。カタルシスを予感させるし、とても好きなテーマです。それだけに、マンガ大賞にノミネートされた時点の2巻という序盤では、同じく今年のマンガ大賞に名を連ねるフリーレンや推しの子、怪獣8号などとくれべるとストーリーテリングでの物足りなさを感じてしまいます。3巻になって役者が揃ってきたのと読みやすくなってきたので続きへの期待値が上がってきました。うめざわしゅんのデビュー単行本ユートピアズ うめざわしゅん名無しデビュー単行本はこちらですが、これ以前の作品は「パンティストッキングのような空の下」に収録されています。まだまだ荒削りなところが「パンティストッキング〜」にはありましたが、「ユートピアズ」は安定感が増してますね。うめざわしゅん流SF(少し不思議)な短編集といったところでしょうか。この後には「一匹と九十九匹と」を描かれていて、どうしても傑作の間に挟まれて影が薄くなっていますが、うめざわしゅん好きだったら読んで損はないと思います。終わったと思っていたけど、終わっていなかった。地図にない場所 安藤ゆきstarstarstarstarstar干し芋主人公の悠人は、勉強のできる兄とイケメンの弟に挟まれ、普通の自分にもがいている。 少し頑張って兄と同じ中学校に入学したものの勉強についていけずに、 ❝終わった❞と常に心が叫んでいる。 お隣には、一人暮らしの50代の女性が暮らしていたが、急に亡くなり、その娘、琥珀が、フランスから帰国し、ひとりで生活することとなる。 琥珀は、世界的バレエダンサーだったが、ケガをして引退し、さらに 母親を亡くしたという、世間的には、30歳の身寄りのない独身女性が職を失ってかわいそうな環境にいる。 ❝終わった❞と思っている中学一年生が、自分と同じ❝終わった❞と思われる琥珀に興味を持ち、同類の様子見たさにお隣に回覧板を持って行ってみると・・・。 年の離れた不思議な関係が今後どんな展開になっていくのか? 中学一年生をいう繊細な年齢の悠人の目線で描かれる。 人から褒められるって、自分に自信が持てたり、ここにいていいんだって安心できる薬だなって思う。 生きる元気が湧いてくる生きる 増強版 生々流転 根本敬hysysk思い詰めて悩んだり、逆境を跳ね返そうと力んでやっぱりうまくいかなくて落ち込んでしまうよりは、坦々とその状況を受け入れてただ「生きる」のがいいのかも知れない。大きなべっこうの置物がもらえる可能性もある。「原発事故編」を読んでみた今日もいい天気 山本おさむ名無し前作の「田舎暮らし編」から3年後の話です。この3年間に同居していた奥さんのご両親が亡くなったり、東日本大震災が起こったり、原発事故が起こったり…。あんなに楽しそうに田舎暮らしを満喫していたのに、全く違う漫画になってしまいました。実際にはこれとは比べ物にならない喪失感があるんですね。今作も最初から1年間の連載と決まっていたそうで、途中からどう終わらせるか悩んだそうですが、最後にはハッピーエンドはありえないと断言されていたのが印象的でした。山本おさむ先生の誠実さが感じられました。一巻の表紙がお洒落絶滅酒場 黒丸名無し天地創造デザイン部にハマったらAmazonが勧めてきたのがこれ。一巻の表紙がお洒落だから一巻だけ読んでみたけど……世界観が自分には早すぎた。 天デ部と異世界居酒屋「のぶ」を混ぜてその二つからユーモアを抜いたみたいなカオス……。 何故絶滅した古代生物が人間のような言動を…?幻覚を見せられているのか? 古代生物の為に作る手の込んだ料理は見てる分にはおもしろいけど、幼稚園児がおままごとで作った料理みたいに食えるわけじゃないので食欲が一切わかない。 酒場なのに食えない料理ばっかり見せられる新鮮な漫画である意味面白かった。 まだ続刊中ということは人気があるということで……そのうちアニメとかになったらまた観てみるかもしれない。 明日こそ幸せになりたいねひとり暮らしのOLを描きました 黒川依野愛かわいそうでかわいい、ひとり暮らしのOLさん。 お家でぼーっとしてる姿を見るだけで 仕事つらいんだろうなあ、周りに頼れるひといないんだろうなあと心配になってしまう。心配になると同時に、わかるなあと思う自分もいる。 やった帰れるとかやった休みだと思っても、とくに楽しいこともなかったりあっというまに終わっちゃったり、あるよなあ。終わりゆく休日に抗おうとしたり、気づいたら夕方になってたり、あるよなあ。 このOLさんとお友達になってご飯食べながらぼそぼそと日常の苦しみとか生と死の話とかしてみたいな。 みんなちょっとでいいから昨日より幸せな今日を過ごせるといいね。異なる才能を持つふたりが交わる話瑠璃も玻璃も照らせば光る 綴喜大名無し※ネタバレを含むクチコミです。『イチケイのカラス』浅見理都の過去作第三日曜日にて 浅見理都名無しそういえば浅見理都の他の作品ってあるのかな…と調べてみたらebookjapanで無料公開されてたのがこれ。第33回MANGA OPEN東村アキコ賞受賞作だそうです。 http://morningmanga.com/mangaopen/33/ やっぱ昔からキャラと会話が絶妙…! 「エキゾチックコーナー」とか「もっとお食べください」とか。 淡々とした会話の中に面白みがあるところはイチケイのカラスと同じですごく良かった。 浅見先生、次回作の予定あるのでしょうか…。いつまでも楽しみに待ってます。 【掲載ページ】 https://ebookjapan.yahoo.co.jp/bviewer/free/B00060096937 読切最高でした 箱入り娘のDAY to DAY 藤丸名無し1話と2話で2人のそれぞれの思いが見れたのは良かったです。エロシーンは雑誌なら無修正なので良かったら是非。後未成年の喫煙の注意書きあるの時代感じました。だいすきなおかあさんマザーパラサイト 佐藤洋寿兎来栄寿「バブみ」「オギャる」といった言葉が普及し始めて早数年。「戦慄のバブみサイコスリラー」とでも形容すべき作品が登場しました。 「登場親子、みんな毒」……とまでいうと語弊があり、まともな息子も中にはいるんですが、中心となるのは毒息子と毒親による予測不能のサスペンス。『スズキさんはただ静かに暮らしたい』に続いて佐藤洋寿さんらしい不穏な味わいが堪能できます。 多少のツッコミどころもありますが、異常な性向がぶつかり合ってもたらされる異様な展開の不安と不穏の波に細かいことはさておき呑まれます。 良い意味で、ネット広告で使い易そうなパワーのあるセリフやコマが多い作品です。 作中で、特殊な赤ん坊と一緒に荷物を運送するゲーム『デス・ストランディング』が描かれていたのも良い演出だなと思いました。 物語がどこに着地するのかが最大の焦点ですが、ぜひ行くところまで行ってやり切って欲しいなと願っています。 心の中の赤木しげるに「正しい親、正しい子供、正しい親子…………元々ありはしないんだって……!そんなもの…………!」と囁かれながら。事実はマンガよりも奇なり。ぼくたちの離婚 稲田豊史 雨群兎来栄寿「病んだ魂と、欠けた魂が、修羅場を作り出す」というキャッチコピーが秀逸。 こちらは、離婚を経験した人へ経緯や顛末を取材してリアルな体験談を連ねたWEBメディアの企画『ぼくたちの離婚』の書籍版をコミカライズした作品です。 言うなれば『その時の彼女が今の妻です』の逆バージョン、「その時の妻が今の他人です」。出逢いや馴れ初めからスタートしながら、そこから別れに至るまでのそれぞれのリアルな実体験と感情が克明に描かれています。 とてもよく理解できて同情してしまう人もいれば、まったく理解が及ばず宇宙人のように思える人まで様々に登場しますが、率直に言って面白いです。下手な創作より余程個性的で立った「キャラクター」とその感情の変遷に圧倒されます。 自身も離婚を経験している原作者曰く、 「苦痛に満ちた結婚生活。身も凍る修羅場。苦渋の決断。激しい後悔と開き直り。妻に対する未練や呪詛の言葉。そこに、当時の心境と現在の心情が入り交じる。引き込まれること、この上ない。「これは読み物になる」と確信した」 とのことで、それは間違いないでしょう。 Case#03の、『キル・ビル 』の暗殺集団のボスであるビルが元恋人のザ・ブライドを殺した本当の気持ちがよく解るという件に非常に感情移入しました。サブカルに精通したカッコいい美人というのも最高でした。今の自分も結婚を経てビルに殺される側になりつつあるなと感じます。 本筋ではないですが、Case#05の犬のエピソードもグッときますね。 絵が綺麗だなぁと思ったら、『麻衣の虫ぐらし』などの雨がっぱ少女群さんの別名義でした。綺麗な上で、人間の暗部が露呈するシーンのえげつない表情の迫力が凄いです。 「人間」を見たい方、修羅場を見たい方、離婚の危機に備えて反面教師にしたい方、ご一読してみては。 何も知らずに読んでしまったが世界の孫 SABE名無し孫顔の中学生・甘栗甘水が出会った者すべてを孫パワーで狂わせていくギャグ漫画…だったのですが、どんどん話が逸れていきイカしか出てこないわ格闘マンガになっていくわで一体どういうことなのか?と読み終わっても困惑していました。SABE先生のお名前を検索してようやくピンときました。私は元奥様のファンなのでお名前だけ知っていたのですがコアな作風だと聞いていたので、逆に月刊アフタヌーンというメジャーな雑誌でも描いていたことに驚きでした。漫画でも倍返しだ!!モーニングの新連載半沢直樹 池井戸潤 津覇圭一 フジモトシゲキ名無し自分は半沢直樹のドラマ流行ってたのに観てなかった人間です(※流行りすぎてると避けちゃうタイプ)です。ですが、あの熱狂的なブームからしばらく経ったので、あの話題作をみてみようじゃないのと読んでみた次第です。 太い線のスタイリッシュな絵が読みやすいなぁと思ったら、フジモトシゲキ先生って股旅グルメの人じゃあないですか…!!(納得) ストーリーの面白さも作画の素晴らしさも保証されているので、これは安心して読めますね。 ▼過去作掲載ページ http://www.moae.jp/comic/thegate_matatabigourmet ▼公式作品ページ https://morning.kodansha.co.jp/c/hanzawanaoki/「女商人」が主人公の…赤髪の女商人 のゆstarstarstarstarstarひさぴよ「女商人」が主人公の、硬派な中世ファンタジー作品。よくありがちな異世界/中世ものかと思いきや、とても真面目な漫画でした。 主人公は色気よりも商売といった感じで、最初こそとっつきにくいですが、計算高く冷徹そうに見えて情の深いタイプ。周りを利用しながらも、自分の人生はきっちり自分で始末をつけるという強い意思を感じる主人公像です。 物語序盤で、同業者に騙され無一文になり、辿り着いた修道院の女性たちの所で、最初はお世話になります。そこで商いを興し、知恵を使ってお金を稼いで困難を乗り越えていく、という痛快なストーリーとなってます。 見た目はちょっと地味ですが、一度じっくりと読めば間違いなく面白いと言える良い漫画だと思います。 「クリスマスにブスと過ごすのが嫌だった」は名言ホムンクルス 山本英夫かしこ※ネタバレを含むクチコミです。亡くなった母の故郷、スペイン・グラナダで始まる新しい生活あかねさす柘榴の都 福浪優子名無し日本人の少年・夏樹がひとりで飛行機に乗り、スペイン・グラナダへ訪れるところから始まる物語。どうやら母親が亡くなってしまい、母の故郷で叔母・アルバの世話になり暮らすことになった様子です。いろいろ違うけど、無愛想な叔母と親を亡くした14歳の少年が世話になるという話なので違国日記を思い出しますね。 地球に実在する場所なのに日本と違いすぎて非現実感があります。 なんかわからないけどワクワクする事が起こりそうな予感がする。楽しみな新連載。チェーン店でちょい飲み!ひとりで飲めるもん! コナリミサト名無し影響力やばい!主人公がめっっちゃ美味そうに飲むんだもん。 お米と一緒に酒飲める人は共感度MAXですよ。 てんやでビールは最高でしょ…。今すぐ行きたい。 すごく笑えて為になる(かも知れない) #1巻応援今日も、なんとか生きてます。 北沢バンビたかマンバでフォローしたことすら忘れるくらい前にビッグコミック増刊で読んで気に入った作品。ついに単行本が出たので読んでみましたがやっぱりメチャクチャ面白かったです! 「格言+4コマ漫画」というスタイルで構成されていて、とある会社に勤める人々が主人公。話が進むごとに仕事ぶりや私生活から人柄や交友関係が見えて来るのが面白い! みんなダメでみんないい…! 来世ではちゃんとしますとかこれとか、こういうタイプの「会社群像劇(?)」大好きです。 続編も楽しみにしています! #1巻応援マリンモって何〜!?紀元ギルシア 坂口尚名無し『紀元ギルシア』6話、『夏時空』、『エストレリータ』が収録された短編集。 表題作の『紀元ギルシア』の難解さがメチャクチャ良かったけどまさかの第一部で終わりだとは……結局マリンモって何なんだ!! 『夏時空』の灼熱に晒されながら青年と老人と若い女性が三つ巴を繰り広げる話も良かったし、『エストレリータ』の「アホと爆弾が抱き合っているようだった」っていう最後のセリフも良かった。 坂口尚の作品初めて読んだけど他のやつも読んだみたい。<<330331332333334>>
華奢な少女をデッサンする先生、という甘美な響きから想像するものとはかけ離れた作品だった。 マオはとても華奢な女の子。母親からほとんど放置され、貧乏で不健康な暮らしをしている。 先生はマオの体を褒め、ヌードモデルになることを持ちかける。マオは先生の家へ通い、お風呂に入り食事をし健康な生活をおくるようになる。 めでたしめでたし。とはいかない。 マオは自分の境遇について何も気づいていないように見える。 母親の気持ちにも、先生の気持ちにも、友達の気持ちにも何も気づかない。まっさらで何も知らないということは、マオにとって救いなのだろうか。 失って、過ぎ去って、はじめて気づいたとき、マオは華奢な体のまま生きていけるのだろうか。 大人になるためのイニシエーションにしては、切ない結末だと思った。