あらすじ

麦の家にお手伝いさんが住むようになった。彼女には寮生活をしている風子という中学生の娘がいる。夏休みに風子が遊びに来て、麦の家には、これまでにない明るい雰囲気が生まれた。浪人中の麦の心にも、微妙な変化が起こった。幸子が麦から離れていったこともあって、麦は青木一朗を通じて知り合った鮎子に強く引きつけられた。鮎子には、驚いたことに麦と同じ手首に傷があった……。
麦ちゃんのヰタ・セクスアリス(1)

秋田麦(あきたばく)は十六歳の男の子。小説家の父とふたり暮らし。年上のいとこの曜子が居候してから、麦の調子はすっかり狂ってしまった。なんかモヤモヤした毎日。そんな折、男子校の麦の高校に女子が入学してきた。親友の民夫と海へ出かけた麦が出会ったのは、新入生の中野やよいだった。好意をもってるやよいとのデートに、麦の心臓は高なった。愛と性のめざめを瑞々しく描く青春の熱いメッセージ!!

麦ちゃんのヰタ・セクスアリス(2)

高二の麦は、童貞に別れを告げようとしたが結果は失敗。このことをやよいに誤解され、別れることになった。やよいに対する熱がまださめない麦の前に、文学少女の星子が現われた。そして念願のファースト・キス。麦は心の半分にやよいがいて、残りの半分に星子がいる、と悩んだ。だが星子は自殺してしまった。大きなショックを受けた麦――青春の存在を賭けて、母の故郷へ旅立つのだった。

麦ちゃんのヰタ・セクスアリス(3)

母の故郷北海道で、馬の出産に立ち会って感動した麦は、獣医になることを決意した。高三になったある日、生徒会長の伊東から中三の少女の家庭教師を頼まれた。受験するというのに、少女の関心はもっぱら異性に対してだった。そんな時、親友の岩崎が「今夜つきあえ!」といって、OLを紹介した。なんとSEX FRIENDなのだ。だが、麦の心には、やよいへの想いが残っている……。

麦ちゃんのヰタ・セクスアリス(4)

麦の父に再婚の話が持ち上がった。相手は出版社に勤める人だ。麦は賛成だった。しかし父は違っていた。父の亡き母への想いは、十七年たった今でもあついものがあった。麦は改めて父の心の悲しみを知った。――岩崎に誘われて女子校の文化祭に行った麦は、そこで睦月にひとめぼれした。息をするように楽しさを吸い込み吐き出す睦月。だが彼女は人妻だった。麦は受験へ向けてつっ走った。

麦ちゃんのヰタ・セクスアリス(5)

大学受験を迎えた麦は、将来の進路を北大と決めていた。かつて母の故郷・北海道へ旅したとき、雪深い土地で働く老獣医と出会ったことからだった。だが、受験日を間違え、はからずも浪人の身となった。予備校の帰りに偶然入った喫茶店で、画家志望の青木一朗と知り合い、彼の仲間たちとも交流を始めた。一方、幸子の積極性に、麦はうとましさを感じていた。そんな時、アトムが結婚した。

麦ちゃんのヰタ・セクスアリス(6)

麦の家にお手伝いさんが住むようになった。彼女には寮生活をしている風子という中学生の娘がいる。夏休みに風子が遊びに来て、麦の家には、これまでにない明るい雰囲気が生まれた。浪人中の麦の心にも、微妙な変化が起こった。幸子が麦から離れていったこともあって、麦は青木一朗を通じて知り合った鮎子に強く引きつけられた。鮎子には、驚いたことに麦と同じ手首に傷があった……。

麦ちゃんのヰタ・セクスアリス(7)

浪人中でも、麦の周辺に変化はあった。友人のアトムに子どもができたことだ。いよいよ共通一次、そして麦は再び北大を受験した。合格。喜びのあまり、麦の指は無意識にやよいの電話番号をまわしていた。素直に合格祝いを述べるやよいの声……麦は改めて彼女と交際をはじめた。やよいも快く麦の気持ちを受けとめた。麦の北海道行きが決まって、父の記(しるす)は風子の母との再婚を決意した。

麦ちゃんのヰタ・セクスアリス(8)

北海道行きを前に、麦はやよいの両親に会った。医者であるやよいの父は、麦の志望が獣医とわかって失望した様子だった。やがて母の生まれた北の地で、麦の大学生活がはじまった。まず最初に知り合ったのは佐藤先輩と松井ゆかり、そしてミキとの再会。ことにゆかりは、麦に好意をもって近づいてきた。そんな時、突然やよいが麦のもとへ家出してきた。麦はあたたかく彼女をむかえてやった。