~その村では人は必ず50歳で死を迎える~。村人を縛るしきたり、「あの世」と呼ばれる山の向こう。双子の姉を生け贄に捧げられた少女・杏。獣の皮をかぶった役人達が取り仕切る「この世」と呼ばれる村で神に見守られて暮らす人々。そして、不思議な山の民。杏が見つめる先には希望も絶望もある。この物語で描くのは、山下和美が抱く、日本という国への不安。
杏の犯した「罪」。──そして罰。「この世」のすべてが敵になろうとも、杏は強く前を向く。────『天才 柳沢教授の生活』『不思議な少年』で人間を見つめ続けてきた山下和美が挑む新境地!
村人と山の民を巻き込んだ混乱の果てに、叔母・真理の心は壊れ、父・捨吉は死んだ。すべては、好奇心からしきたりを破り、「あの世」に近づいたせいなのか。責任を感じ、「あの世」への思いを断ち切ろうとする杏の前に、再び和音が現れる。「この世」と「あの世」を繋ぐ、禁断の「武器」をたずさえて――。この物語で描くのは、山下和美が描く、日本という国への不安。
杏の家が焼かれ、真理の心が壊れた混乱から7年の歳月が流れた。自分たちの住む世界のことを知り、大人へと成長してゆく杏とアン。人も変わるし「この世」も変わる。平穏な日々を過ごす彼女たちが知らないことは多くある。すべては「彼」の手の内にあることも、知らない…。「この世」を捨てる。「あの世」を見なくなる。文字を知る。そして、闇夜が怖くなる。世界が動く、第4巻!!
7年間、平和な日々が続いていた「この世」。しかしある日の夜、四ツ神様が動き「この世」はパニックに。そんななか、四ツ神様が動くのには何か仕掛けがあると考えた杏は…。「この世」と「あの世」で、各々の人生を必死に生きる杏とアン。彼女たちに壮絶な運命が迫りくる! 謎が謎を呼び、不安が不安を呼び起こす、怒濤の展開! そして、瞳に映るものが正しいとは、限らない…。
無罪となって解放された杏だったが、自分の代わりにまた子供たちが生け贄にされると知り、衝撃を受ける。その心の揺らぎは遠く離れたアンにも伝わり、涙があふれた。動揺する二人をよそに、ランドを統べる天音と和音、そして蓮華の思惑は交錯し始め…。
「あの世」で普通の高校生活を送るアン。かりそめの平穏のなかに生きるが、真実を求める心が芽生え始め…。子捨ての役を命じられた捨吉、その捨吉にほのかな恋情を抱く蓮華、次第に明かされていく二人の過去。「あの世」と「この世」。その原点には、幼き頃の天音と和音の記憶が。揺れ動きだしたら、もう止まらない。世界が向かうのは希望か絶望か。
激しい怒りはアンを「この世」へと突き動かした。それに呼応するように杏は・・・。「この世」で平太は出会い、「あの世」で平治は知った。親子の「世界」は広がっていく。しかし、大きな闇は未だ隠されたまま。音もなく蔓延する「絶望」を振り払うため、気づいた者たちが蠢動していく。
捨吉に捕縛されたアンは眠りの中で、もう取り戻せない時の甘美な夢に浸る。どうしようもない衝動に、走り出した杏(あん)は堀の内で、和音に出会う。溢(正字でルビ)れだす思いに、和音は・・・。あの世」の一般人、山之内(やまのうち)親子は自らの暮らしの異常さに疑問を抱き、動き出す。永遠にそして漫然と続くはずだった世界は音を立てて崩れ始めた――。
“空”に穴が空き、大混乱が訪れる「この世」で、“文字”を知る杏は多くの者の心を掴む。そして彼女は世界を繋げるべく、動き出す。捨吉は病に臥(ふ)せるアンのため、急激に“老い”が押し寄せる「あの世」へ。なすすべもなく惑う人ごみの中で出会ったの者とはーー。平治、我次郎は山之内父と出会い、荒唐無稽な夢は現実味をおび始める。小さき者たちが運命に突き動かされる頃、かりそめの世界は、もう崩壊寸前。
※ネタバレを含むクチコミです。
50歳を超えると人は死ぬと伝えられてきた村人たち。 「あの世」だからと山を越えてはならぬの掟。 元気なのに死ななければならないって、しきたりでも逃げ出す人はいなかったのだろうか。 今の日本でも、村社会ってどうしてこうも陰鬱としてんだろうってところが似ています。 不思議な世界観といくつも謎がはりめぐらされていて、何が起こるかわからない展開にドキドキしました。 キャラクターも生き生きしてて◎ 最終的にどうなるのか全く分からないところ、期待しちゃいます。
※ネタバレを含むクチコミです。