あらすじ

恋人であったあいに裏切られ、日露戦争に出征した楽市は、腹に傷を負いながらも再びアメリカの地へ。しかし戦争の影響で排日運動が激化し、自分たちの店を失ってしまった楽市たちはロックウッドの勧めで農場の開墾に精を出す。そしてお福に想いを寄せる清郷のために、楽市はふたりを結びつけようと考えるが、お福は楽市が好きだと告白。悩む楽市だったがお福がレイプされそうになった事件をきっかけにお福との結婚を決意。清郷も千代との結婚が決まり、ささやかな幸せを感じるのだが――!?
がんがらがん(1)

夢と希望を持ってアメリカへ移住した日本人たち。しかし彼らにはさまざまな苦難が待ち受けていた…。アメリカ200年の歴史の半分にあたる日系人移住史を、那ノ津楽市という人物の生涯を通して描きあげた長谷川法世の意欲作!博多山笠を愛する石工・那ノ津楽市は、山笠廃止案を玄洋社の仕業と考え単独で殴り込みを。しかしそこで頭山満と出会い、狭い博多ではなく広い世界に目を向けろと諭される。そして楽市はアメリカで一旗あげると決意して渡米するのだが…!?

がんがらがん(2)

劣悪な環境での船旅を乗り越えてアメリカに上陸した楽市。船で知り合った清郷とともに、ホテルの主人から紹介された鉄道作業の仕事をすることに。しかし過酷な肉体労働や粗末な食事、反日アメリカ人からの攻撃、そこでの生活は決して楽ではなかった…。そしてある日、事故に遭った白人女性を助けた楽市と清郷は、誤解によって逮捕されてしまうが脱走。逃亡の途中に襲ってきた熊と戦った清郷は崖に落ちて行方不明に。ひとりになった楽市はあてもなく列車に飛び乗って…!?

がんがらがん(3)

親日家のロックウッドに拾われて、使用人として働く楽市。ある日、サーカスの巡業で行方不明だった清郷と再会。そして石工だった経験を生かし、清郷と民芸品の店を開くことに。そこへ駈け込んで来たのは許嫁の借金で売り飛ばされそうになった福。楽市は、シスコの日本人社会のボス・鬼政のもとへ行き、福を自由にする話をつけてくる。そんな折、世話になった石善親方が事故で死に、その娘であり楽市の恋人である、あいが結婚すると聞いた楽市は、日本へ戻り花嫁姿のあいを連れ去るのだが――!?

がんがらがん(4)

恋人であったあいに裏切られ、日露戦争に出征した楽市は、腹に傷を負いながらも再びアメリカの地へ。しかし戦争の影響で排日運動が激化し、自分たちの店を失ってしまった楽市たちはロックウッドの勧めで農場の開墾に精を出す。そしてお福に想いを寄せる清郷のために、楽市はふたりを結びつけようと考えるが、お福は楽市が好きだと告白。悩む楽市だったがお福がレイプされそうになった事件をきっかけにお福との結婚を決意。清郷も千代との結婚が決まり、ささやかな幸せを感じるのだが――!?

がんがらがん(5)

排日土地法によって開墾した農地を奪われた楽市たちだったが、ロックウッドの娘・アンからホテルの経営を提案され、ホテルとクリーニング屋を開く。しかし排日移民法など、日本人への差別はますます激しくなっていき、楽市の息子・朝市は大学まで卒業したにもかかわらず就職できず、日本人であることに失望していく。一方、娘の幸江は英治との結婚が決まり、苦難のなかでも前向きに生きていく楽市たちだったが、日本とアメリカが決裂する出来事が起こってしまい――!?

がんがらがん(6)

日本の真珠湾攻撃によりアンの夫・ビリーが戦死したことで、楽市は親切にしてくれたロックウッド家にまで別れを告げられる。日々過激になるアメリカ人からの批判、攻撃にさらされた日系人たちは、全財産を二束三文で失い、ついには収容所へ強制収容させられることに。「アメリカへの忠誠を誓えるか?」という質問書まで出される状況のなか、朝市と幸江の夫・英治は家族を守るために、日本人と戦う兵隊に志願し、442部隊として最前線へ――!!

がんがらがん(7)

ツールレイクへ移動させられた日系人たちは待遇のひどさに意見するが、それを聞き入れない収容所の対応によって暴動寸前に。また、精神的にも追いつめられた日系人は日系人同士で傷つけあうようにまでなってしまう…。1944年になり、罪なき日系人を苦しめ続けた収容所はついに閉鎖されたが、財産を失っている日系人たちの苦難は続いていく…。一方、最前線に送られた朝市は生き残って終戦を迎え、父・楽市の故郷である福岡に向かう。そこで朝市は、かつて楽市の恋人だったあいの孫娘である市子と運命的な出会いをする――!

がんがらがん(8)

市子のことが気になる朝市だったが、アメリカへ連れて帰って市子に苦労させたくはないと悩んでいた。除隊してアメリカへ戻る朝市に代わって、戦友のマイクがふたりを結びつける。アメリカでは移民帰化法が制定され、ようやく楽市たちはアメリカ市民として権利と名誉を得ることが出来た。楽市はシカゴへ渡ってきた博多山笠を見て、こみ上げる涙を止められなかった。長きに渡って苦難を乗り越えてきた楽市の胸には、アメリカで本土を走る山笠の姿が――!!アメリカで生き抜いた日系人・楽市の物語、感動の完結へ!!