あらすじ

第一次川中島の戦い、開幕。宿命の初対決! 天文二十二年(一五五三年)八月… 景虎は武田晴信(後の信玄)との初対決である第一次川中島の戦いの最中にあった。晴信が出方を窺い、塩田城に籠城する中、景虎はシロを影武者に立て、自軍を二手に分けて敵をかく乱する。しかし、晴信も軍師・山本勘助をはじめ、忍びを長尾軍に差し向け、景虎の狙いとその正体に迫るが……!? 大胆不敵な女と冷静沈着な男。計五回、約十二年にわたる戦いの始まりは、まるで恋の駆け引きのようだった―― 東村アキコが描く本気の大河ロマン。女・上杉謙信一代記、胸
雪花の虎 1巻

戦国の世を、義を貫いて駆け抜けた軍神・上杉謙信。毘沙門天の化身とされる名将中の名将は、実は、女だった――― 時は享禄二年、1529年。越後の春日山城城主・長尾為景の第3子が誕生する。不甲斐ない嫡男・晴景に代わる後継ぎとして期待された赤子は、しかし女児だった。失望する為景だったが、すぐに決意を新たにする。「この子を、姫武将として育てる」「名を虎千代とする」と―― 強い父、やさしい母、穏やかな兄、健気な姉に囲まれ、小さな山城でお転婆に育つ虎千代。その双肩に背負う運命の重さを、未だ知るよしもなく……。東村アキコが挑む本格大河ロマン、越後の虎、女・上杉謙信の一代記がいま、始まる!!

雪花の虎 2巻

東村アキコが描く本気の大河ロマン。女・上杉謙信一代記、第2集! 天文九年(1540年)、虎千代11歳。父・為景の隠居後、兄・晴景が長尾家の家督を継ぐと、荒れていた越後の情勢はますます悪化、長尾家は度重なる戦の渦中にいた。その年の暮れ、虎千代の成長を見届けぬまま、為景が帰らぬ人となる。愛する父の死に「この城を守るのは自分だ」と覚悟を新たにする虎千代だったが、明けて天文十年(1541年)、彼女の体に異変が起きる。一方、隣国・甲斐の武田家では、当主・信虎の暴政に家臣たちの我慢も限界に達し、息子・晴信にある決断を迫るが…… 後の上杉謙信と武田信玄。いまだ相見えぬ終生のライバルの運命は今、大きく動き出そうとしていた―― 1集発売後即大量重版の注目作、待望の第2集が遂に登場!

雪花の虎 3巻

跳梁跋扈の戦国の世。女ながらに元服した景虎は、初陣を華々しく勝利で飾り、武人としての頭角を現す。しかしそれは皮肉にも、当主である兄・晴景の評判を相対的に下げることとなった。亡き父・為景の代からの家臣である黒田秀忠は、晴景を見限り謀反を起こす。景虎は、黒田を制圧すべく挙兵するが……!? 少しずつ狂い始める運命の歯車。優しい兄と強い妹。互いを想い合うふたりの美しい絆が、戦国の世では、悲劇の種となる―― 東村アキコが描く本気の大河ロマン。女・上杉謙信一代記、第3集!

雪花の虎(4)

やさしい兄・晴景と、強い妹・景虎… 互いを想い合うふたりの本心とは裏腹に、それぞれを担ぐ者たちによって、越後は割れていた。城主である晴景は、女ながらに武人として生きる景虎を守るため、形ばかりの挙兵をすることに。遂に戦に突入した、兄と妹―― しかし、周囲の思惑のすれ違いから、ある事件が起き――!? 東村アキコが描く本気の大河ロマン。女・上杉謙信一代記、第4集!

雪花の虎(5)

川中島まであと数年… 龍虎の激突前夜! 城主となった景虎と、甲斐の武田晴信。後に終世のライバルとなる二人の、思わぬ場所での出会い。女の姿の景虎に惹かれ、興味を持った晴信、その一方で、景虎が抱いたのは―― 男への恐怖心だった。武将として、城主として、女として…… 今後、男を恐れぬために、景虎は幼い頃から慕う兄僧・宗謙にある命を下す。川中島での直接対決まであと僅か。奪い合いの戦国の世、龍虎の激突前夜とは――!! 東村アキコが描く本気の大河ロマン。女・上杉謙信一代記、第5集!

雪花の虎(6)

妹を守る。それが兄の“戦国”だった―― 天二十一年(一五五二年)、穏やかに一年の始まりを祝う景虎たち。戦乱が絶えぬ中、束の間の休息と思われたが、武田晴信(後の信玄)の軍師、山本勘助がはなった「草」が越後に潜入… その陰は、隠居中の景虎の兄・晴景の周辺にも忍び寄る。病弱、戦嫌い、家族想い。時代と立場を誤り、生まれてきてしまった心優しい人。景虎を女城主とし、陰ながら支えた彼にも、歴史に記されなかった戦いがあった。さらに、景虎に助けを求め、関東から招かれざる客がやってくる。いざ、新たな戦いへ―― 東村アキコが描く本気の大河ロマン。女・上杉謙信一代記、第6集!

雪花の虎(7)

第一次川中島の戦い、開幕。宿命の初対決! 天文二十二年(一五五三年)八月… 景虎は武田晴信(後の信玄)との初対決である第一次川中島の戦いの最中にあった。晴信が出方を窺い、塩田城に籠城する中、景虎はシロを影武者に立て、自軍を二手に分けて敵をかく乱する。しかし、晴信も軍師・山本勘助をはじめ、忍びを長尾軍に差し向け、景虎の狙いとその正体に迫るが……!? 大胆不敵な女と冷静沈着な男。計五回、約十二年にわたる戦いの始まりは、まるで恋の駆け引きのようだった―― 東村アキコが描く本気の大河ロマン。女・上杉謙信一代記、胸

雪花の虎(8)

強く気高い姫武将は“恋”をするか―― 天文二十二年(一五五三年)、秋。景虎は京都上洛の道中、都を追われた時の将軍・足利義藤とその側近らと出会い、束の間の青春を謳歌する。彼らと絆を結んだ景虎は幕府復権の手助けを約束。義藤の側近・進士源十郎を伴い京、そして堺へと向かうことに。そこでは、義藤と敵対する三好長慶とその義弟・千宗易(後の利休)が、景虎を“目利き”すべく待ち構えていた――― 狭い茶室で繰り広げられる、一触即発の神経戦。そして、密かに進む武田の軍師・山本勘助による襲撃計画。次々と襲いくる窮地に景虎は――!? 東村アキコが描く本気の大河ロマン。女・上杉謙信一代記、動乱の最新第8集!

雪花の虎(9)

姫武将・長尾景虎、ご懐妊―――!? 天文二十二年(一五五三年)、将軍の側近、進士源十郎と“女人禁制”の高野山にて、時を過ごす景虎。女であることを打ち明け、気持ちを通わせ合うが、互いの立場や身分を考え、それぞれの場所に戻ることを決意する。そうして越後に戻り、粛々と城主として務める日々のなか、景虎の体に異変が。その様子を見た麦は妊娠の可能性を告げるが…… 戸惑い、悩む景虎、驚愕の長尾家中、そして景虎に特別な想いを抱く宗謙もまた、複雑な胸中を隠せないでいた――― 女・上杉謙信の一代記。新たな局面を迎える、革新の第9集!

雪花の虎(10)

女・上杉謙信の一代記、堂々終幕! 宿敵・武田信玄との最終決戦、第四次川中島の戦い。苦楽を共にした家臣と共に幾度となく出兵した川中島に着陣した謙信。果たして戦の神はどちらに軍配をあげるのか――― 女と男。大胆と慎重。義理と冷酷。常に真逆、相対する二人の長きに渡る戦い、遂に決着! 降る雪のように優しく、舞う花のように美しく、哮る虎のように勇ましく――― 戦国を駆け抜けた姫武将、その終幕を見届けよ。

雪花の虎

祝・完結!!

雪花の虎 東村アキコ
かしこ
かしこ

漫画雑誌ヒバナの創刊号と最終号の表紙を飾ったのが「雪花の虎」でしたね。移籍先のビッグコミックスピリッツで今週ついに最終回を迎えてしまいました…なんて偉そうに言ってますが、最終回に合わせて単行本と雑誌を一気読みしたので連載をちゃんと追っていた訳ではありません…!偉そうなこと書いてすみません!でもすっごく面白かった!!上杉謙信は実は女性だったんじゃないか説を東村アキコ先生がかなり大胆にアレンジされているので、そのノリに乗るには一気に読むのがオススメです!!最終回は謙信の生涯を一緒に駆け抜けたな〜という達成感を得られて感無量でした。ちなみに最終巻は来年の初春に発売とのこと。待ち遠しいですね! 歴史が苦手な自分でも楽しんで読めるか不安だったのですが、そういう人の為にちゃんと東村先生はティータイムという名の逃げ場を用意してくれてるので安心して下さい。しかも最初の頃は先生も「この説明文はWikipediaを見ながら描きました!」とか描いててめっちゃ親近感わきます。ヒバナからスピリッツに移籍して1話目のスーパーおさらいタイムも笑いました。気軽に歴史を学びつつ、たまにベルばら並みにドラマチックな展開があったりするところがまた素敵です。もちろん謙信がオスカル様ですが、ちゃんとアンドレもいますよ!しかもアンドレ的な人が僧侶っていう…かなりドキドキな展開なんです。脚色されてる部分はたくさんありますが、読んでいると本当に女性だったのかもと思えるような説得力があるし、私はもうこれ以外の謙信は考えられないくらい魅力にハマっちゃいました。

雪花の虎

東村アキコが描く上杉謙信が女だったら、女であれば

雪花の虎 東村アキコ
六文銭
六文銭

戦国時代の歴史ものが好きです。 身を焦がす野望、生死を駆けた合戦、政治的駆け引きの数々--そこに人間ドラマが凝縮されてて読んでて胸アツなんですよね。 ただ、自分は「物語」として好きなだけであって、史実として正しいとかはあまり求めていないタイプ。 ライトな歴史好きです。 マンガにおいては、歴史にあった正しい情報を淡々と描かれるよりは、フィクションを混ぜたり多少脚色されてたほうが嬉しい。 史記における「キングダム」や、藤崎竜の「封神演義」などが良い例です。 そういう意味で、本作「雪花の虎」も、私的にツボでした。 戦国時代で一二を争う超人気武将「上杉謙信」が女性だったという説を題材にした本作。まさに、戦国タラレバ。 上杉謙信といえば、私利私欲では戦をしない、敵に塩を送るなど、欲望渦巻く戦国時代にあって「義」を重視することで有名な武将。その高潔さから、長年のライバルだった武田信玄からも、死に際、「何かあれば上杉謙信を頼れ」と遺言したほどです。 何度も戦った相手から、そんなこと言われてしまう謙信の人徳の高さ伺えるエピソードです。 その上、ほぼ負け知らずという戦国最強の強さも持っているかとか、なんかもう色々カッコよすぎる! 強いのに驕らないとか、ズルいっす。 本作は、そんな上杉謙信が女性として描かれ、東村アキコのもつ独特な女性観と相まって、また違った魅力の謙信を引き出してくれます。 東村アキコ節ともいえる、ブレない芯の強い女性像と、酸いも甘いも噛み砕いた人間臭いキャラクター描写が、歴史ドラマに見事マッチしています。 歴史好きも、そうでない人も楽しめる作品になっています。 (複雑な歴史的描写は、アキコのティータイムコーナーでゆる~く説明してくれる配慮も嬉しい。) 過酷な運命を背負い、女子のまま、女子らしく、強く、賢く、そして美しく成長していく女・上杉謙信に、私、釘付けです。 今後、曲者ぞろいの戦国武将たちを、女としての謙信が、どういなしていくのか楽しみな1冊です。