あらすじ今から160年ほど前にこの国に起きた未曾有の危機。欧州列強に不平等条約を結ばされ、江戸人口のおよそ7人に1人が死んだといわれる疫病・コロリが大流行。経済は傾き、人々は倒れる。そんな憂国にあって“ある農民”が立ち上がった。男は、長州志士や水戸浪士たちと繋がり攘夷運動に身を投じ奔走する!! その男とは後に、「資本主義の父」と言われる渋沢栄一であった…。
これ、かなり驚きました。埼玉県民として県の誇る偉人の渋沢栄一について、知っているつもりでいましたが、業績ばかりに目が行って、その青年時代を思ったことは無かった。 明治政府で大蔵官僚として活躍した後、実業家として数多の企業や大学を設立し、日本の産業の基礎を作った渋沢栄一。その人がまさか、攘夷の志士であったとは! 豪農の息子であった栄一は、その賢さと真っ直ぐな心故に、倒幕の運動に身を投じる……と言うとやはり、実業家としての栄一像とズレがありそうに思えますが、彼を動かした幾つかの「言葉」を見ると、高い理想と優しさで「戦う」栄一を貫くビジョンが見えて来ます。 作者は阿佐田哲也や西本聖を描いてきた〈いぶし銀の名手〉星野泰視先生。熱い筆致で幕末の動乱と渋沢栄一の旅立ちを、ぐいぐい読ませます。次の大河ドラマや一万円札等、話題急上昇中の渋沢栄一を、今だから読んでおきたい!