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西条美香——叩き上げの実業団選手。どちらかというとパワー重視。 有沢由利——天才プレイヤー。どちらかというと技重視。 この二人がバドミントンで世界一を目指します。
▼第1話/哀しい瞳の上級生▼第2話/勝てば彼女…▼第3話/そんなの絶対だめです。▼第4話/おもしれえ!▼第5話/神主打法▼第6話/なめんな!▼第7話/笑ってください。▼第8話/気になるアイツ▼第9話/敵情視察●主な登場人物/如月茂一(高校入学早々、上級生の秋葉にひとめぼれ。1年。大汗かき)、鈴森秋葉(男子バド部のマネージャー。元・全日本チャンプ)●あらすじ/湘代高校に入学したばかりの茂一は、毎日電車で見かける“哀しい瞳をした上級生”の秋葉に恋をした。校庭で彼女を見かけた茂一は、何の工夫もなく「好きです。付き合ってください」と告白。意外にも「いいわよ」と答えた秋葉は、なぜか茂一を体育館に連れて行き、バドミントンの試合をするよう迫る(第1話)。●本巻の特徴/「勝てば彼女、負ければバドミントン部入部」で始まった茂一vs秋葉の試合。廃部の危機に立つ男子バド部のため、必死に部員を勧誘するマネージャー・秋葉は、実は中学時代全日本チャンプだった!? ワケありな彼女を前に、茂一もコート上で熱く舞う!! ●その他の登場人物/芦刈悟郎(茂一の親友。1年。運動神経バツグン)、岡本透・磯島耕平(男子バド部員。2年。秋葉の熱狂的ファン)、砂川亮(元・バド部。以前、秋葉にふられて失恋太りした)、花村冬樹(正体不明のヤクザ風男。男子バド部コーチに)、草村一子(茂一のクラスメート。自称・茂一の応援団長)
【世界と戦うアスリート漫画③〜スポーツコラム風に】 2020年3月17日現在、バドミントン女子ダブルスの世界ランキング十傑には、日本ペアが三組入っている。永く日本のトップであった福島×廣田組を、永原×松本組が猛追。そして2016リオ五輪金の髙橋×松友組は、2020東京五輪代表の二枠から遠ざかりつつある。 (2021.7.29追記あり) 新勢力の後塵を拝している髙橋×松友組も、かつては2012ロンドン五輪銀の藤井×垣岩組を乗り越えてきた。 世界レベルの国内選手と争い、乗り越える事で進化してきた、日本バドの女子ダブルス。その源流には、小椋×潮田組という伝説がいた。ルックスと実力を兼ね備えた二人には、余りにも過剰な期待と注目が集まったものだった。 ★★★★★ 『シャトル・プリンセス』の主人公は、日本トップクラスの女子バドミントン選手達。 インターハイを制して高校を卒業した有沢は、勝ち続ける事の重圧からバドミントン自体を辞めたいと考えるが、気迫で圧倒してくる西条に惹かれ、西条とのダブルスを申し入れる。 二人はすぐに頭角を現し、日本の頂点を獲ると世界への挑戦を始める。 界隈からの期待とやっかみ、ビジュアル面での過剰な人気、それに反して結果を残せないことへの批判、そして世界の壁。……2013年発表のこの作品は、恐らく2008年迄に小椋×潮田組が通ってきたと思われる苦闘の歴史をなぞる。 その上で、勝気で正直な西条がストレートに状況への違和感を表明するのを、若いのに落ち着いた有沢が冷静に受け止める、というやり取りで、過剰な重圧を二人で乗り越える過程が描かれ、この二人なら……という期待感が高まる。 長年『スマッシュ!』で高校生のバドミントン競技を描いてこられた咲香里先生が、この世界を見てこられた知見が詰まっているのだろう。観戦者の私が感じていた「オグシオ・フィーバー」への違和感も、当事者達の「それでも競技が注目されたい」という願いも、選手達の複雑な思いも……様々な思惑の絡んだ「女子ダブルス」が描かれていて、これは相当な問題作となるかも、と期待しながら次巻を待っていた。 ……残念ながら1巻で(中途半端な状態で)打ち切りのようだが、今後も各競技で現れるだろう「美しすぎる○○選手」を考え、日本代表の重責に思いを馳せるために、続刊は無いことを念頭に置いて、読んでみてもいいかもしれない。