美しすぎる日本代表の、重責と苦闘。

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【世界と戦うアスリート漫画③〜スポーツコラム風に】
2020年3月17日現在、バドミントン女子ダブルダブルスの世界ランキング十傑には、日本ペアが三組入っている。永く日本のトップであった福島×廣田組を、松本×永原組が猛追。そして2016リオ五輪金の髙橋×松友組は、2020東京五輪代表の二枠から遠ざかりつつある。

新勢力の後塵を拝している髙橋×松友組も、かつては2012ロンドン五輪銀の藤井×垣岩組を乗り越えてきた。
世界レベルの国内選手と争い、乗り越える事で進化してきた、日本バドの女子ダブルス。その源流には、小椋×潮田組という伝説がいた。ルックスと実力を兼ね備えた二人には、余りにも過剰な期待と注目が集まったものだった。

★★★★★

シャトル・プリンセスシャトル・プリンセス』の主人公は、日本トップクラスの女子バドミントン選手達。
インターハイを制して高校を卒業した有沢は、勝ち続ける事の重圧からバドミントン自体を辞めたいと考えるが、気迫で圧倒してくる西条に惹かれ、西条とのダブルスを申し入れる。
二人はすぐに頭角を現し、日本の頂点を獲ると世界への挑戦を始める。

界隈からの期待とやっかみ、ビジュアル面での過剰な人気、それに反して結果を残せないことへの批判、そして世界の壁。……2013年発表のこの作品は、恐らく2008年迄に小椋×潮田組が通ってきたと思われる苦闘の歴史をなぞる。
その上で、勝気で正直な西条がストレートに状況への違和感を表明するのを、若いのに落ち着いた有沢が冷静に受け止める、というやり取りで、過剰な重圧を二人で乗り越える過程が描かれ、この二人なら……という期待感が高まる。

長年『スマッシュ!スマッシュ!』で高校生のバドミントン競技を描いてこられた咲香里咲香里先生が、この世界を見てこられた知見が詰まっているのだろう。観戦者の私が感じていた「オグシオ・フィーバー」への違和感も、当事者達の「それでも競技が注目されたい」という願いも、選手達の複雑な思いも……様々な思惑の絡んだ「女子ダブルス」が描かれていて、これは相当な問題作となるかも、と期待しながら次巻を待っていた。

……残念ながら1巻で(中途半端な状態で)打ち切りのようだが、今後も各競技で現れるだろう「美しすぎる○○選手」を考え、日本代表の重責に思いを馳せるために、続刊は無いことを念頭に置いて、読んでみてもいいかもしれない。

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