「全部 実話です(笑)」(吾妻) 突然の失踪から自殺未遂・路上生活・肉体労働──『アル中病棟』に至るまで。著者自身が体験した波乱万丈の日々を、著者自身が綴った、今だから笑える赤裸々なノンフィクション。 ・第34回日本漫画家協会賞大賞・平成17年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞・第10回手塚治虫文化賞マンガ大賞・第37回日本SF大会星雲賞ノンフィクション部門 数々の賞を受賞した名作が待望の電子書籍化! さらに、電子書籍限定特典として関連作品を収録! これはもう総てのアズマニア、だけでなく総ての現代人にとっての福音の書だと思いました。面白くて面白くて、泣く暇も震える暇もありません。[足の丸い四頭身で描かれた現代の新約聖書]て事でどうでしょうか。受難の煉獄とも言える全編を覆う、強烈な生命力が軽妙ですら有ります。──菊地成孔(ミュージシャン) ●単行本カバー裏 インタビュー『裏失踪日記』収録●【電子書籍限定特典】・『放浪日記』2006年・『失踪こぼれ話』2001年 【目次】夜を歩く/街を歩く/アル中病棟/巻末対談 吾妻ひでお×とり・みき/裏失踪日記/失踪日記 電子書籍限定特典
「病棟は、楽しいよ」(吾妻)度を越した飲酒でアルコール依存症になってしまい、担ぎ込まれた通称『アル中病棟』。入院してわかったお酒の怖さ。そこで出会ったひとくせもふたくせもある患者や医者たち。かわいくて厳しいナースたち。そしてウソのようで本当の、驚くべきエピソードの数々。そこから著者はいかにして、アルコール依存症から抜けだしたのか? 30万部ベストセラー『失踪日記』から執筆8年、満を持しての続編。ここでしか見られない限定特典を収録した、電子書籍版。「緻密な描写。ギャグマンガ家ならではの客観的な視線。『失踪日記』以上にすごい作品です」──とり・みき(マンガ家) ●単行本カバー裏 リアル「セルフケア自己評価表」(入院前・現在)を収録●【電子書籍限定特典】・カバーイラスト案1・カバーイラスト案2・カバーイラスト原画
吾妻ひでおの『うつうつひでお日記』のなかに、福満しげゆきの『僕の小規模な失敗』(『僕の小規模な生活』の前日譚)について言及している頁があったように思われる。うるおぼえだが、いわく、さいごのコマの表情がとてもよかった云々と書かれていたような気がする。たしかにその表情はとても小さなコマながら私の印象にも強く残っていて、すぐに思い浮かべることができた。また、ほかの頁には『うち妻』の妻が吾妻ひでおタッチに模写されていたりする。要するに、年の差はあれど、どうやら吾妻は福満のファンらしいのである。 そして『失踪日記2 アル中病棟』をさいごまで読んだときに、この表情のことを思い出さずにはいられなかった。どん底で、先行きは何もままならない、そんな状況下で街を彷徨い歩きながら、けっしてすべてには落胆しきっていないような、あの何ともいえない表情。同じ自伝的マンガ作家の先輩と後輩であり、またマンガ家として同志でもあるふたりを繋げたひとつの表情、こんなに美しいオマージュがほかにあるだろうか……と感嘆に震え、目頭が熱くなったのだった。