あらすじ

雇われ店長として、伊橋が『楽庵』を任されて数年。オーナー・拝島の無茶ブリや、若き料理人・啓介の気まぐれに翻弄されながらも、多くのお客さんに愛されるお店になりました。その『楽庵』で、伊橋が頼りにしていた男・深田が、独立開業するため店を去ることに…。苦楽を共にしてきた仲間を送り出す伊橋、拝島、啓介、稲月、それぞれの思いは深く…
味いちもんめ 独立編 1巻

熟考の末、大幡が持ちかけた独立話を受けることにした伊橋は、いよいよ自分が板長として働く神楽坂の店を見に行く日を迎える。兄からの激励の手紙と、父からのプレゼントも受け取り、気持ちも新たに神楽坂へと繰り出した伊橋は、そこで一緒に店を見てくれるという大幡と三松の到着を待つ…。

味いちもんめ 独立編 2巻

独立店の改装初日、施工業者に挨拶をするため現場へやって来た伊橋。自分が働いていたわけでもない店の取り壊しをわざわざ見に来たのは、元の店『庵』の従業員である深田の気持ちを慮ってのことだった。そして、やはり現場に先乗りしていた深田は、伊橋のそんな気持ちに気付き…。

味いちもんめ 独立編 3巻

『楽庵』の開店から早半年、伊橋の仕切りがようやく板についてきた一方で、啓介はナベ&早瀬から料理人としてのノウハウを叩き込まれる日々を送っていた。ただでさえ雑務で忙しい上に、野菜と魚の下ごしらえを特訓されることになった啓介は、慣れない魚の内臓や、貝剥きに大苦戦で…。

味いちもんめ 独立編(4)

客の入りも従業員の仕事ぶりも軌道に乗ってきた『楽庵』。だが疲労のたまった伊橋は食欲が出ず、賄いもあまり口に入らない。そんなある日の閉店後、気紛れオーナーの拝島がいつものように予告なく店を訪れる。初顔合わせの稲月の紹介もそこそこに拝島が伊橋に切り出したのは、またも無茶な話で…。

味いちもんめ 独立編(5)

景気回復の兆しが見えないご時世の中、伊橋が大将をつとめる『楽庵』は、大繁盛!…とはいかないまでも、経営状態は概ね良好。とはいえ、時には迷惑な客と対決したり、スタッフの緩んだ気持ちを戒めたり、自己中なオーナーの無茶ブリに振り回さたり…と大将・伊橋は何かと大変でして。そんな中、かつての後輩、青田が結婚するという、めでたい話が!後輩の慶事に喜んだのも束の間、その結婚話が相手の親の反対で御破算寸前に。先輩として、一肌脱ごうとする伊橋ですが…

味いちもんめ 独立編(6)

人を使い、人を育てる…そんな責任重大な立場になった主人公・伊橋悟。偏屈オヤジの深田、ちょっと空気読めない系の若者・啓介、軽く天然ボケのアルバイト・稲月の4人で、なんとかお店を切り盛りする毎日。礼儀知らずなお客と対決したリ、まだまだ未熟な啓介を叱ったりする中、自分自身の修業がまだまだ足りないことに気づかされたりするワケで…。ともかく、『桜花楼』時代の後輩・青田の結婚話やら、神楽坂のご隠居さんとの出会いやら、いろいろ新しい出来事が起こる第6集です!

味いちもんめ 独立編(7)

朝早くから仕込みに精を出し、お客の入りに一喜一憂し、日々の献立に頭を悩ませる…そんな料理人として当たり前の毎日を繰り返してきた『楽庵』の面々。そんな日常を覆すような大震災がこの国を襲った。一介の料理人・伊橋悟は考えた。多くの人を救えるような力は自分にはない。けれど、何もしないわけにはいかないんじゃないか…と。深田、啓介、稲月…ともに『楽庵』で働く者たちと知恵を振り絞った末に見つけ出した答えは?日本の食の行く末を考える第7集。

味いちもんめ 独立編(8)

雇われ店長として、伊橋が『楽庵』を任されて数年。オーナー・拝島の無茶ブリや、若き料理人・啓介の気まぐれに翻弄されながらも、多くのお客さんに愛されるお店になりました。その『楽庵』で、伊橋が頼りにしていた男・深田が、独立開業するため店を去ることに…。苦楽を共にしてきた仲間を送り出す伊橋、拝島、啓介、稲月、それぞれの思いは深く…

味いちもんめ 独立編(9)

創設スタッフの深田が独立し店を去った『楽庵』。厨房の人手不足を補うために、伊橋は新スタッフを雇うことに。古巣・『桜花楼』の鷺宮の紹介でやってきたのは、秋津なる男。料亭、割烹…様々な店で働いたキャリアを持つ彼は、物静かで人当たりも柔らか、それになかなかの腕前の持ち主だった。だが、彼にはちょっとネガティブな秘密が…。

味いちもんめ 独立編(10)

神楽坂の料理店『楽庵』の雇われ店長もすっかり板についた伊橋。そんな中、オーナー・拝島に付き合わされて行った北海道のアンテナショップで、旧知の料理評論家・山賀と偶然再会。久しぶりに来店し伊橋の料理を食すが、何か不満げな様子。そこで山賀は、未だ知らぬ全国各地の料理や食材に出会うべく旅に出よ!…という無茶な提案をする。酔っぱらった勢いから出た冗談という程度に受け止めていた伊橋だったが…

味いちもんめ 独立編

描ききらないから感じとれる「店」の味わい

味いちもんめ 独立編 あべ善太 倉田よしみ 福田幸江
名無し

「味いちもんめ」は料理マンガとして長期連載に至っている 和食と人間ドラマを描いているヒット作。 だが自分としてはラーメンとかカレーなどに比べれば 日本料理屋の和食は親しみもインパクトもない料理の話で、 あまり興味を引かないマンガだった。 和食はどーたら、とか小難しいと感じたし。 人情ドラマとしてもそれほど深くないし、と感じて。 なので大体の登場人物達やマンガとしてのスタイル、 おおまかな話の流れは知っている、という程度でいた。 嫌いではないけれどもスペリオールを読む機会があるなら読む、 という感じだった。 たまたま「独立編」の単行本を読む機会があり 「お店の経営とかも絡む話になったのか。  それなら面白いかも。」 と1巻から6巻まで読んでみた。 面白かったし、自分の理解が色々と足りなかったんだな、 ということが判った。 それまで自分好みではないと感じていた要因として 「マンガとして絵の表現が少ない」 「セリフで説明をするシーンが多すぎる」 と感じている部分があった。 添付した画像は独立編の第4巻の1シーン。 こういう場面だったら自分としてはマンガだったら 「通常の和食技術で鮟肝を調理する絵」 を描き、その次に 「フランス料理でのフォワグラを調理する絵」 を描くのが、文章だけでなく絵で表現できる マンガならではの手法だし、良さだし、 そうすべきだ、と思っていた。 セリフで説明するのは芸が無い、 絵も活用して判り易くしてこそのマンガだろ、と考えていた。 例えば「美味しんぼ」とかはそんな感じの 話の展開が多かった。 場合によっては「口で説明するのは簡単なんだが・・」 とかいって山岡さんは話を打ち切って、 わざわざ北海道とか九州とかに直接に行って 「現地で実際に見て説明する話」 にしてまで絵的に表現するマンガだった。 なかには超能力者を登場させて時と場所を超越して 登場人物がその目でそれを見ているから、と絵的に 表現する話もあったりした。 そういう話と「味いちもんめ」のセリフ過多?の 話を比較して改めて 「どっちがリアルなんだろうか」 という点で自分は考え直すところがあった。 いまは「味いちもんめ」のほうがリアルだと思う。 実際に料理店で料理を味わっているときに、 どんなに美味しい料理を出されても、 意識が別世界に飛ぶということは殆ど無い。 頭の中に調理人が料理を作っている光景が浮かぶとか、ない。 よし現地に行って確認しよう、なんて思わない。 やはりその店のその席に座り箸を握り椀を持ち、 店内のBGMや周りの会話も耳にし、 カウンターの向こうの板さん達の仕事振りも見て、 お店全体の雰囲気に包まれながら料理を味わうのが普通。 そういった、皿の上だけでなく店全体を味わう感じ。 知識を得るのではなく店の雰囲気を味わうのが大事。 突然にフランス料理の絵なんか見せても、そんなマンガじゃ、 日本料理の店の雰囲気を伝えられない。壊すだけ。 その辺をリアルに感じさせてくれるマンガかもしれない、 そう思ったりした。 (直接に現地に行っちゃう、という展開も  だからマンガは面白いという面はあると思います) 料理や調理方法を正しく理解するということと、 お店に入って料理を味わうということ、 それぞれは微妙に違うし、現実には 料理は皿の上のものだけで味わうのでは無く そのお店の全体の雰囲気の中で味わうもの、 その点が、重要視すべきで現実的なんじゃないか、 そこらへんも含めて「味いちもんめ」は 「店の味」を描いて伝えたいマンガなのではないか、 そう思いました。