あらすじ「死に意味を見い出せぬ者を連れて行く訳にはいかん…。貴様は生きろ……」――。水中特攻兵器「回天」の創案者である仁科(にしな)と語り合い、人間が変わったかのように回天の訓練に集中する渡辺裕三(わたなべ・ゆうぞう)。しかし回天の攻撃作戦命令が出され、出撃者12名の人選を任された仁科が提出した名簿には、渡辺の名前はなかった。そして旅立っていく仁科達を見送った渡辺は、複雑な思いを……!?
戦記物を読み込んでいる私でも、この漫画の存在を知りませんでした。帝國海軍が誇った酸素魚雷に人間を搭乗させ、生身の人間が動きをコントロールして敵艦を葬る、この凄まじい発想を具現化してしまった、敗戦間際の我が国の追い詰められた姿を見る事が出来ます。 特攻を語る時に「決死」と「必死」の違いが論じられますが、その議論すら組み込まれた奥深い漫画である事を請け負います。一読に値する作品と断言します。