あらすじ

小田原北条攻めで先陣を申しつけられた真田幸村(さなだ・ゆきむら)は、前田慶次(まえだ・けいじ)らと松井田城城下町へ僧に扮して潜入する。その後、知り合いの伊勢屋を横目付・黒部三左(くろべ・さんざ)に捕らえられた慶次は、伊勢屋を救出するとともに三左を人質にして、敵である大道寺政繁(だいどうじ・まさしげ)の陣営に入り込んで……!?
花の慶次―雲のかなたに― 1巻

異風の姿形を好み、異様な振る舞いや突飛な行動を愛し、そして己の掟のために命を賭した天下一の傾奇者(かぶきもの)・前田慶次(まえだ・けいじ)の熱い生き様を描いた痛快歴史巨編。戦国時代末期、軍馬補充のため野性馬狩りをしていた滝川(たきがわ)軍は、恐るべき巨馬“悪魔の馬”の猛攻で狩りに失敗する。そこで滝川の軍団で傾奇者として知られる前田慶次が、悪魔の馬を殺すように命じられるのだが……!?

花の慶次―雲のかなたに― 2巻

佐々成政(さっさ・なりまさ)軍の一万五千の兵に囲まれる末森城へ出兵した前田慶次(まえだ・けいじ)は、崖下から這い上がって盟友である末森城城主・奥村助右衛門(おくむら・すけえもん)と再会する。その後、城壁を上がってくる敵兵を小便で一網打尽にした慶次と奥村は、その豪胆さで死にかけていた城兵達の士気を高める。しかし佐々との決戦を前にして、たくさんの死人を見て恐れをなした陽水(ようすい)が逃亡を……!?

花の慶次―雲のかなたに― 3巻

前田慶次(まえだ・けいじ)と懇ろになり幸せな日々を過ごすくノ一・螢(ほたる)。しかし忍びの師匠・蝙蝠(こうもり)により慶次を殺すように催眠の術をかけられた螢は、自分の命を引き換えにして慶次を守りきり、彼の腕に抱かれて息絶える。そして螢の亡骸を荼毘に付していた慶次は、そこへ現れた蝙蝠、加賀忍軍と死闘を開始する。一方、おふうは前田利久(まえだ・としひさ)へ慶次からの離縁状を届けて……!?

花の慶次―雲のかなたに― 4巻

義父・前田利久(まえだ・としひさ)が没して前田家との絆がなくなった前田慶次(まえだ・けいじ)は、おふう、捨丸(すてまる)とともに天下見物で京の都へ行く。その時、喧嘩を売ってきた千利休(せんのりきゅう)の長男・道安(どうあん)ら一味を叩きのめした慶次は、道安に槍持ちをさせて入京して有名になる。そして豊臣秀吉(とよとみ・ひでよし)も気にかけるほどの慶次を見定めようと、千利休が単身で慶次の家へ来て……!?

花の慶次―雲のかなたに― 5巻

喧嘩騒ぎの黒幕によって四百もの傾奇者らに取り囲まれた前田慶次(まえだ・けいじ)とその盟友・奥村助右衛門(おくむら・すけえもん)。そんな状況すらも楽しむ慶次と奥村は、いくさ人の本領を発揮して次々と傾奇者らをなぎ倒していく。そして黒幕の正体が京都所司代の前田玄以(まえだ・げんい)と知った慶次は、自分に刃を向けている玄以と果たし合いを……!?

花の慶次―雲のかなたに―(6)

豊臣秀吉(とよとみ・ひでよし)に謁見することになった前田慶次(まえだ・けいじ)は、秀吉の首を取る覚悟をしてその場へと臨む。そこで奇妙な髷で平伏したように見せかけてソッポを向いたり、秀吉を挑発するような猿芸を披露する慶次に、ついに激怒した秀吉は切り捨てようとするが、徳川家康(とくがわ・いえやす)の顔を見て考え直す。そしてふいに投げた扇子を受け取る慶次に殺気を読み取った秀吉は……!?

花の慶次―雲のかなたに―(7)

上杉家との一件で惚れこんだ直江兼続(なおえ・かねつぐ)の屋敷に通いつめる前田慶次(まえだ・けいじ)は、ある日、兼続から慶次をつけ狙う“七霧の男”の存在を知らされる。その帰り道、鬼のような形相の大男・岩兵衛(いわべえ)に襲われた慶次は、岩兵衛の戦闘能力に驚愕するも一太刀浴びせる。そして岩兵衛に公然と尾けられる慶次は、風呂屋で傾奇者をからかった事で岩兵衛と親しくなり、おふうは岩兵衛の娘なのだと告げられて……!?

花の慶次―雲のかなたに―(8)

北条家の陰謀を勘づいた石田三成(いしだ・みつなり)から、その生き証人であるおふうをよこせと言われた前田慶次(まえだ・けいじ)。しかし慶次は、光成の着物で耳掃除をする挑発的な行為を繰り返し、ついには光成を守る忍者の精鋭50人に囲まれるが、それすらもものともしない態度で光成を退ける。同じ頃、豊臣秀吉(とよとみ・ひでよし)の側室・茶々(ちゃちゃ)がいる聚楽第には、彼女の暗殺を企む月斎(げっさい)が……!?

花の慶次―雲のかなたに―(9)

能舞台での風魔小太郎(ふうま・こたろう)との死闘を終えた前田慶次(まえだ・けいじ)は、上洛した盟友・奥村助右衛門(おくむら・すけえもん)の屋敷に入り浸り、奥村の妹・加奈(かな)と再会する。その時の加奈の態度で、彼女が慶次を好きなのだと感じ取った奥村は、加奈に見合いをすすめて慶次の事を諦めるように諭す。しかし慶次がおまつを想い続けているという噂を確かめようとした加奈は、ある行動を起こして……!?

花の慶次―雲のかなたに―(10)

佐渡攻めをしている直江兼続(なおえ・かねつぐ)ら上杉軍の元に駆けつけた前田慶次(まえだ・けいじ)は、囚人や年老いた百姓らを兵として率いて河原田城への攻撃を開始する。そして兼続の軍を動かして本間左間助(ほんま・さまのすけ)の兵をすべて自軍へ引き入れた慶次は、一騎駆けで先陣を切って敵兵をなぎ倒していき、河原田城の一の門を正面突破する。そんな慶次の戦いぶりに上杉本陣も動き出して……!?

花の慶次―雲のかなたに―(11)

前田慶次(まえだ・けいじ)の愛馬・松風(まつかぜ)に惚れた真田幸村(さなだ・ゆきむら)は、北条攻めの初陣を松風で飾りたいと語って、慶次に松風を譲ってくれと頼み込む。そこで慶次は、松風が幸村を乗せるのなら連れてゆくがいいと言うが、松風は乗ろうとした幸村を勢いよく振り落とす。その後、諦めきれず松風の元へ来た幸村は、近くにいた捨丸(すてまる)をいたぶる加賀の武士達に激怒し、彼らを殺してしまい……!?

花の慶次―雲のかなたに―(12)

小田原北条攻めで先陣を申しつけられた真田幸村(さなだ・ゆきむら)は、前田慶次(まえだ・けいじ)らと松井田城城下町へ僧に扮して潜入する。その後、知り合いの伊勢屋を横目付・黒部三左(くろべ・さんざ)に捕らえられた慶次は、伊勢屋を救出するとともに三左を人質にして、敵である大道寺政繁(だいどうじ・まさしげ)の陣営に入り込んで……!?

花の慶次―雲のかなたに―(13)

豊臣秀吉(とよとみ・ひでよし)の使者として奥羽へやってきた前田慶次(まえだ・けいじ)は、疑心暗鬼に陥った伊達政宗(だて・まさむね)と対面し、その場で政宗と殴り合いの喧嘩をして友情を交わす。その後、酒を酌み交わす慶次と政宗は、乱入してきた政宗の母・保春院(ほしゅんいん)に罵られるが、政宗の一喝により収束する。そして秀吉のもとに参陣すると決意した政宗だったが、保春院が政宗の食事に毒を盛って……!?

花の慶次―雲のかなたに―(14)

千利休(せんのりきゅう)の息子・与四郎(よしろう)と知り合った前田慶次(まえだ・けいじ)は、豊臣秀吉(とよとみ・ひでよし)の朝鮮出兵を利用するイスパニアの陰謀を知らされる。その陰謀を打ち砕くべく与四郎と一緒に戦うと決意した慶次であったが、イスパニアの軍人・カルロスにより屋敷に火をつけられてしまう。そして火の海をかいくぐり、仕組まれた罠をかわした慶次達の前で、カルロスと与四郎が一騎打ちを……!?

花の慶次―雲のかなたに―(15)

堺奉行から逃がれた前田慶次(まえだ・けいじ)たち一行は、琉球へ向かう途中、嵐に見舞われて船が沈没してしまう。その後、南海の孤島に流れ着いた慶次は、愛馬・松風(まつかぜ)に導かれてきた利沙(りさ)に介抱される。そんな時、美しき利沙の貞操を狙って屋敷に侵入したマムシの火嘉(ひが)を竹槍で退治した慶次だったが、その目は塩風で見えなくなっており……!?

花の慶次―雲のかなたに―(16)

毛虎(もうこ)らに利沙(りさ)を誘拐された前田慶次(まえだ・けいじ)は、愛馬・松風(まつかぜ)を駆って利沙の乗せられた船を追いかけるが、高波を起こされて逃げられてしまう。そこで犯人が那覇の者だと宝山(ほうざん)に知らされた慶次は、那覇へ向かう途中、明の海賊船に捕らえられた与次郎(よじろう)達と再会する。そして海賊船へ乗り込んだ慶次は、女頭目・春麗(しゅんれい)に気に入られ、一緒に那覇へ行くことに……!?

花の慶次―雲のかなたに―(17)

利沙(りさ)を取り戻すため首里城へ乗り込んだ前田慶次(まえだ・けいじ)は、立ちはだかる王の側近・毛虎(もうこ)と死闘の末、一人の女のために意地を貫き通す慶次に感銘した毛虎に負けを認めさせる。その後、毛虎の案内で王の元へ向かっていた慶次は、突然現れた王の重臣・竜獄(りゅうき)に、秀吉の密偵として銃を向けられる。そして竜獄は、慶次の宿敵であったカルロスの生首を見せて……!?

花の慶次―雲のかなたに―(18)

琉球から利沙(りさ)を連れて京へと帰ってきた前田慶次(まえだ・けいじ)は、ひょんなことから知り合った徳川家康(とくがわ・いえやす)の次男・結城秀康(ゆうき・ひでやす)と親しくなる。そして豊臣秀吉(とよとみ・ひでよし)没後、新しい天下人を決めるための戦が始まり、慶次は莫逆の友・直江兼続(なおえ・かねつぐ)がいる上杉家につくと決意して……!?戦国の世を駈けぬけた希代の快男児・前田慶次の物語、ここに完結!