旅に出たい。 きっとここ数年で旅を制限されているから鬱憤が溜まっている。 そんな時に読むと、自分をどんなステキな体験が待っているだろうと妄想で膨らみまくって地の果てにでも思いつき旅行をしたくなる。 そんな作品。 絵も不思議と惹きつけられるし、ハルの体験は思春期ならではだなと高を括って読むのだが「じゃぁ大人の自分はどんな体験が出来るんだろう」と当然の如く気になってくる。 九份に行くぐらいならすぐにでも行けちゃうもんね?勢いって大事だよね!
道端にふと現れる「名代さま」という黒い御札に会いたい人の名前を書くと叶うという都市伝説。それのおかげなのか、子供の頃、転校で離れ離れになった親友に会うことが出来たという主人公が、20年ぶりにその地・尾道へ向かうという話でした。 また会おうという約束をしたはずなのに、どうしてそれきり疎遠になってしまったのか。再びその場所へ訪れることで、しまわれていた記憶が引き出され、大人になったからこそわかる人の成長を実感します。旅に出るきっかけって、こういうことでも良いんだなというのと、これこそ旅の面白さだなというのを感じました。
森泉さんといえば「爪楊枝で漫画を描く人」ですが、一番最初に掲載されている「最後のフェリー」は初めてボールペンで描いた作品だそうです。 あとがきに「そろそろペンで自分の線を描けそうな気がしたから」とありました。 普段爪楊枝で描いていることに対しては「自分でもよくわからない」と言っているのがなんか笑えました。 通常のマンガ誌に掲載されている読切等は読んだことがあったのですが、文芸誌やアーティスト個人に寄稿したものがあるのは初めて知りました(ランバーロールは読んでいます)。活動範囲が広いというのがわかる短編集です。大林宣彦監督って義理のお父さんなんですね。監督との二人のエピソードを描いた話が好きでした。 タイトルの「爪のようなもの・最後のフェリーその他の短篇」という普通ならどれかひとつの短編タイトルを付けたりするものですが、こういうかたちにしたというのになにか意味がある気がしてなりません。 またこれだけは強く言いたい。紙版を買って読むべし。 作品によって用紙が変えてあり(なのでさわり心地も違う)、ただお金がかかっているなという高級な感じはなく、リトルプレスのような自由さがあります。 ▼こんな感じ
幸せな新婚旅行がとある夜から一転、新婦を不安と恐怖の闇に突き落とすような第一話でした。めちゃめちゃ怖いじゃないですか… マレーシアにムル山国立公園という場所は実在するみたいですね。 洞窟で見たものは気のせいで片付けられても、あの落書き?はヤバかった。これからどうなるんだ。
著者が「はじめてペンで描いた」という、王道ラブストーリー読切。 ベネチアを舞台に、大学の交換研修制度で日本から来ている青年と、ダンサーの女性の短い恋が描かれる。 デートでも、彼女はかならずその日の最後のフェリーで家に帰る。家庭の事情が少々複雑そうだけど、お互いのプライベートには深く踏み込まない。 そして研修期間も終わろうという時、それぞれに自分なりの決意をして最後のデートの日を迎えるが…。 異国の恋というのは情熱的なイメージがあったけど、この話はあっさりと始まり、あっさりと終わる。期待はずれとかではなく、こういうこともあるか。と妙に納得…。 案外、このふたりが再会する可能性は低くないんじゃないかと思う。
この作品をモーニングの読み切りで読めるってすごい贅沢体験だと思う。 森泉岳土さんはずっと絵が好きで読んでいたのですが(実はとても独特な方法で描いていらっしゃいます)、これはストーリーもド直球で好みだった…。 市川崑監督の映画とか好きな人はたまらんと思う。 美麗な画面とスリリングな展開…はぁ、単行本でたら絶対買わないと。
マンバ通信の記事の感想をどうぞ!! まだ読んでない方はこちらから! https://magazine.manba.co.jp/2017/12/15/manpo-moriizumi/
「ハルはめぐりて」を先に読んでいたので、祈りと署名に収録されている「ハルはきにけり」を見つけた時は驚きました。 「ハルはめぐりて」でいろんな国を旅していたハルの物語で、これまたとてもいいです。 アルゼンチンの反対のナイゼンチンを探すために図書館で地図帳を広げながら、行ったこともないナイゼンチンに思いを馳せて空想が広がっていく、森泉岳士らしいファンタジックな漫画でとても面白いです。 普通はもう読んでいるのかもしれませんが、「ハルはめぐりて」を読んだなら、こちらも読んでほしいですし、どちらも読んでいないなら、「ハルはきにけり」から読んでほしいです。
森泉岳土先生の作品で初めて読んだ長編です。どの作品でも日常と空想世界の行き来がすごく素敵ですが、「夜よる傍に」もその行き来がすごくよかったです。 夜だけ視力が元に戻る女の子とトラウマ?で夜眠れない男が、絵本の世界を通じて夜明けを取り戻す話です。 絵に味わいがあるし、ストーリーもじんわりと染み入るものがあってオススメです。
水で描いて墨を落として、細かい部分を割り箸とか爪楊枝で描いてるらしいんだけど、しっかり空間を感じる絵になってるのがすごい。ぱっと見は平面的なのに、ある点を注視してると吸い込まれるようにして奥行きを認識する。ワインの瑞々しさとか、ビンのつるっとした質感もたまらない。
旅に出たい。 きっとここ数年で旅を制限されているから鬱憤が溜まっている。 そんな時に読むと、自分をどんなステキな体験が待っているだろうと妄想で膨らみまくって地の果てにでも思いつき旅行をしたくなる。 そんな作品。 絵も不思議と惹きつけられるし、ハルの体験は思春期ならではだなと高を括って読むのだが「じゃぁ大人の自分はどんな体験が出来るんだろう」と当然の如く気になってくる。 九份に行くぐらいならすぐにでも行けちゃうもんね?勢いって大事だよね!