火の鳥

「ヤマト編」の感想です!

火の鳥 手塚治虫
酒チャビン
酒チャビン

黎明編に引き続き、ヤマト編を読みました。 時代としては手塚治虫公式サイトによると、4世紀頃とのこと。物語としては、ヤマトタケルインスパイア(オリジナルの方を知らないのでどれくらい下敷きになってるのかわわかりませんが)です。 黎明編の最後で崖を登って旅立ったタケルが出てくるのですが、それが80年前とのことなので、前作は3世紀の設定ですかね。黎明編には卑弥呼が出てきて、卑弥呼は242〜248年ころ没とのことなので、大体そんな感じかもしれません。 黎明編のタケルが外界に出て作った国の名が「クマソ」なのですが、これはタケルのお母さんが生まれ育った国の名と同じで、黎明編で滅ぼされてしまっているのですが、同じ名前をつけているところがすごくジーンときました。 長さ自体は結構短く、1時間もあれば読み終わってしまうのですが、体感としてはかなり内容が濃く、読み終わった後の充実感がありました。 印象に残った一コマは、オグナがかなりサイケデリックな背景の中、火の鳥に笛を聞かせているシーンです。P-FUNK系の曲調だったのでしょうか。 作品のメッセージ自体は「生きる幸せとは」といったかなり壮大なものですが、作風がかなり砕けており、すごくわかりやすく読みやすいので、お子様にも安心してオススメすることができると思います。 次回は、作中の時系列で読み進めるということだと、「太陽編」の半分くらいが7世紀なのですが、もう半分が21世紀なので、前編8世紀頃の「鳳凰編」とどちらに進むか迷います・・

火の鳥

「黎明編」の感想です!

火の鳥 手塚治虫
酒チャビン
酒チャビン

https://manba.co.jp/free_spaces/39031?page=1 こちらで火の鳥が話題になっていたので、何度目かの再読を始めました。 読む順番については、今回は作品中の年代順(発表順ではなく)で読んでいこうと思います! まずは黎明編を読みました! まずはなんと言ってもストーリーが最高にいいですね!どこがというより、単純におはなしとして面白い!色々な意見があるとは思いますが、僕は何よりも「おはなしが面白い」ことを求めてマンガを読んでいるので、やっぱり何度も読んでしまいますね。 絵に関しては、特にめちゃ精緻な描き込みがされてるとかではないですが、所々で出てくるページ内で左右のコマ割りをせずに4コマみたいな感じで見せるところや、大きいコマを使ったりや、なんか眩しい感じであんまりよく見えない感じでの描写とか(上手く説明できないんですが、わかりますかね・・・)、現代の作家さんでもやってないような斬新な見せ方がすごく効果的で、ストーリーの面白さも相まってグイグイ惹きつけられます! (全然マンガの技法や絵の技術などについて詳しくはないのですが、素人意見で失礼しました・・) ちなみに一番印象に残ったシーンは、ナギが猿田彦の鼻をチューチューするシーンです! これは「こういうジャンルが好きな方にオススメ!」とか「〇〇が好きな方にオススメ!」とかではなく、読んだことがない方全員に自信を持ってもってオススメすることができるので、読んだことのない方はぜひ試し読みからでも読んでみてください!Z世代の方でも全然面白いと思います!!!

ボンバ!

欲望の化身、巨大馬ボンバが次々と人を襲う! #完結応援

ボンバ! 手塚治虫
一日一手塚

『シュマリ』を最近読みまして、近い時期に描かれた『ボンバ!』もハードだよというのを見かけたので読んでみました。 『シュマリ』と同じく『ボンバ!』も復讐から物語が始まりますが男らしいシュマリに対して本作の主人公男谷はかなり暗い男。今の言葉で言えば陰キャです。この男谷の嫉妬心や欲望が、戦時中に父が世話をしていた軍馬ボンバの形を取り、邪魔だと思う相手を殺すようになります。 男谷が恋心を抱いていたヒロインの水島先生はとってもかわいく描かれるのですが、劇中で迎える結末はかなり唐突かつ悲惨なもの。この冷や水を浴びせるかのようなあっけなさ、あまり現代の作品には無いなと思ったり。あっさりと描かれているからこそ些細な運命の悪戯が誰かの人生を狂わせるもどかしさと切なさを強く感じます。 水島先生を失った男谷は社会を憎み、逆恨み的にボンバで人を襲うようになります。復讐心がコントロールを失い暴走するのはのちの『鉄の旋律』にも引き継がれているような。巨大なボンバが暴れ回る画面は怪獣映画さながらで迫力満点です。 暴走したボンバを抑えこむための決着は少々強引な気もしますが、負の感情をどう克服するか、というテーマに対しては美しい終わり方だと思いました。やはり最後は愛。