1987年〜1989年にビッグコミックに連載された作品で、途中までは手塚版の島耕作みたいな感じです! 途中からアクションも激しくなって冒険もの的な感じに変わっていき、未完で終わってしまう直前は、なんと相撲トーナメントの話が始まろうとしていました。 何気に見たかったですね。手塚先生の相撲マンガ。 あとがきなどによると、日本人についてとことん書いてやろうとのことで構想された作品とのことです!ですので、外国に行って徹底的に差別されたり、奥さん(フランス系カナダ人)に日本ほど閉鎖的で変わっている国はないと言われたりします!! 後半アクション色が強くなってしまったのですが、個人的には前半のようなリーマンもので続けてくれてたらもっと神作品に近づけたと思います! それからこれは特筆すべきことがらだと思うのですが、体調不良による休載から復活した時のオマケマンガも収録されています!痩せ切ってしまったご自身の姿が描かれていますが、病室でもお仕事を続けれおられたらしく、改めてその創作への執念や、マンガ愛に畏敬の念を感じざるを得ません! あと以下の作品(おもに短編)が併録されています。サスペンスものが多いですが、中でも私は「料理する女」が好きでした。 ■サスピション(3話) ■山の彼方の空紅く ■雨のコンダクター ■料理する女 ■お客様は悪魔です
1987~1989年にコミックトムで連載された作品。グリンゴ&ネオ・ファウストと並んで遺作とされる作品です。 ちなみに雑誌の掲載が一番ラストなのがルードウィヒ・Bなので、遺作オブ遺作を決めるとしたらこちらの作品になると思います。 内容的には昔の超有名インフルエンサーであるベートーベンの一生を描いた作品で、一部フィクションも交えながら出生から描かれます。 手塚先生がお亡くなりになったことによって、ウィーンに出てきたあたりで終了となってしまっていて、これからちょうど面白くなってくるところだったと思います。 正直書かれた部分(500ページ程度)だけ読むと、少し盛り上がりに欠け、豊かな読後感が得られるとは言い難いです。 ただ、最晩年の作品だけあって、作風もかなり完成されてきているうえ、手塚先生自身のマンガに対するスタンスや主義などを、手塚先生がご自身の性格と似てるというベートーベンを通じて描かれているように感じる部分もあり、そこが読みどころとなっていると思います。 完成まで読みたかった!!!グキャァ!
医者のブラックジャック、タクシードライバーのミッドナイトと並んで舞台役者の七色いんこが活躍する、裏稼業プロ三部作のひとつです!いずれもチャンピオン掲載作品で、こちらはBJ終了後、ドンドラキュラを挟んで1981年〜1982年に連載されたモノです! つくりはブラックジャックなどと似た感じで、一話関係で何かしかを解決していくヒューマンドラマです。役者が主人公だけあって、毎回のテーマが実際の演劇に準えたものとなっています。 最初はかなり面白く、正直中盤は少しダレてきてパワーなくなってくるのですが、最後の最後のまとめ方が圧巻です。再読で結末がわかっていてもゾワゾワします!!ヅカ先の作品でも、そこまで知名度が高い方ではないと思いますが、もう少し中盤が短くてこのラストだったら名作になってたと思います。 途中からホンネが登場するのですが、これがいまいち最後まで効いてこなかったのが少々残念でした。本人はホンネに苦しめられるも、他人から見るとボロ布に見えるってのはアイデアとしては良かったと思います。 ロボットカーの話も、ここ数年自動運転がメジャーになってきてるので、興味深く読めました。 なお、ピーターパンの回では、手塚先生が描いたドラえもん(ヘタです)も登場するので必見です。
1971年〜1973年に週刊少年ジャンプで連載された作品。短編ものですね!!! 70年代作品だけあって、どれもなかなか粒揃いで、特に1巻は佳作揃いなのですが、「奇動館」という話がもうほんまに好っきゃねん。 若干ラストはご都合的な部分がありますが、それを補って余りある面白さ!!面白いというより、すごくいい話なんですよね。 奇動館というタイトルに反して、大雪で外部との連絡が途絶えたり、密室連続殺人が発生するとかそういった感じではなく、学校の話です。東京学館浦安とかの方の「館」です。 その学校の校風がすごく好きで、生徒たちがピュアに好きなことに打ち込んでる様子がすごく好きです。 奇動館だけで☆5にしようかと思いましたが、それでは贔屓になってしまうので、全体としては☆3にさせていただいてます。面白いですが、他の傑作がまだでしたら無理して今読まなくても大丈夫だと思います。
ユフラテの樹:1973〜1974年に学研の高1コース連載 日本発狂:1974〜1975年に学研の高1コース連載 どちらも高1コース連載ということで、主人公たちは高校生です。表紙でもツメエリをお召しになってます!!! 表紙も雰囲気ありますし、タイトルもかなりカッコ良いので、期待してしまうのですよね!!その期待に比べて、若干もう一声ほしかった感はあります!いや、別に普通に面白いので良いのですが!!! ユフラテの樹は、主人公は3人組なのですが、その中でも序盤に「こいつがメイン主人公っぽい」と思われた正義キャラの鎌くんが、ひょんなことから闇落ちしてラスボスになってくる展開はヅカ作品では珍しいかもしれません。 同時収録の日本発狂ですが、ユフラテの樹と比べるとこちらの方が好みでした。特に序盤はサスペンス感があり楽しめました。 ちなみに手塚先生はあとがきにおいて、「ユフラテ」は何から取ったか忘れたと書かれてますが、Googると、聖書とか神話とかに出てくる地名だったり河川名だったりするようです。ユーフラテス川も派生語でしょうか。 確かにそう考えると、手塚先生の時代はGoogle社の設立前なので、ググるという概念がなく、そんな時代にあれだけのバラエティに富んだ作品を生み出されたことを考えると恐ろしすぎますね。。。たぶん目の前に手塚先生が現れることがあれば、怖すぎて失神すると思います。 かりに手塚先生がご健在のみぎりにGoogleがあったとしたらどんな作品ができていたのでしょうか。そして手塚先生は電車の中で99%の人がスマホをいじってる世界をどのようにお考えになるでしょうか。。
1973〜1974にビッグコミックで連載された作品です。ヅカ先×ビッグコミックは何らかのニックスが発生しているのか、かなり安定して高品質のマンガができるので、読んでて非常に安心感があります。 物語の骨子は、芸術や創作について描いたものですが、それを彩るスパイスとして、酒や異常性癖やヴードゥなどが登場します。 一話目から主人公の妄想が描かれ、それが数ページ後になって妄想だったとわかる作りになっていて、それが何回か繰り返されるので、後半もどこからどこまでが妄想なのか現実なのかよく分からないような不思議な感覚になってきます。 「のんだくれでで グータラで うすぎたなくて あつかましくて・・・ 無責任で 気まぐれで おせっかいで 狂気じみてる <略> 芸術ってもんは もともとそういうものさ・・・」 という芸術観が披露される場面があるのですが、この部分、なんか知らないけど異常なまでにめちゃカッコ良いので、いつか飲み屋でパクって語ってみたいと思います。
1969年の創刊から1970年にかけて少年チャンピオンで連載された作品。 同時期に同じ秋田書店のプレイコミック(青年向け)に空気の底シリーズをやってました(手塚先生がです)。 ちなみに単行本の収録順は、連載順とは異なっていて、「二つのドラマ」(私も気に入っている話です)が第1話だったようです。「二つのドラマ」冒頭には、連載を開始するにあたっての簡単な導入部があったようなのですが、カットされています。 導入部は以下のとおりですが、これによると人間の心をテーマにした連作だったようです。三百億話まで続く可能性があったかと思うと、手塚先生のストーリーテラーとしての天賦の才に畏敬の念を禁じ得ません。 『ーたった一キロ四百グラムの人間の脳髄の中に 心のトビラがある もしかりにこのトビラの中をのぞけば そのおそろしいほどのひろがりと深さに おそらくゾッとなるだろう 人間は 心の中をあらわすのに よろこんだり悲しんだりおこったり苦しんだりする・・・ だが 世界三十億の人々が・・・みんなそれぞれ・・・ 別々の気持ちを持ったとしても・・・ もし心の中をのぞくめがねをかけさせたとしても 自分とまったくおなじ心を持った人間はひとりとしていないことがわかるだろう だから 人間の心をテーマにした物語は 三十億か あるいはその十倍もできるはずである そのうちのほんのいくつかをえらんで・・・皆さんに紹介するのだ・・・』
1956〜1964年までに週刊少年サンデー・別冊少年サンデー・少年ブック・冒険王・別冊冒険王・Xらに掲載された短編集となります! 手塚年表でいうと火の鳥前の作品なので、まだ少し絵柄等が古めで、今読むと少し読みづらいと思いました。 宇宙からのSOS、バックネットの青い影、悪魔の音などじわっと良さが伝わってくる作品もありましたが、子供向けということでSF描写も抑えてることもあり、全体としては中の中といった感じに思いました。 御本人のあとがきによると「内容は子供っぽく、至って無邪気な作品ばかりですが、当時の少年雑誌の漫画のレベルや、SFへの理解度の低さなどを考えると、こんな程度のものでも「SF味が強くてわかりにくい」などといわれたもの」だそうです。 同じあとがきに「アンソロジーです」と出てきたので、急いでアンソロジーの意味をGoogったのですが「異なる作者による作品を集めたもの、または、同一作家による作品集」とのことで、「短編集」というよりも「アンソロジー」の方が語感的に圧倒的にカッコ良いので、以後こちらを使用します。
1986〜1987年に連載された作品です!手塚先生が亡くなられるのが1989年なので、最晩年期の作品です。 同時期に連載されていた手塚作品は、ミッドナイト、火の鳥 太陽編、陽だまりの樹だそうです。すっ、すごか! そんな時期に書かれた本作品は、流石の読み味で、低年齢向けに書かれたものながら、大人まで楽しめます!!猫のアトムがとってもめごいです!!! アトムは直接登場せず、アトムばりに魔改造されたサイボーグネコのアトムが活躍します。 主人公が元祖アトムのマンガをよく読んでるのですが、アトムの7つの威力(十万馬力・お尻からレーザーガン・目がサーチライト・70ヶ国語をじゃべる・ジェットエンジンで空が飛べる・人言の良い心と悪い心をテレパシーでキャッチできる・聴力を1000倍にできる)について「なんかせこいなァ どれも」と一刀両断にするという自虐ギャグが見どころです。 同時収録は「ユニコ 小学一年生版」!1980年から4年にわたって同誌で連載されていたとのことなので、確実に私も読んでるはずなのですが、あまり記憶がありません。。 オリジナルのユニコは女子向けっぽい感じでしたが、こちらのユニコはドラえもんとかの感じで、男子の私も楽しめました! 途中からラゴンという竜の子供が、さらに途中からチャオという猫の子供(声が悪くて泣くとゴキブリが出るという特殊能力の持ち主)が仲間に入ります。その2キャラもとってもめごいです!! めごいものに目がない諸兄はぜひ読んでみてください!毒要素もないため、お子さんが手に取っても大丈夫です!!
1970年手塚作品。 手塚先生の代表作となりえた名作ですが、めっちゃ良いところで突然の終了!!!!完結まで読みたかった未完作品ランキングでも完全にベスト3には入ると思います!!みなさんのランキングではいかがでしょうか?? 流石にこれだけ面白い作品なので、未完の理由は打ち切りではないようですが。。。。。 わたしが気に入ってる点ですが、まずタイトルからして少しカッコイイのと、最初の扉絵みたいのもカッコいいですし、物語の導入部もすごく雰囲気があるんですよね・・・。。1ページ目読んでもう面白いマンガってあまりないですよね!!!あと途中から出てくるブー子がすごく可愛く、愛嬌があって好きです!!! 作風としては、火の鳥や奇子に通じる部分もあり、ちょっとBJっぽさも感じます。もうこの説明だけで完結してれば相当な名作になっていたであろうことがわかってもらえると思います。 もし気になった方がいたら読んでもらっても良いのですが、おそらく読後感は最悪(なんで終わったんだーーーーー!!)だと思うので、あまりオススメできません。 ちなみにこの文庫全集版だと、「ショート・アラベスク」とこちらもタイトルのカッコ良い短編シリーズが併録されているのですが、こちらはそこまで強力プッシュできる作品ではないので(手塚先生本当にすいません)、ガラス城だけ気になる方は、ガラス城のみ版の方がだいぶ安く、そちらがオススメです。
1987年〜1989年にビッグコミックに連載された作品で、途中までは手塚版の島耕作みたいな感じです! 途中からアクションも激しくなって冒険もの的な感じに変わっていき、未完で終わってしまう直前は、なんと相撲トーナメントの話が始まろうとしていました。 何気に見たかったですね。手塚先生の相撲マンガ。 あとがきなどによると、日本人についてとことん書いてやろうとのことで構想された作品とのことです!ですので、外国に行って徹底的に差別されたり、奥さん(フランス系カナダ人)に日本ほど閉鎖的で変わっている国はないと言われたりします!! 後半アクション色が強くなってしまったのですが、個人的には前半のようなリーマンもので続けてくれてたらもっと神作品に近づけたと思います! それからこれは特筆すべきことがらだと思うのですが、体調不良による休載から復活した時のオマケマンガも収録されています!痩せ切ってしまったご自身の姿が描かれていますが、病室でもお仕事を続けれおられたらしく、改めてその創作への執念や、マンガ愛に畏敬の念を感じざるを得ません! あと以下の作品(おもに短編)が併録されています。サスペンスものが多いですが、中でも私は「料理する女」が好きでした。 ■サスピション(3話) ■山の彼方の空紅く ■雨のコンダクター ■料理する女 ■お客様は悪魔です