ボンバ!

表紙とタイトルで損している本

ボンバ! 手塚治虫
酒チャビン
酒チャビン

謎のシリアスな馬の表紙と「ボンバ!」のタイトルでだいぶ損をしてますが、こちら結構粒揃いの短編集となります!!結構オススメできます! 表題作こそ、少し物語のラストがご都合すぎないか?と思いましたが、その後、チェイサーで一躍有名になった「魔の山」(サンデーの若手編集者が登山ものをということで書いたやつで、のちのBJを匂わせる作風との紹介)をはじめ、ハッピーエンドやバッドエンドなどバラエティも豊富で、軒並み読んだ後に読んで良かったと思わせる小気味良い作品が並びます! 「ずんべら」という作品は学生探偵が主人公で謎解きをする話ですが、少しコロンボっぽさもあり、これを続けていれば、ひょっとすると金田一を超える探偵マンガの祖となったかもしれません! あとあとがきスペースに乗っている「ぼくの短編について」というヅカ先直々にお書きになった解説がとても興味深かったので、こちらも必見です! 収録作品は、以下のとおりです! ■ボンバ! ■魔の山 ■がらくたの詩 ■赤の他人 ■三つのスリル ■机の中へこんにちは ■ずんべら ■やまなし ■ふたりでリンゲル・ロックを

ジャングル大帝

アトムより前にはじまった初期の代表作!!

ジャングル大帝 手塚治虫
酒チャビン
酒チャビン

1950年〜1954年に漫画少年で連載された作品です。アトムより先に始まってます! 小学生のとき、西武の帽子持ってました!!!いとこのおばさんがスポーツ屋に連れて行ってくれて、帽子を買ってくれるというので、色とルックスのカッコ良い西武の帽子を選んだのです!! その時手塚治虫の名や、ジャングル大帝のことは知らなかったのですが、やはりキャラに魅力があったということだと思います!! アニメ化もされていて、名前もかなり世間に通ってると思いますが、意外と読まれてなく、内容も知られてないのではないかと思います。 レオの物語と思われがちですが、パンジャ→レオ→ルネの三代にわたる大河作品です。葵三代に通じるものがありますね。西田敏行さんの秀忠、好きでした! かなり初期の作品なので、読みにくさがあるのかな、と思いきやかなり読みやすい!!というのも、裏話があったそうで、アニメ化の際に、スタッフが絵の練習をしたいということで、一部の方が原稿を持って帰ってしまったそうで、その後紛失したため、15年後に紛失していた部分(主に前半部分)を書き直したそうです。なので、原稿の残っている部分はやはり初期特有の読みにくさがあります。 これは個人的な感想なので、決してディスりではないのですが、書き直した部分が圧倒的に読みやすいのと同時に話もかなり面白く感じるので、やはりコマ割りや絵柄などは、マンガの面白さの重要な部分を占めるのだなと痛感させられます。そういった意味で、興味深く読ませていただきました。 ちなみに最終話を藤子不二雄先生が手伝っていて、ヒゲオヤジなどを一部描かれているようです。私は素人なので、どこが藤子先生の筆によるものかはわかりませんでした。

鉄腕アトム

言わずと知れた世界のアトム!

鉄腕アトム 手塚治虫
酒チャビン
酒チャビン

1951年から1968年まで続いたようで大長編マンガです!!!アニメにもなり、アニメは世界中で愛される手塚先生がほこる日本がほこる大名作です! ただマンガの方はやはり今読むとさすがに古式ゆかしい感じがします。当然、当時は最先端だったと思いますが、手塚先生自身がググッと押し上げたマンガの表現レベルにより、ご自身の初期の作風もだいぶ古く見えるようになってしまいました。 連載開始時は「アトム大使」というタイトルで、アトムは脇役だったのですが、故あってアトムを中心に据え、鉄腕アトムとして再出発。そこからヒットにつながったようです。 最終巻の9巻に「鉄腕アトムのおいたちと歴史」というご自身による解説マンガがついているのが面白かったです。また、「鉄腕アトムができる日」という小エッセイも巻末についているのですが、それもめっちゃ面白く、手塚先生の考えを知れて、ためになりました。 ちなみに1巻には、デビュー前の石ノ森先生が大幅に手伝った回(電光人間)が掲載されています。かなり石ノ森先生が書いているようですが、私の目にはどこが石ノ森先生でどこが手塚先生かわかりませんでした。。。

ぼくの孫悟空

ブラック・ジャック創作秘話でおなじみの代表作!

ぼくの孫悟空 手塚治虫
酒チャビン
酒チャビン

1952年〜1959年に漫画王で連載された作品です。 足掛け8年にもわたって連載された大長寿マンガですが、雑誌掲載時は1回5ページ程度だったとのことで、文庫版にして3巻、1200ページ程度にまとまっています。 手塚先生のアニメ好きは有名ですが、若かりし頃に中国作品の「鉄扇公主」に夢中になっていて、その影響が出ているようです(鉄扇公主みてないのでわかりませんでした。) 当時はかなり人気だったようで、おそらく当時最先端をいくマンガだったことは想像に難くないのですが、さすがに今読むと、読みにくい、わかりにくい部分が目立ってしまいます。 あくまで個人的な感想なのですが、起伏がなく、先が気にならない感じがしました。 ただ、見所だったのが、やはり8年連載を続けているので、後半に行くに従って、かなり読みやすさがアップしていっています。現代のマンガ家さんでも、連載を続けていくに従って実力をアップさせていく例はよくありますが、手塚先生のそれは、マンガ表現の発展をなぞることそのものなので、そういった面ではものすごく興味深かったです。

マグマ大使

子供向けと思ってナメててすいません・・!!

マグマ大使 手塚治虫
酒チャビン
酒チャビン

1965年〜1967年に少年画報に連載された作品です。 子供向けの特撮っぽいヒーローものかな、と思って、手塚先生の作品を読み漁っていた時ですら、敬遠してましたが、結構面白いです!! 序盤は確かにシンプルな勧善懲悪ヒーローもの+ロボ要素なのですが、物語にスパイスが効いていて、なかなか面白く読めました! 前半部分の敵役のゴアの弱点が「子供好き」という点とかかなりほんわりします。自分が宇宙中で一番醜くて嫌われているので、一番美しい宝の子供たちが大好きという、悪役らしからぬ設定です! 他にも敵が生み出した「人間もどき」のエピソードでは、ちょっぴり後の火の鳥に通じるようなテーマが描かれていたり、所々に見所が散りばめられています! また、絵やコマ割りもすごく読みやすいです! 2/3過ぎたあたりから第2部っぽいものが始まるのですが、敵として魔神ガロンが出てきます。第2部終了後、第3部としてサイクロップス編というのがあったようなのですが、未収録です。 この時期、手塚先生は絶好調だったものの、仕事を受け過ぎていて、代筆部分が多く、自分の作品とは言えないと判断されたようです。

ビッグX

連載時代人気だったスーパーヒーローもの

ビッグX 手塚治虫
酒チャビン
酒チャビン

少年ブックに1963年〜1966年に連載された作品です。連載当時大人気だったようで、連載も長く続いています。 話は特殊な薬品で鋼鉄のような体になったり、巨大化したりしながら悪役を倒すスーパーヒーローものです。「サイボーグ」という単語がしょっちゅう出てきますが、この作品の連載中に連載が開始したサイボーグ009の影響があったのかも知れません。 敵としてナチスが出てくるのですが、総統をはじめ幹部どころも実名で登場していて、だいぶ攻めているなぁと感じました。 主人公は、基本、敵であっても殺さずにすぐ助けてしまいます。意図的にそういう設定にしていると思われますが、見ているこちらからするとすごくもどかしく、ハラハラ・イライラします。何気に手塚先生自身も「やたらと正義の味方ぶるからあまり好きな作品ではない」と語られており、後年の大人向け手塚作品への伏線を感じます。 正直、私もいい大人なので、シンプルな勧善懲悪のスーパーヒーローものを無邪気に楽しむことができなくなっており、読んでいて「すごく面白い!」というものではありませんでした。 ただ、夏みかんの袋の中にある粒々一つ一つが一つの細胞だとか、鳥の卵が一つの細胞だとか、そういう科学的な知識は、知らなかったのですごくためになりました。さすが「空想科学マンが」だと思いました。

ドン・ドラキュラ

連載時は不人気でしたが、名作と遜色ない面白い作品だと思います。

ドン・ドラキュラ 手塚治虫
酒チャビン
酒チャビン

あまり人気は高くない気がしますが、かなり面白いです!!少年チャンピオンでブラック・ジャックの後を受けて1979年に連載された作品です。 ブラック・ジャックと同じく、主要なキャラクターを中心とした1話完結ものが続くスタイルで、このスタイルにはブラック・ジャックと本作の他、ミッドナイト、七色いんこなど名作揃いのお得意なスタイルです! とにかくキャラも皆楽しく、好感が持てます!ドラキュラとチョコラの親子はもちろん、イボジがすぐに破裂してしまうヘルシング教授(そのせいでいつも貧血気味なので、血を吸うドラキュラに敵意を燃やしており、吸血鬼撲滅研究所の所長をやっている)や、サイコパス気味で行動が破天荒な村井警部、よくわからないブロンダなど皆魅力的です! ドラキュラもニンニク・水・日光・杭など弱点がかなり多く、しょっちゅう灰になってしまっています。 本人もかなり楽しんでノッて執筆していたとのことで、ギャグなどは手塚作品屈指の切れ味だと思います!かなり面白いです!!! ただ連載時の人気はイマイチだったようで、半年ほどで打ち切りに・・・こんなに面白いのに・・・ ちなみにアニメも打ち切りになっていて、放映話数はなんと4話・・・史上最速の速さです・・・ ただ、不人気というよりは大人の事情での打ち切りだったようで、そこは安心しました! 小山高生さんは、ドン・ドラキュラのアニメが思いがけず早期打ち切りになったことによって、ドラゴンボールのアニメに関わることになったとのことで、縁というものは不思議だなあと思いました。 https://twitter.com/koyamatakao194/status/1455183876792340480

空気の底

名作・佳作揃いの短編集!

空気の底 手塚治虫
酒チャビン
酒チャビン

「オッス!おバンです ぼくは田所満男 徹夜で勉強机を前にウンウン唸っている諸君! それともグロッキーになってゴロ寝でうとうとしている諸君! 聴いてくれたまえ そして話しあおうモロモロの人生論 そして音楽を!」 の名台詞でお馴染みのカタストロフ・イン・ザ・ダークも収録された短編集です。漫画アクションやビッグコミックの好評を受けて秋田書店から刊行された青年向けマンガ誌「プレイコミック」創刊から掲載された手塚先生による短編を集めたものです。 手塚先生の青年向けマンガは長編も短編も粒ぞろいでハズレがないのですが、こちらも短編ということで小粒ながらもピリリと辛い珠玉の作品たちが収録されています。手塚先生もこのシリーズはかなり気に入られていたようですね!聖女懐妊の最後のページは神秘的で感動ものでした! 収録作品は以下のとおりです。B6版の全集とは違ってるので、そこは注意です。 空気の底シリーズ  Lジョーを訪ねた男  L野郎と断崖  Lグランドメサの決闘  Lうろこが崎  L夜の声  Lそこに穴があった  Lカメレオン  L猫の血  Lわが谷は未知なりき  L暗い窓の女  Lカタストロフ・イン・ザ・ダーク  L電話  Lロバンナよ  Lふたりは空気の底に 処刑は3時におわった おそすぎるアイツ 聖女懐妊 帰還者