さるまね

恐怖の猿軍団#1巻応援

さるまね 吉田薫
六文銭
六文銭

猿って怖くないですか? 猿好きな方には申し訳ないのですが、 自分、小さい頃から猿ってあんまカワイイと思ったことないんですよ。 リスザルやメガネザルは多少愛嬌があるとか言う人もいたけど、全然理解できなかったす。 たぶん、微妙に顔が人間似ているところとか、愛嬌どころか打算的というか小賢しい感じが好きくない理由なんだと捉えてます。 日光さる軍団の猿回しとか正気の沙汰じゃないっすよ。(なんでだよ) そして、まさに自分の気持を投影し、逆撫でしてくるような作品がでました。 それが、この作品です。 猿が人間のマネをして、人間の道具や武器を使いこなし襲ってくる話。 その習得の仕方なんですが、目をギョロギョロして道具を眺めるんですけど、それが見ていて心底腹立つんです。 なんだ、その目は!と昔の体育教師ばりに顔面平手打ちしたい。 すぐにマネできるくらい知性はあるんですけど、基本理性がないので、本能で行動している感じも余計に腹立つ。 対策として、マネされないよう武器を使う姿を見せてはいけないようなので、何もしない、我慢するだけなのですが、それも歯がゆい。 とまぁ、腹がたってばっかですが、実際内容は結構ホラーで全然笑えないです。 マネできたこと(投石や棒で殴るなど)で襲ってくる猿の容赦ない行動に村人はどんどん犠牲になっていきます。 また、舞台が江戸時代なので、火縄銃みたいな猟銃くらいしかなく、近代的な武器がないのも恐怖ポイント。 ライフルがあれば、ぶっ放したい。 主人公は温厚で優しすぎるきらいがあるようですが腕はたつよう。 まだ1巻では戦っておらず、彼が今後猿とどう戦っていくのか?気になります。 息子とか奥さん、主人公の家族が危機的な状況なのも不安です。 もし家族がこの猿たちに殺されてしまい、その怒りで、山にこもり、音を置き去りにしながら祈る時間が増えた状態まで仕上げてきて、 「この腕力までは真似できまい」 と、この世から猿達を駆逐する復讐鬼と化したら最高だと夢想します

凛子ちゃんとひもすがら

ハートフルヒモ飼いおにロリ物語 #1巻応援

凛子ちゃんとひもすがら 七瀬八
兎来栄寿
兎来栄寿

母子家庭でありながら母親が僅かなお金だけ置いて失踪してしまい、11歳の美少女・凛子が50万円でイケメンのヒモ・春乃を飼う物語です。「ひもすがら」と「ヒモ」が掛かったタイトルなわけですね。 「普通」に家族と暮らし、「普通」に色々な将来の夢を持って過ごすクラスメイトたちと対比して、温かいご飯を家で食べることすら経験できずに育ってきた不憫な凛子。彼女の欠けた部分を、働きはしないけれど家事全般は得意で優しい言葉もたくさん与えてくれる春乃が埋めていってくれる、奇妙な関係が成立していきます。 しかしながら、春乃の優しさも歪さが生んだものであることが段々明かされていきます。それでも凛子が現状で心を保って生き長らえるためには、それが解り切った空虚であったとしても必要なものであるという構造がエモさを醸し出します。メリハリのある心情描写がとても心地良く感じます。 そして七瀬八さんの絵がとても良く、苦痛に歪む表情も、見渡せば美しさが広がる世界も、総じて綺麗に描かれます。春乃は本当にだらしのない立派なヒモなんですが、顔が良い。ヴィジュアルも中身も、とても良いおにロリです。 母親が残した金額は僅かであり長い間春乃を養えるほどではないのが明白で、物語の期限を思わせます。ただ、1話の冒頭で凛子の幸せな未来が描かれているのが救いです。すべての黒髪ストレートロング美少女の安寧と幸福を祈ります。