だいすきなおかあさん
「バブみ」「オギャる」といった言葉が普及し始めて早数年。「戦慄のバブみサイコスリラー」とでも形容すべき作品が登場しました。 「登場親子、みんな毒」……とまでいうと語弊があり、まともな息子も中にはいるんですが、中心となるのは毒息子と毒親による予測不能のサスペンス。『スズキさんはただ静かに暮らしたい』に続いて佐藤洋寿さんらしい不穏な味わいが堪能できます。 多少のツッコミどころもありますが、異常な性向がぶつかり合ってもたらされる異様な展開の不安と不穏の波に細かいことはさておき呑まれます。 良い意味で、ネット広告で使い易そうなパワーのあるセリフやコマが多い作品です。 作中で、特殊な赤ん坊と一緒に荷物を運送するゲーム『デス・ストランディング』が描かれていたのも良い演出だなと思いました。 物語がどこに着地するのかが最大の焦点ですが、ぜひ行くところまで行ってやり切って欲しいなと願っています。 心の中の赤木しげるに「正しい親、正しい子供、正しい親子…………元々ありはしないんだって……!そんなもの…………!」と囁かれながら。