鉄腕アダム

地球に来襲する「蝶」を倒すヒューマノイドの戦い #完結応援

鉄腕アダム 吾嬬竜孝
ANAGUMA
ANAGUMA

突如飛来する異様の巨大宇宙生物、スモークを焚きながらそれに立ち向かう小さな人の影…「あれはなんだ、人か、いや鉄腕アダムだ!」という最高のビジュアルを引っさげて開幕するのがハードSF『鉄腕アダム』です。 『エヴァンゲリオン』のように来襲する「蝶」は全部で8体、地球に到達されると敗北、というタイムリミットがある戦いだというのが緊張感を煽ります。毎回敵方の蝶は進化を遂げていき、人類側は科学知識を生かした作戦で撃破していくことになるのですがこの科学のトンチの効かせ方が絶妙で「そんな戦い方が!」とワクワクしてしまいます。 蝶の襲撃の合間には人類側でもさまざまなドラマが描かれ、物語を貫く謎や設定が徐々に明らかにされていくのも読み進める強力な原動力になっています。アメリカがメインの舞台なので洋画・洋ドラっぽい雰囲気で進みながらもやることはロボアニメ!みたいなノリもツボでした。好き。 SFテイストの迫力に圧倒されがちですが、本作の核のテーマはヒューマノイドのアダムと天才科学者ジェシーの友情にあると感じました。孤独だった者同士がかけがえのない相手とともに自分のやるべきことを見つけ、定めていく物語だと思います。 全4巻ながら充実した科学用語の解説コラムも収録されており読み応えは抜群です。実際の巻数よりも遥かに充実した滞空時間というか、没入した時を過ごすことが出来たように思います。感謝。

口が裂けても君には

口裂け女と人間の不思議な結婚生活 #1巻応援

口が裂けても君には 梶本あかり
sogor25
sogor25

マスクをしていると美しい見た目をしているが、「私、綺麗?」とマスクを外すと耳元まで大きく裂けた口が露わになり、それを見た誰もが恐怖するという伝説の怪異「口裂け女」。 しかし、口裂け女が世間を騒がせていたのは1979年ごろのこと。 伝承としての信憑性が失われるほど口裂け女の怪異としての存在も徐々に薄れていってしまいます。 この作品はそんな「口裂け女」のみろくが、自身の力を取り戻すため怪異の逸話を管理する人間の一族「茶乃家」の当主である17歳の高校生・紅一に嫁ぐことになるという物語です。 ただ、みろく本人はこの結婚に納得しておらず、自身の力だけで力を取り戻すためにこの結婚を破談にしようと企みます。 そのために紅一に「彼が18歳になるまでに一度でも彼を怖がらせることができれば婚約を破棄してもらう」という賭けを提案します。 普通なら乗る必要のない賭けなのですが、なぜか紅一はこの賭けに乗り気です。 というのも、この縁談、自身に力を取り戻させるための政略結婚だとみろくは思っていましたが、実は紅一のほうは縁談とは関係ないところで元々みろくに惚れていて、この1年の間で逆にみろくのほうを口説き落としてみせると宣言します。 みろくが紅一のことを"恐怖に落とす"のが先か、それとも紅一がみろくを"恋に落とす"のが先か、という賭けの上に成り立つ、人間と口裂け女の不思議な結婚生活が始まります。 1巻まで読了