好きなことして生きていく

物語の全体像が見えた時、タイトルの真の意味が解る #1巻応援

好きなことして生きていく 大峰大影
sogor25
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家で引き籠もり「架空の日本を舞台に犯罪行為を競うオンラインゲーム」の実況プレイを配信するという日々を送っている20歳の女性・天咲皐月。 ある日彼女は、自身の住む街で起こる連続殺人の被害者と彼女がゲーム内で殺したキャラクターに共通点があることに気付きます。 と言っても、彼女が「ゲーム内で殺した」キャラクターは数百人。現実の殺人事件の件数はせいぜい数人なので、その中の偶然の一致だと思っていた皐月でしたが、現実の殺人事件の件数が増えていく中で、彼女は殺された人物にある法則性を見つける、という導入の作品です このまま、皐月がこの事件の詳細について探っていく…という作品になるのかと思いきや、物語が思わぬ方向に進んでいきます。実は、この作品の本質はゲームと殺人事件との関係ではなく、主人公の皐月の過去、そしてこの事件を受けた彼女の「好きなことして生きる」日常を守るためのこれからの行動にあります。1話ではまだそこまで見えてこないのですが、1巻を通して読むと、物語の全体像、そして、1話だけではなく、1巻全体がこの物語の導入だということがわかります。 ちなみに、この作品は集英社の「少年ジャンプ+」で連載されているのですが、現在のところ単行本は電子書籍のみで刊行されている作品です。あまり知られていないのですが、少年ジャンプ+の連載作には最初から電子書籍のみで単行本を展開している作品がいくつかあります。書店に並ぶことはない作品ですが、『純情戦隊ヴァージニアス』や『夜ヲ東二』など、この作品を含めて面白い作品ばかりなので、是非チェックしてみて頂ければと思います。 1巻まで読了
終極エンゲージ

宇宙最強の女王を選ぶバトルロイヤルのゆくえ #完結応援

終極エンゲージ 三輪ヨシユキ 江藤俊司
ANAGUMA
ANAGUMA
全宇宙を統べる最強の王の妃にはある条件があります。それは女王決定戦で優勝した宇宙最強の女であること! 王子クリスは自身のクローン少女カルキを生み出し優勝を狙いますが、設定をミスったせいで自分の命が狙われることに。カルキから殺されず、決定戦までに未来の婚約者を最強の存在に鍛え上げることは出来るのか!?というのが物語の始まり。 「自分のクローンと結婚しようとする」っていうトリッキーな設定が人を選びそうですが、登場キャラクターの感情が「強くなること」を基準に動いていくのでみんなカッコイイ。どのキャラもクセ強めで、登場時点から何度も表情を変えて違う魅力を見せてくれるのが熱いです。最後まで読んだら全員好きになってるはず。 特にカルキちゃんは一見殺人マシーンかと思いきやクリスの何倍も人を思いやれる優しい子で、彼女の成長を見守るクリスとの距離感がいいです。 親子でもあり、分身でもあり、師弟でもあり、恋人でもあり、何より替えの効かない相棒でもあるという…唯一無二の絆が育まれていくのが素敵でした。 バトル・SF・ラブコメとさまざまな要素が5巻のあいだにギュッと詰まっていて読み応え抜群、王道の熱さがしっかり味わえます。設定で敬遠してる人こそ読んでみてほしい!
悪魔のメムメムちゃん

ポンコツ可愛い+ウザさ で面白さ倍増

悪魔のメムメムちゃん 四谷啓太郎
六文銭
六文銭
1巻から読み続けてます。ダメ可愛いメムメムにずっとやられてます。 キリッとしているキャラが、実はポンコツだったという設定でギャップ萌えの作品もありますが、本作は、もう見た目からダメさが漂ってきて、そしてそのまま期待を裏切らないダメっぷりで、まずここが面白ポイントです。 淫夢とか使って男を骨抜きにして魂を奪う悪魔なようですが、絵柄通りの悩ましい体型によって、まぁうまくいかない。 何より、メムメム本人がエロに耐性がない。むしろ苦手。 (この幼児体型によって、ある方面には安心設定) そしてこのポンコツ可愛いものに「ウザさ」が加わってより面白くなります。 例えば、 ・少しうまくいくと調子にのる ・言い訳が多い ・他人への要求は厳しい ・弱いものには執拗以上に強くでる ・やたらと声だけはる(特に偉い人の前) などなど、小物感満載のウザさで、これがたまらないのです。 なんか小さい子をみてるような目線で、だんだん微笑ましくなってきます。謎の慈愛をもって読めるんです。あらあら、どうしたの?みたいな。 これがクセになります。 とはいえ、個人的には正直この設定で11巻まで続くとは思わなかったです。 11巻になると魔界の魔王様とかも出てきて、メムメムの正体(存在理由?)も明らかになって、ただのおバカギャグ漫画からシリアスな展開に・・・いや、特に変わんなそうですね。 安定のメムメムで、引き続き安心して読めます。 メムメムのダメっぷりはひどいのですが、それでもポジティブで前向きな姿をみると不思議と元気がでますので、日常で凹んだ時読むと良いかもです。
チェンソーマン

続きが気になる第一話

チェンソーマン 藤本タツキ
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)
個人的には、『呪術廻戦』以来の期待できるジャンプの新連載。 親の借金を肩代わりさせられた主人公が、仲良くなったチェンソーの悪魔と借金返済のためヤクザの雇われデビルハンターとしてどうにか頑張るが、ある悪魔に追い詰められてしまい・・。 『ファイアパンチ』の作者だけあってやはり雰囲気がとても渋めだが、ジャンプっぽくポップ目に仕上がっている。 画面の暗さかな?暴力描写なども映画的というか、ノワールっぽくていい。 『ファイアパンチ』然り、タイトルがすごくシンプルかつどこかレトロさを感じさせるようなダサいようなかっこいいような感じで良い。 第一話ラストでは、まさにタイトル通りの状態に。 チェンソーの悪魔なんて聞いたことないし、オリジナリティすごいなと思ったけど、なるほど、先にこっちの変身ビジュアルあってのそれかーとも思える。ダサカッコイイ。 貧乏と悲しみと業を背負った少年が主人公というのはやはり良い。 状況的には『NARUTO』と似ているのかもしれない。 そう考えるとここから骨太なストーリーが展開されることが予想されるのでとても楽しみだ。 なにより、彼は第一話でさっそく居場所を与えられた?というスピード展開。 これから少しずつそこに「居る」ことを許されていくのだろう、と思うとワクワクする。 どちらでもない何か、どこにも属せない、人間ではない何かに変質してしまう哀しみ、というのはドラマがあっていい。 『寄生獣』もそうだ。 ということは、まさにバディものでもあるんだろう。 淡々と冷めてるようでいて実は芯が熱い、貧乏だが夢を持った主人公というのが一話だけでも読み取れるので、とても親切だ。 「人間が食べられる(殺される)脅威がある世界観」という作品はかなり魅力的な作品が多いが、この作品はそれが悪魔だ。 しかも、悪魔のデザインの自由度が限りなく高いので嬉しい。 全体の雰囲気的にはジャンプSQの方が合ってそうな気もするけど、作者の前作の評価や軸の強さを考えると編集部も長く続けさせてくれてりするんじゃないかなーと。