ダブルゼータくんここにあり

のどかな「ガンダム」

ダブルゼータくんここにあり
ナベテツ
ナベテツ
1年以上前

今は無き「B-CLUB」で読んだのが、この作品を知る最初のきっかけでした(小学4、5年くらいだったと思います)。読み始めた頃はもう既にサンデーあたりは読んでいて、当時のメインストリートの漫画からは多分外れていました(ZZの放送は既に終わっていましたし、アニパロというのは一部のギャグ以外では恐らく週刊少年誌にはあまりなかったも思います)。 この作品について説明する時、「SDガンダムでぼのぼのみたいなことやってるマンガ」と言っているのですが、多分ぼのぼのから毒やシュールさを抜いたらこうなるだろうとも思っています。 心優しい少年が、豊かな村で過ごす日常は、読む人間を穏やかな気持ちにさせてくれます。 ガンダムを好きな人も、全く知らない人も。宇宙世紀の知識がなくても楽しめる稀有な作品であり、喧騒を忘れさせてくれるマンガです。

痛いんです

拷問と見せかけてもはやご褒美

痛いんです
野愛
野愛
1年以上前

深爪しちゃった、トゲ刺さっちゃった…などなど日常的な痛みをテンポよく追体験させてくれる作品。ストーリーがあるわけではなく、読み進めるごとに痛みがパワーアップしていきます。 想像がつかないような痛みではなく、わかる痛みだからこそゾクゾクします。 痛いのなんでも大好きなんていうプロフェッショナルはなかなかいないと思いますが、架空の痛みを想像するのは大好きっていうひとは結構いるんじゃないかと思うので(少なくとも私はそうなので)、そんなアマチュア〜セミプロくらいの人にとっては完全にご褒美作品です。 重たいドアの蝶番とかパワーウィンドウを見ると指挟みたくなったり、口内炎できるとレモン齧りたくなったりする人は必読です。 これからは余計な妄想せずにこの漫画を読みます。ありがとうございます。

花板虹子【合冊版】

四条再建編がむちゃくちゃ面白い

花板虹子【合冊版】
マンガトリツカレ男
マンガトリツカレ男
11ヶ月前

花板虹子は全部読んだのだが、このバージョンには単行本未収録の95話分が入っているということでまた最初から全部読んだ。 前半もいいがやはり後半の四条再建編がいい。料理漫画のテンプレートのような食材の仕入れを邪魔する嫌がらせから、料亭ならではの接客/配膳を仲居さんの派遣を邪魔する、主人公の店の料理人を金属バットでボコボコ殴る、色仕掛けを仕掛けて借金を背負わせる、出店するデパートの管理者を脅迫して主人公の店の鍵を開けさせて米を交換するなどいろんなパターンがある。 特にすごいのはライバル店が主人公の店の無料食事券を勝手に作成して配って、揉め事を起こして評判を落とそうという作戦まであった 色々料理漫画を見てきたがここまでやる料理漫画ってのは初めて見た。

エンとゆかり

二つの「縁」が繋がる異世界冒険譚! #1巻応援

エンとゆかり
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
1年以上前

酒場の店員・ゆかりの命を救ったのは、記憶喪失の剣士・エン。二人の不確かな道が交わる時、不思議な縁が大きな物語を引き寄せる……。 ★★★★★ ドラクエ的世界観はとても分かりやすく、面倒な世界観の説明無しに、ゆかりとエンと、二人の周囲の関係性に自然と入っていける。 エンに惹かれて冒険者を志すゆかりだが、彼女は強力なスキルどころか、才能の片鱗も見せられない。それでもスリルに喜びを見出し、無茶をするゆかりと、ゆかりに友達と言われた事が嬉しくて、彼女を助けるエン。二人の思い合う心は、それぞれの縁を繋げていく。 ゆかりの友人達とも親しくなるエン。記憶喪失のエンを拾って共に旅をしてきたパーティ、王都でアトラクションを経営する「魔王代理」とその一味……全員がコメディに参加しながら、何か不明なものを内に秘めている。彼らが1巻の後半に少し繋がる時、平和な世界に大きな動きを予感させ、この先への期待感を煽る。 複雑な世界観はなくても、思い合う人々の「縁」を繋げて輪を広げて行くだけで、世界はこんなにもワクワクしていく。そういう楽しさを、今後もゆるく追っていきたい……本当に何も出来ないクセに、度胸は人一倍なゆかりを心配しながら。

ダンピアのおいしい冒険

海賊!航海!ジャングル!腹が減る!

ダンピアのおいしい冒険
名無し
1年以上前

自分が知りえもしないむかーしの料理漫画はお伽話のように思えますね。 王様ランキング、手塚治虫のタッチのような誰でも親しみ易い絵柄です。 デザインチックというか。 中身はしっかりしていてサメやらアザラシやらを食べる冒険譚! 美味しいと言ってるけどほぼアンモニア臭のサメ肉本当に美味しいのでしょうか…。 この絵柄だと可愛いので極限状態もほのぼのして見えます。

女子攻兵

松本次郎を語るには外せない奇作(快作)

女子攻兵
さいろく
さいろく
1年以上前

新東京都市では女子高生の形をした巨大ロボ、女子攻兵(以下JK)での戦争が繰り広げられている。 パイロットは軍人(おっさん)であることがほとんどだが、長い間このロボに搭乗していると精神まで女子高生になっていってしまい、精神汚染ランクが8になると電波を受信していもしないはずの友人や家族とケータイで連絡を取るようになってしまう(もちろんJK搭乗時にそれと話したりしてるわけなので巨大なケータイを使っているわけでもある) 近未来のようでケータイがガラケー型でJKのスカートの短さなどからも90年代後半のJKのイメージを松本次郎的にマッシュアップした戦争モノだが、巨大ロボ×JKというだけでもよくやったと言って差し支えない本作は、連載当時のバンチでも異彩を放つ作品だった。 精神汚染の原因はイカれてしまった汚染ランクの高いモンスター(元JK)との密な状況や接触であり、多くは物理攻撃によるJK自体への汚染が原因でコックピットにいる軍人(JK乗り)を巻き込んで汚染していくものである。 殺伐とした世界なくせにネオン街ではセーラー服を着たキャバや風俗が繁盛しているという割と救いようのない世界観だが、どこかドロヘドロのようなパンクさとMADMAXのような退廃・荒廃感を感じる。 あ、コッペリオンとも少し空気や設定も似ているとこがある。アイアムアヒーローもそうだ。つまりは世紀末感があるということだが、ここまで書いておいて松本次郎の作品でそれが感じられないのは「いちげき」ぐらいかもしれないw

タイガーマスク

白いマットのジャングルに今日も嵐が吹き荒れる

タイガーマスク
さいろく
さいろく
1年以上前

ルール無用の悪党に正義のパンチをぶちかませ とありますが、パンチはプロレスでは反則となります。 (歌詞を記載するのはNGなんでしたっけ?) タイガーマスク世代ではないのですがプロレスファンとしてプロレスを語るのに外せないタイガーマスクのお話。というか原作ですね。 実在したプロレスラーであるタイガーマスクは新日本プロレスが当時海外修行に出していた佐山サトルという若手の天才(イギリスだったかな?で東洋人だからということでブルース・リーのような黄色いジャージに黒ラインの衣装で現地でも大人気だったそうです)を日本に呼び戻し、講談社・梶原一騎と正式なタイアップとして実現させてヒーローを具現化するプロジェクトにより誕生した本当のヒーローです。 当時のプロレス人気は凄まじく、日本全国でタイガーマスク旋風が巻き起こっていたとかなんとか。 当時の映像をNJPW WORLDという新日本プロレスの公式動画配信サービスで見ることが出来ますが、タイガーマスクは他の選手と比較にならない動きをしてます。本当に圧倒的に違うし、一人だけ格ゲーのキャラみたいな動きをバンバン繰り広げていく様は今見ても体幹・センス・スピード・運動神経のレベルが常人のそれを遥かに上回っている事がわかります。一度見てみてほしい。 タイガーマスクで大成功を収めた新日本プロレスですが、当のタイガーが相手がいなくてつまらん、こんなルール(プロレス)では最強になれないので最強を目指すため辞めます!と言って人気絶頂のところで本当に辞めてしまい非常に困った状態になってしまったのでした(初代タイガーこと佐山さんはここから総合格闘技の前身とも言える修斗(シューティング)を創設、後の格闘技界に多大な影響を与えます) ただ、タイガーの影響でプロレスラーを志す若者は後を絶たず、結果としてプロレス業界を力道山・アントニオ猪木に次いで盛り上げた人物といえるのではないかと思います。諸説あるのは重々承知ですので文句がある人は一緒に飲みながら語りましょう。 ちなみにプロレスファンなら最近まで現役だった獣神サンダー・ライガー選手をご存知かと思うのですが、そちらも永井豪先生の原作との公式タイアップで生まれたキャラで、そちらも名に恥じぬ豪腕・スーパースターぶりを発揮し、私も含め多くのファンを魅了し続けた名選手でした。 というわけで脱線しまくりですが、漫画のほうでも色々とあります。 孤児院で育った「伊達直人」という主人公が、「虎の穴」という悪のレスラー養成所に攫われて(スカウトだっけな)訓練して殺人拳を学んで覆面レスラー(悪役)としてデビューするところから始まります。 虎の穴での修行は常軌を逸したもので、伊達直人は自分と同じような境遇の孤児たちにつらい思いをしてほしくないと願い、ファイトマネーを孤児院に投げ入れていくのですが、それが虎の穴からは裏切り行為とみなされて虎の穴からの刺客たちと戦う羽目になる…という流れだったと思います。違ったらごめんなさい。 ただ、その「伊達直人」という名義で幼稚園や保護施設に匿名に近い形で莫大なお金を寄付する人が度々現れているんですよね、現実に。 2005年だか2007年だかぐらいにもあったんですが、当時はすでにTwitterが生まれていたので割と話題になったのを憶えています。 まぁ何が言いたいかというと、本当に全国のちびっこ達の心を掴んだ作品であり、そのちびっこたちが大人になって力を得た結果として慈善事業が潤ったりプロレス業界が潤ったりしていて、色んな所へ波及しているのがわかるんですよね。 漫画に限った話ではないですが「本当に素晴らしい作品」とはこういうのを指すのだろうな、という話でした。 長くなりすぎたのでこの辺で。正直絵が古いのは否めないのですが一度読んでおくとためになるかもしれませんよ!

だるま心療譚 完全版

「Y氏の隣人 完全版」に期待

だるま心療譚 完全版
ひさぴよ
ひさぴよ
1年以上前

作品のクチコミは以前こちらで書いた通り。 https://manba.co.jp/topics/25396 「幸福ノ學習社 完全版」と同様、通常版と収録内容は変わりません。 次々と吉田ひろゆき先生の作品が復刻されていますが、集英社版の「Y氏の隣人」など電子書籍ストアから消えていってるので、これはいずれ新たに完全版が出るのでしょうね。 ※もし出すなら表紙絵の色使いを何とかしてほしい所です…。

幸福ノ學習社 完全版

通常版との違いはほとんどなし

幸福ノ學習社 完全版
ひさぴよ
ひさぴよ
1年以上前

紙の単行本も通常版の電子書籍も持っているので見比べてみましたが、完全版との違いは特になく、収録内容は同じでした。 価格設定は440円とお買い得です。また、KindleUnlimitedに対応しているので、そちらで読むのも良いでしょう。 作品のクチコミはこちらに書きました。 https://manba.co.jp/topics/24603

結婚するって、本当ですか

青年漫画の偽装結婚ものは珍しい?#1巻応援

結婚するって、本当ですか
六文銭
六文銭
1年以上前

少女・女性漫画では、一大ジャンルになっていると思う「偽装結婚」ものだが、青年誌では珍しいなと思い読んでみた。 私、ドツボです。 「モブ子の恋」もそうなんですが、こういう恋愛に対して地味めなカップルが恋愛を意識していく過程みるの好きなんですよ。 それが例え、偽装でも。 特に、恋愛以外に強い価値観があって、それを中心とした生活に満足しているようなカップルーいわゆる恋愛脳ではないので、そこからどうやって発展していくのかが興味津々なのです。 本作も、そんな感じ。 主人公大原は、他人よりもワンテンポ遅れているようなのんびりした性格で、猫と暮らすことに生きがいを感じている。 ヒロインの本城寺は、人をみつめる癖があるのに無表情・無口なため職場で異様な怖さを出しているが、家で一人地図を眺めるのが好き。 二人共、家で過ごすことに喜びと生きがいを感じている。 そんな中、二人の勤務先の旅行会社で海外に出張しなければならない(しかも、ロシア)人員の選抜がはじまる。 候補は独身者。 充実したシングルライフを守るため、大原と本城寺は結婚して(厳密には結婚したことにして)、この選抜から逃れようという流れ。 自分のメリットがなければ結婚しないという、なんとも現代的な価値観だが、納得感のある感じ。 職場の人間に結婚を報告し、祝福されるのを二人が一生懸命取り繕っていく過程で、少しづつお互いの価値観を共有・理解していきます。 まだ1巻なんですが、最後に少し意識しはじめる描写があり、これからの展開に期待しかないです。 続刊楽しみすぎる。 余談ですが、本城寺さんが死ぬほど可愛いです。 年上だからと張り切る姿も、結果空回りして反省するところも、何より1人部屋でスウェットみたいなの着てニコニコ地図を眺める姿・・・普段、無表情だからか、そのギャップにやられてしまいました。 ベタですが、いいものです。

ファインダー―京都女学院物語―

ほぼ日常、ときどき秋本ギャグ

ファインダー―京都女学院物語―
名無し
1年以上前

特別な写真家としての才能があるわけでもないし、 人一倍のカメラへの情熱があるというわけでもない。 ネコの写真を撮ろうかな、程度の気分で写真部に 入部した女子高生4人組の物語。 あまりヤマとかタニとか多くはないストーリーだが それならそれで淡々とした日常ドラマかといえば、 写真部の部長は女子高生でありながら 戦場カメラマン志望だったり、 いかにも「こち亀」の秋本治先生らしい ギャグ・キャラも何人か登場したりする。 なので日常系漫画とも評しがたい。 おかげで面白い漫画になっている部分はあると思うが。 カメラについてのマニアックな話も出てくる。 京都のフォトジュニックな街並み紹介もある。 とはいえカメラマン漫画にありがちそうな、 一生心に残る写真が撮れました、みたいなエピソードは 強く全面に押し出されてはいない。 むしろ偶然に取れた写真が評価されたり、 課題写真をこなすのにごまかしをしたり、 真面目に写真を撮っている人達からしたらオイオイと 言いたくなるような展開もあったりする。 もしかしたら秋本先生からしたら 「だって女子高生の日常なんてそんな感じでしょ」 ということなのかもしれない。 後々になって振り返ればかけがえの無いひと時だったとしても、 第三者から観たらただの日常。 常に全力でしたとか真剣でしたとか、 実は深かったとか愛が溢れていたとか、 そういうものでもないでしょ、でもそれもいいでしょ、 と秋本先生は言いたいのかもしれない。 そんな感じに達観した上で、そういう青春を良しとし、 あえてそういう世界を全一巻で描いたのかもな、と思った。

珈琲と猫の隠れ家

保護猫カフェなら行きたい派

珈琲と猫の隠れ家
無用ノスケ子
無用ノスケ子
1年以上前

商業的な猫カフェには抵抗感があって足が向かないのですが、この本で描かれているような保護猫活動されているお店は、断固支持する派です。作中に登場するカフェは、横浜にある猫カフェ ミーシスさんというお店をモデルにしているそうで、保護猫たちがのびのび暮らしている所へ、お客さんが珈琲を飲みに来て猫とふれあい、出会い次第では新しい家族として迎え入れることができます。お店とお客、それぞれの交流を描いており、1巻と短い作品ですが、それぞれの心情がバランス良く丁寧に描かれていて、読んだ後は何だかすごく気持ちがスッキリしました。たまに人物にフォーカスが当たりすぎて、猫ちゃんの存在感はやや少ない印象もありましたが。でも、話の中心には猫がいるのは間違いなくて、それはぶっきらぼうな店長さんの態度一つとっても、伝わってくるのです。

東京エイリアンズ

「青春×機関銃」NAOEさんの新作スペースファンタジー #1巻応援

東京エイリアンズ
sogor25
sogor25
1年以上前

普通の高校生・郡司晃(ぐんじ あきら)は下校途中、なぜかフードをかぶった青年と杖をついたおばあさんの二人しか乗っていないガラガラの電車に乗り込みます。すると次の瞬間、おばあさんは背中から何本も触手のようなものを伸ばし、それに対して青年は 刀のような武器で応戦するという、およそ現実とは思えないような戦闘が始まってしまいます。 突然の出来事に呆然とする晃でしたが、戦闘の隙を突いて逃走を図るおばあさんに触手で捕まり、そのまま拉致されてしまいます。おばあさんの家まで連れてこられた晃は、そのおばあさんから彼女が宇宙人であること、地球には一般人に紛れて宇宙人が普通に生活していること、そしてそんな宇宙人を管理している「Arien Management Organization」通称「AMO」という組織が存在することを知ります。 この物語は こんな経緯で宇宙人の存在を知った彼が AMO の一員となり戦いに巻き込まれていくという話です。 実は地球には人間に紛れて宇宙人が住んでいたという設定は ファンタジーとしてよく見られる設定ではあると思いますが、迫力のある戦闘シーン、主人公の晃が宇宙人の側にいきなりさらわれてしまうという導入、そしてその後の晃がAMOに所属するまでの一連の展開が面白くてつい物語に見入ってしまいます。 また、普通の高校生だと思われていた晃にも、本人すら知らない秘密があり、実はその伏線が一番から隠されているという構成の上手さもあり、とにかく先へ先へと引き込まれる作品になっています。 1巻まで読了

医者と被験体さん。

お互いを想うからこそ"絶対に知られてはいけない秘密" #1巻応援

医者と被験体さん。
sogor25
sogor25
1年以上前

大学病院に勤める医師の穂並は新村さんという女の子の患者さんを持っています。彼女はは小さい頃から喘息の持病で通院を続けており、今は穂並先生に週に数回診察をしてもらっています。 診察をしていく中で2人は「薬が効いて新村さんの病気が良くなったらに一緒に遊園地に遊びに行こう」という約束をしていましたその約束を楽しみにしている新村さんは先生の前ではとても明るく振る舞います。 しかし実は新村さんはこの約束を果たすために穂並先生に隠していることがありました。そして穂並先生もまた新村さんには言えない秘密を抱えていたのです。 新村さんは傍から見ても分かるくらい穂並先生のことが大好きで、穂並先生も新村さんに対しては特別気にかけている様子が見受けられます。その2人の思いというのにはちゃんと理由があって、物語が進むにつれてそのエピソードが丁寧に語られます。 週数回の診察と言う2人の束の間の日常は、そこだけを切り取ると和やかに過ぎているように見えるのですが、そこには2人それぞれが抱える秘密そしてこの秘密をお互いに相手に知られては絶対いけないという強い思いが暗い影を落としています。 2人それぞれの背景や思いがとても丁寧に描かれているため、2人の幸せな未来を願わずにはいられないのですが、2人の両方の秘密を知っている読者視点だとおそらくそんな幸せな未来が待っていないであろうことがわかってしまう、そんな切ない思いが溢れてしまう作品です。 1巻まで読了

野原ひろし 昼メシの流儀

父ちゃんでも夫でもない姿を見守りましょう

野原ひろし 昼メシの流儀
野愛
野愛
1年以上前

 初めて読んだときは「これ野原ひろしである必要なくない?」って思った。正直普通のサラリーマンが飯食ってるだけの漫画だな、と。 野原ひろしは言わずと知れた日本の父ちゃん代表である。安月給で足が臭くて情けない父ちゃんと見せかけて、埼玉に一軒家を建て妻と子ども2人と犬1匹を支える立派な大黒柱だ。 多くの人は、野原ひろしの父ちゃん姿しか知らないのだ。 野原ひろしが、父ちゃんでも夫でもサラリーマンでもなくなる瞬間が昼飯時なのだ。だから、昼飯を食う野原ひろしはただの野原ひろしであり、わたしたちの知る野原ひろしではないのだ。 そう思うとなんか感慨深いような…。ひとりの時間をささやかに楽しむ姿が愛おしく思えてくる。 豪勢に回転寿司を楽しんでいたらしんのすけとみさえに見つかったり、行列に並んでやっとご飯にありつけたと思ったら会社から呼び出されたり、なかなかゆっくりできない姿はああ野原ひろしだなあと思えたり。 いつもみんなのヒーローでいてくれてありがとね、なんて気持ちで読むとあたたかい気持ちになるのでぜひ。

世界は終わっても生きるって楽しい

滅びた世界で「生きること」を全力で楽しむ旅路 #1巻応援

世界は終わっても生きるって楽しい
sogor25
sogor25
1年以上前

文明が滅び、"赤い霧"という謎の自然現象に覆われた世界。 そんな世界を、大きなハムスターのような生物・ヤゴ、そして球体の浮遊する機械・メイとともに旅する少女ヤコーネの物語です。 いわゆるポストアポカリプスの世界を描いてる作品で、1巻の段階で人らしき生物は主人公のヤコーネ以外には見当たりません。その代わりに人間を襲う未知の生物がたくさん現れてヤコーネたちの行く手を阻みます。そんな何が起こるかわからない状況を潜り抜けながら彼女たちは旅を続けています。 ヤコーネたちの旅に大きな目的はなく、強いて言うなら「生きること」を目的にしているように見えます。ただ、その旅では困難はあれど決して悲観的なものではなく、タイトルにある通り、滅んでしまった世界を旅しながら全力で「生きること」を楽しんでいる、そんな印象を受けます。 また、不思議な生物が多く出てくる作品ですが、主人公のヤコーネもまた私たちが思っていた"普通の人"ではないような描写が徐々に見えてきます。もしかしたらそのあたりに、滅んでしまったこの世界全体の謎がヒントが隠されているのかもしれません。 純粋にポストアポカリプスの世界観だけでも楽しめる作品ですが、この世界が滅びた謎についての考察もできるし、それ以上にこの厳しい世界観の中で見せるヤコーネたちの「生きること」対してとにかく前向きな様子に、読んでいて不思議と明るい気持ちになれる、そんな作品です。 1巻まで読了

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