君のことが好きで言えない。

現実と"ちょっとだけ違う"世界、誰にも言えない秘密の恋 #1巻応援

君のことが好きで言えない。 みかみふみ
sogor25
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主人公は幼馴染の中川歩に恋心を抱く高校1年生の高梨上総(かずさ)。 しかし彼女は"ある理由"から歩への思いを隠しながら生きていました。 なぜ上総は恋心を隠す必要があるのか それには2人が暮らす世界に秘密がありました。 実はこの作品の舞台となる世界では30年前に衝突した隕石の影響で 人が「同性しか愛せない世界」へと変わってしまっていたのです。 そんな世界で"異性愛者"だと知られると周りから白い目で見られてしまい、そしてそれは歩に対しても迷惑になってしまう、そんな理由から上総はその恋心を誰にも知られないよう過ごすしかなかったのです。 この作品はそんな、この世界と"ちょっとだけ違う世界"で繰り広げられるラブストーリーです 「同性しか愛せない」以外は私達の世界と変わらない世界が舞台なので、より一層、主人公の上総の置かれている状況の特異さが際立っていて、 1人だけ周りと違うことに思い悩む上総の姿や"異性愛者"に対する周囲の容赦のない言葉の数々、そして、 これはもしかしたら「同性しか愛せない」世界だからなのかもしれませんが"異性"である上総に対して自然と距離が近く無防備に接してくる歩の存在、それら全てが上総の恋心の切なさを加速させていく、そんな作品です。 1巻まで読了

ぱち☆

寄って撮って仲良くなる! #1巻応援

ぱち☆ もいろみ
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

慣れないうちは人物撮影って恥ずかしくて、それを拗らせてしまう気持ち分かるなぁ、と懐かしい気持ちになりました。 スマホで写真を撮るのが好きなロモと、一眼レフを持つが人を撮るのが苦手な硝子(れんず)。ロモが硝子にぐいぐい迫り、関係を構築しながら、インスタントカメラ好きな名月、モデル志望でスタイリストの腕があるめぐの女子四人で同好会設立。 四人それぞれの興味は、早速硝子がロモを撮影するくだりで上手く噛み合い始めます。今後、四人がどんな撮影を見せてくれるのか楽しみです。 硝子の心の変化は、ロモを撮影するスタイルに表れます。人物撮影でよく言われるのは、モデルとの心の距離感。友人になりたての二人が見せる撮影の試行錯誤は、技術に留まらない関係性の試行錯誤。硝子の心の動きに、私の中の陰キャが喜んでしまいます。 カワイイ絵と美しい光景。実在の場所をもじった舞台、写真やカメラの話題(硝子のカメラのメーカーにワイ狂喜乱舞)、さらにロモと硝子のフルネームまでネタは豊富。何より撮りたい写真への拘りがすでに見えて、メンバーそれぞれの成長が楽しみな作品でもあります。 カメラマニアとしては、スマホが優秀なのは認める。

同人女百合アンソロジー

また一つ凄い百合アンソロが #1巻応援

同人女百合アンソロジー 一迅社アンソロジー
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

『2DK、Gペン、目覚まし時計。』の大沢やよい先生が描かれているカバーイラストで、既に作業中のだらしなさやむさ苦しさとそこに咲く百合のニュアンスにむせるのです。 続く伊月クロ先生の巻頭イラストはストーリー性が強く、そこに込められた複数の物語を読み解こうと懸命になるともう何分経ってんだよ。 ●『私を推してよ日菜子さん!』くもすずめ先生の絵いいなぁ。男装コスの女子とメガネ絵師女子の力関係が意外そうでしっくり来る。前日にコピー本作るのはそんなに良くあるのか?作り方のリアリティよ。 ●『ウェルダンは待てない』よく聞くアフター焼肉。一瞬本当に百合?って思うけどコロッと騙された。ヨルモ先生お話上手い。『神絵師JKとOL腐女子』的なファンと先生の関係好きな方に。 ●『逆カプ地雷』ゆあま先生の、コメディタッチな同人作家同士百合。解釈違いで喧嘩するオタカップルってありそうで無かった?(かずまこを先生の『楽園まで、あと…』とか)心の底で通じ合うソウルメイトな二人は尊い。 ●『フソクフリ』めざし先生、絵は可愛いのに人物造形がエグい。目立ちたがりでかまってちゃんでウザい同人作家像は作家でなくても心に痛い。本当にダメな人にこそ、救いは欲しいですよねぇ。 ●『隣サークル主が元カノだったのですが…』好き合っていたのに別れた二人は同人作家同士として再開。二人の微妙に愛着が残っている描写、明るく描いているのにキュッと心を掴まれて、雨水汐先生の絵のタッチと相まって優しく心に残る一品。 ●『お嬢様、同人デビューです!』同人界隈にお嬢様をぶつけてきて、最後まで違和感ありまくりでそれが面白い!お嬢様は金銭感覚以外はすごく真っ当で愛せる存在……散田島子先生の発想力強い。 ●『さよなら私の星』ここで百合界のエグさ担当つつい先生。同人界隈で人付き合いをソツなくこなす人が、才能と無邪気さを併せ持った人と出会って自分の本質を突きつけられる、その抉り方がやはりエグくて堪らない。 ●『すきだから』最後は桐山はるか先生の美麗で愛らしい絵で綴られる、オタカップルの日常。〇〇に出てくるご飯再現!とか素敵すぎる。積み重ねと、変わらないもの。二人でいることが羨ましくなる。 ……とまぁ各作品の感想も長くなる程、どれ一つとして同じものは無いし、様々な物を感じられる充実した一冊でした。

Cocoon

表では「日本一の花魁」、裏では鬼を斬る闇組織の頭領 #1巻応援

Cocoon 見延案山子 夏原エヰジ
sogor25
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舞台は江戸の世も半分を過ぎた天明、吉原遊郭の最高級の妓楼「黒羽屋」には「日本一の花魁」との呼び声の高い"瑠璃"という遊女がいました。 しかし、瑠璃の花魁としての姿は表の姿。 この世には恨みを持ったまま死んだ人間が成れ果てた"鬼"が存在し、闇夜に紛れて密かに人を殺めていました。 実は「黒羽屋」の裏の姿はそんな鬼を退治する闇組織「黒雲」であり、瑠璃は妖刀"飛雷"を携えて鬼を斬る「黒雲」の頭領でもあったのです。 この作品はそんな瑠璃を始めとする「黒雲」の暗躍を描く作品です。 江戸を舞台に"鬼"を始末する闇組織を描くという、王道の時代劇としての魅力が満載の作品であり、"鬼"の存在やその鬼を斃す妖刀や術などの描写や、さらに"鬼"とは異なる"妖"という存在の登場などファンタジー要素もふんだんに取り入れられている作品でもあります。 また、「黒羽屋」には「黒雲」としての姿を知らない者もいて、瑠璃の裏の顔を知らない遊女たちが彼女を妬む様子など、遊女たちの複雑な人間関係も描かれていきます。 それら全てが表紙のとおりの美しい絵柄で描かれていて、物語の魅力が最大限に引き出されたコミカライズになっています。 1巻まで読了

ぎんしお少々

ままならぬ二人の銀塩生活 #1巻応援

ぎんしお少々 若鶏にこみ
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

カメラ趣味には大きく二つの指向がある。一つは最新の機材で厳密な撮影を行う指向、もう一つはゆるさや味わいを求める指向。この作品の指向は、後者。 この作品に登場するのはフィルムカメラ。主人公が別れの間際に姉から貰ったのは、トイカメラと呼ばれる物。トイ=おもちゃだが、撮るのが簡単という訳では無い。普通のカメラに慣れていると戸惑う代物で、失敗も多く……というのは作中の通り。 ままならないこのカメラを託された高校生の妹は、入学の桜の下で美少女と出会う。 性格の明暗はあるものの、二人ともどこか不器用。二人の会話の拙さ、思いが言葉にならない感じは、もどかしいが自分の普段の会話を見ている気がする。 二人は撮る/撮られるの関係性を通じて仲をじんわりと深めていく。この二人にそれぞれの、離れて暮らしている姉を加えた四者の関係は、「離れている」事で色々な事が少しずつ繋がったり、分かったりするのが面白い。 それぞれが心に抱える「ままならなさ」と、フィルムカメラの微妙な間・もどかしさ・味わい・待つ楽しみなどが絡み合い、そのもどかしさがクセになるような、不思議で楽しい読み味だった。

麺面むすび

上手くいかない大人の女へ #1巻応援

麺面むすび ヨドカワ
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

社会人多めの百合短編集。一番年下で大学生なので、全体的に大人の雰囲気。 描かれる人はみんなお化粧をきちんとしていて、大抵は対人スキルもある。それでもこんがらがって、時に乱れてしまう様子は、多くの大人の共感を得られるのではないか。 女性達それぞれの、上手くいかなさ。それはことさら異様なものではないので、自分事のように共感できたり、「こういう人いそう」という気がしたり。そんな人達が同じ「女性」に救われる物語に、ホッとする。 ●『麺面むすび』…コスメ大好きな女性は男ばかりの職場で消耗して、蕎麦屋の店員の女性に癒される。 ●『おそろそろい』…付き合う二人の女性は一緒の時間を求めてオンラインゲームを始める…しかし何故か片方の「お揃い好き」が加熱。 ●『風船カズラは今日も飛ばない』…元モデルの彼女にウェディングドレスを着せたいデザイナー。甲斐甲斐しく世話を焼く彼女の心は? ●『区域外閑談料』…彼女に振られた女性は、母校の大学で出会った子に「公衆電話から電話して」と告げる。 ●『フライングコスモ』…中学時代憧れていた、上品なあの子に大学で再会。地味な私をイメチェンして接近! ●『初嵐のつむぎ歌』…都会でお姉様との出会いが無く田舎に戻った女性と、農業体験で実家にいる純朴ドジっ子の出会い。趣味じゃ無い……。 ●『クラムジーコール』…モンスターデザイナー志望の女性、背景から抜擢!しかしリーダーの女性から迫られる。こいつがとんだナンパ女で……。

塔子さんはいい大人じゃいられない

素直に応援したくなる物語 #1巻応援

塔子さんはいい大人じゃいられない たかせうみ
sogor25
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デザイナーとして働いている27歳の女性・胡桃沢塔子はある日、担当していた仕事をクライアントからの要望で外されてしまいます。 職場でも能力を認められていた塔子でしたが、彼女は幼い頃から表情に乏しく「意思疎通ができていない」と思われてしまったのがその原因でした。 そこで同僚に薦められたのが「マッチングアプリ」。 相手と直接会う前のメッセージでのやり取りでワンクッションを挟んで、そこからコミュニケーションの経験値を積もうという提案でした。 早速アプリに登録してみた塔子は、マッチングした真崎蒼斗という男性と意気投合し、実際に会うことになるのですが、そこで蒼斗が実は18歳の高校生であることが判明する、という導入の作品です。 無表情なために仕事でもプライベートでも勘違いされやすかった塔子が高校生だけど人馴れしている蒼斗との交流によって少しずつコミュニケーションの経験を積んでいくという物語なのですが、 主人公の塔子は"表情"は薄いんですが"感情"はとても豊かで、蒼斗との出会いによりいろんな感情を見せてくれるので、塔子のことを素直に応援したくなる物語です。 蒼斗のことを頼りにしつつも彼が高校生であるため努めて"大人"として接しようとする塔子と、塔子にもっと頼ってほしそうにしている蒼斗、2人の関係が今後どのように変化していくのか楽しみな作品です。 1巻まで読了

ニューノーマル【単行本版】

マスクが"常識"となった世界の少年少女の物語 #1巻応援

ニューノーマル【単行本版】 相原瑛人
sogor25
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この作品の舞台は"ある感染症"のパンデミックにより、人前でマスクをすることが常識であり文化となった世界。 そんな新しい価値観が広まった世界における思春期の少年少女を描く作品です 「マスクの着用が普通になる」という、現実に近い設定の作品のように視えるのですが、この作品が現実と大きく異なるのは、公共の場でマスクをすることが感染症対策という目的を越えた"常識"となっていること。 つまりマスクはほとんど衣服と同様の扱いになっていて、「マスクをしない時代」を知らない思春期の少年少女にとってはマスクの下の鼻や口を見られることは"恥ずかしいこと"なのです。 ただ、衣服と違ってマスクは食事のときなどには外す動作が必要なため、日常生活の中でマスクの下を見られる隙が生じるということ。 この作品では「マスクを外した状態の顔を見られる」という私達にとっては普通の出来事が、登場人物にとって極めて衝撃的でビビッドな瞬間として描かれています。 この作品は"マスクが常識となった世界"という設定で現代の情勢をSF的に組み込みつつ、その中で生きる思春期の少年少女を瑞々しく描いている、設定の新しさと思春期という普遍的なテーマの両方を兼ね備えた作品です。 1巻まで読了

ひめちゃんは重い女

面倒な人に優しい作品 #1巻応援

ひめちゃんは重い女 花束葬式
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

『お父さんは心配性』なんて作品もありましたが、心配性・考え過ぎ・嫉妬深い人はマンガにおいては極端なコメディにされるかライバルとして冷遇されるか……あまり自分事として受け入れられない。 なんで?みんなだって、メンドクサイ人でしょ?(暴論) ★★★★★ 大学生のひめちゃんは、思考が後ろ向きで、嫉妬深い。カッコいい彼女がいて幸せそうなのに、とにかく悪い事ばかり考えて落ち込んでいる。 ひめちゃんを不安にさせない様、気遣いの出来る彼女はパーフェクト。でもだからといって、ひめちゃんが不安にならないという事は無いんだよなぁ……不安の種を見つけては堕ちて行く思考回路は同じ「重い」人間として、とても分かる。 そんなひめちゃんを普段から支えるのは、ゲイの後輩。彼とひめちゃんの対話が、とにかく面白い。 どちらかが、普通は引かれるような不安や嫉妬を吐露すると、「わかるわー」と返ってくる。その遣り取りを見ていると、「それ重いって」と突っ込む自分がどれだけ一般論に迎合していたかに気付く。そして二人の「重さ」が自分事として、沁みるように理解出来る。 基本百合マンガでありながら、不安症の二人の相互理解にも心を持っていかれる。最高な彼女がいるひめちゃんには、酷い男に引っ掛かり続ける後輩に優しくしてあげてよ……と思いました。

たぬきときつねと里暮らし

かわいい動物たちと田舎暮らし…かと思いきや。#1巻応援

たぬきときつねと里暮らし くみちょう
nyae
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表紙のかわいいふたりは、たぬきときつねが人間に化けた姿。主人公・泰葉がうっかり餌付けをしてしまったばかりに懐かれてしまいます。泰葉とこのふたりが織りなすほのぼの田舎暮らし漫画、かと思いきや、伏線ぽいものが張られていたり、ビックリなことが急に判明したりします。 元々ブラック企業に勤めていた泰葉でしたが、きっぱりと仕事を辞めて心機一転、秩父に住む祖母の家に引っ越してのんびり田舎暮らしを始めた初日にふたり(2匹)に出会います。 いかにも天然アホの子なたぬき・ももと、しっかり者と見せかけてこちらも天然アホの子なきつね・いち。このふたりの可愛いこと。もうそれだけで読む価値があると言い切れます。なのである意味ただのほのぼの漫画としても読めます。 泰葉が元社畜というのもあり、ちょっと顔が疲れてるところとかがやけにリアルで、泰葉が心穏やかに過ごしてるのを見るだけでなんだかこっちもストレスが減るような気持ちに。 3人以外にも、おおらかな泰葉のおばあちゃんや、幼なじみ(らしい)祐介くんの活躍も楽しみですし、まだビックリが隠されているような雰囲気があるので先が気になります。