一言でいうとタイトル通りというか、かなりエロコメ寄りで、まおゆうの如くいきなり魔王と勇者が対峙して珍道中を繰り広げていく、今の所エロコメメインの作品である。 原作はノクターンノベルズの官能小説で魔王とは言うが、歴代の勇者が聖剣を握るや討伐されまくり、何度となく肉便器にされてきた為、滅茶苦茶自己評価が低く、当代の勇者が現れる頃には名ばかりの魔王と化していて、魔王復活したのに魔族からは見放されていて魔王軍も最早集結せず、対峙するや否や降伏して肉便器宣言して命乞いという、あまりにもアレな魔王で、 勇者は勇者で田舎で暮らしてたら偶然か運命か聖剣を抜いた(?)事から、あれよあれよと勇者に祭り上げられ、一応正義感は強いので魔獣被害に苦しむ人々の為に、4カ月ほどの旅の末(魔王軍とは交戦せず=要はレベル一桁)魔王城に乗り込んだら、上記のように命乞いする弱弱しい魔王が「守ってあげたいお姫様」という自身の好みにクリティカルヒットだったことから剣を振る事が出来ず、なし崩し的に魔王を肉便…仲間にして王都に判断を仰ぐ事にしたのである。 とにかく歴代勇者の所業がギャグっぽく語られてるが、中々にヘビーで、魔王とのエッチシーンもえっちと言えばえっちだが、魔王の弱弱しさと勇者の流されっぷりが結構な笑いを生み出していて、シリアスもエロも笑いもあり、中々に楽しめる。 現時点ではあくまでエロコメで、この先はシリアスなファンタジー要素もあるがそこまで描くかは不明。 エロは直接的な描写は薄めだが、淡々と過去の男遍歴と淫語を並び立て媚びる魔王は気に入る人も居そうだが、現時点では笑いに繋がっている感じ、というか小説版のエロ文章が濃密すぎて、漫画化に際して削られた文章と青年誌レベルに抑えた作画のエロ描写ではエロ部分はちょっと物足りない。 ただし疲れ果てて目の死んだ魔王とか、そんな魔王が人間の食べ物に喜ぶ顔とかは十分可愛く描けていて良し。 原作の魅力をどこに置くかで評価は分かれそうだが、魔王の可愛さやイチャラブ、バトルとかは期待できそう、翻ってエロはちょっと抑えすぎな感は正直あるが、全く無いわけじゃないので悪くはない。
※ネタバレを含むクチコミです。
この作品は普通の高校生・清藤那望(きよふじなもう)が、異纏(あだまとい)という不思議な能力を持つ少女・法詞(のりと)いぶきと出会い、妹の美依(みい)と共に異界からやってくる怪物との戦いに巻き込まれるという物語です。 那望もまた異纏を使えるようになり、いぶきと共に怪物と戦うことになるのですが、いざ戦闘となった時に那望が最初に抱いた感想は「これめっちゃ楽しい!」 怪物との戦闘は死と隣り合わせの非常に危険なものなんですが、こんな感じでどこか気の抜けた感じの那望のキャラクターのおかげで軽妙にストーリーが進んでいく気持ちのいいテンポ感の作品です。 また、そうは言っても怪物との戦闘が厳しいものであることに変わりはないのですが、いぶきは勿論、那望も決めるところでは正義感をバッチリ見せてくれて、それぞれが持つ能力を駆使し、知略を巡らせて戦うスリリングな一面もある作品です。 1巻まで読了
主人公の騎士・アグレディオスが長い旅路から故郷の村に帰ると、郷の人々は1人残らず息絶えていました。 アグレディオスはそれを"禁忌の森"に棲む魔女の仕業だと考え、復讐のためにその魔女を狩ることを決意します。 しかし、森の中で見つけた魔女は自分の仕業ではないと言い、それどころか、これはただの始まりで、もっと多くの呪いが生まれると予言めいたことを言います。 この作品はそんなアグレディオスが魔女の力を狩りながら、故郷の復興を目指し奮闘する姿を描く作品です。 最初は食糧の確保すらままならない様子でしたが、双子の生存者を発見したり、近くの集落と合流したりと、少しずつ仲間が増えてきて物語に希望が見えるようになります。 しかし、村を滅ぼした"呪い"についてはまだ多くが明らかになっておらず、魔女の発する言葉も抽象的で理解が難しいため、今後の展開にはまだまだ予断を許さない、そんな緊迫感の漂う作品です。 1巻まで読了
去年、Twitterでめっちゃお洒落で格好いいバンド・デシネっぽいフルカラーの和風漫画が流れてきておく先生のファンになって以来、今回の単行本の発売を楽しみにしていました! さっそく読んだのですがメチャクチャよかったです。 風邪引いてるときに見る夢のように脈絡のないストーリーなのですが、独特の世界・デフォルメバキバキの絵・華やかな色使いを見てるだけで楽しめてしまうので、そのストーリーのわからなさすら心地いい…! 漫画ですでに完成されてるけど、できることなら湯浅政明監督に映像化してほしい(願望) まだ読んだことない方はまずはツイートで見てみてほしい作品です。 https://twitter.com/2964_KO/status/1490233805227302914?s=20&t=DQNp2XJR-5UQ2snPHraa2g https://twitter.com/2964_KO/status/1480534504079245312?s=20&t=DQNp2XJR-5UQ2snPHraa2g
この作品は依頼を受けた人物の抱える恨みを晴らす"呪い屋"として暗躍する謎の少年・終君を描く作品です。 1巻で登場する依頼人は担任教師がシングルマザーである母親と付き合っていること知った男の子や娘がSNSで知り合った男に殺された父親など。 そんな彼らの依頼を受け、終君が時に自らの身体を犠牲にしてまで相手への呪いを実行していく様子を描く作品です。 あどけない見た目の終君が実行する呪いの恐ろしさのギャップ、そして呪いを依頼した人たちの辿ることになるヒューマンドラマが魅力的な作品です。 1巻まで読了
ある日突然"吸血鬼"が現れ、人間の命を脅かすようになった世界。 対吸血鬼保安部隊の隊長である緒坂唯鈴は、「"吸血鬼殺し"と呼ばれる伝説の吸血鬼を国が非公式に拘束している」という情報を知り、人々を吸血鬼の脅威から守る切り札とするためにその吸血鬼の誘拐を決意します。 この作品はそんな唯鈴と、彼が救出した伝説の吸血鬼・バロックがバディを組み、吸血鬼との戦いに身を投じていく様子を描く作品です。 バロックは国の管理する施設で数十年の間拘束されていたにもかかわらず、人間を慕う気持ちを失っておらず、 特に、"吸血鬼殺し"により人類を助けてくれていたことに対する感謝の意を伝えてくれた唯鈴に、バロックは特別な好意を寄せるようになります 人間を襲う吸血鬼との戦闘は文字通り命がけで、そんな吸血鬼たちと"呪い"を武器に戦うバロックの戦闘シーンも魅力ですが、 バロックと唯鈴のバディが今後どのように関係性を進展させていくかにも注目の作品です! 1巻まで読了
この作品は、不動産屋を営んでいる山村俊光と、介護士をしている椿坂権太という4年間同棲しているカップルの日常を描く作品です。 きっちりした性格の俊光と おおらかだけど大雑把な権太の同居生活には、いろんなすれ違いやいざこざが生まれるのですが、そんな2人の間を繋いでくれるのが、俊光が趣味で作るスイーツを2人で食べる"おやつ時間"。 様々な出来事が起こる2人の日常を、毎話登場するスイーツと"おやつ時間"が優しく包み込んでくれている、そんなほのぼのとした作品です。 また、実は俊光は権太との同棲を職場では秘密にしていて、そんな彼とLGBTという言葉に変に興味を持っている従業員のこずえとのやりとりにはちょっとドキッとする瞬間も訪れる、そんな一面もある作品です。 1巻まで読了。
サキュバス物と言えばやたらひyかつ下品になる傾向があり読む前からそう言った不安がありましたが、どうやったら性欲を抑えつつサキュバスの柊さんと付き合うか悩む主人公草壁×穏便かつ真面目にサキュバスとしての責務をどう果たすか考えるサキュバス柊さんらが魅せる良いラブコメストーリー物に上手く仕上がっており大変満足出来ましたね 特に普通の男ならルパンダイブしそうになるシチュをあの手この手で我慢・回避しようとする草壁のギャグっぷり×悪気は無いのだがサキュバス特有の雰囲気や柊さんの天然が重なる誘惑からなるお色シーンの数々のやり取りやコメディがすんなり読めるし面白いと言う見事な作風がとても素晴らしくラブコメ好きは勿論ですがサキュバス系好きにも刺さる作品ではないでしょうか?
“魔法少女”――それは、誰もが憧れる高給取りで人気が高い「職業」 というモノローグからはじまる本作。 ・・・マヂか。 「魔法少女って職業だったの!」 という気持ちを押し殺して読みましたが、普通にバトル漫画として面白かったです。 魔法少女なので戦いかたもステッキ片手にメルヘンちっくな呪文で~な感じではなく、パソコンというかデバイスというか近未来的な装置をつかって、プログラミング的な呪文をとなえて戦うのも、おっさんには良かったです。 展開としては、主人公の1人は就活全オチ真っ最中のなか、ひょんなことで出会った魔法少女・越谷がいるベンチャーの会社マジルミエに(ほぼ成り行きで)入社するという流れ。 ベンチャーっぽく研修もないので無茶振りされながらも、魔法少女の業務を通して、自分の適性や能力などを模索し成長していく。 全オチで自身喪失していた主人公が、周囲と協力しながら自信を取り戻していく・・・この王道少年漫画っぽい感じも良いです。 また魔法少女だけでなく、普通のサラリーマン的な要素(企業戦略とか人材育成とか)もあって、この点も、おっさんにはツボでした。 1巻なので、まだ世界観の全容がみえていないのですが(戦っているものがなんで発生するのかとか)今後、明らかになっていくのが楽しみです。
イタリア料理店でシェフとして働いてた26歳の女性・三上ことはは、亡くなった祖母が地元で経営していたカフェを手放してしまうという話を聞き、そのお店を引き取って自分のお店として開業することを決意します。 元いたお店を退職し、開業準備のためにそのカフェを訪れた時、助っ人として来てくれた兄の友人・広沢和也と出会います。 女性と接するのが苦手という和也に対し少し戸惑っていたことはでしたが、初対面だったことはの開店の手伝いをすごく一生懸命にしてくれて、彼がある事情から仕事を辞めて無職だったこともあり、ことはは和也に開店後もお店で働いてくれないかと提案します 2人が一緒に働いているなかで見えるふとした瞬間にドキッとする、大人のトキメキにあふれた作品です! 1巻まで読了
主人公の明場夏瑚(あけば かこ)には、小学校の頃からの大切な幼なじみである小沢憂奈(おざわ ういな)と田鶴森泰星(たずもり たいせい)がいました 夏瑚は泰星に密かな恋心を抱いていましたが、ある時、泰星と憂奈が付き合い始めたと知り、3人の友情を守るために夏瑚ははその恋心を胸に秘め続けることにしました。 ところが、2人が付き合うようになる過程で憂奈が泰星にある嘘をついていることが判明します。 憂奈の真意が知りたいと思った夏瑚が憂奈を問いただすのですが、それによって逆に 憂奈の裏の顔というのが見えることになり、そこから3人の関係が崩れていくことになります。 そんな中、夏瑚に近づいてきたのが学校の先輩である佐久間絢斗(さくま あやと)。 絢斗は夏瑚に「泰星のことを憂奈から奪っちゃおう」とけしかてきます。 壊れてしまった幼なじみ3人の関係はどうなってしまうのか、絢斗はなぜ夏瑚に近づいてきたのかなど、ドロドロとした関係の中に謎がたくさんちりばめられた、サスペンスとラブストーリーの融合した作品です。 1巻まで読了
主人公は「神銀の剣」という名のS級パーティに所属するマージという男。 【技巧貸与(スキル・レンダー)】という固有スキルを持つ彼は、その能力を用いて自身の持つ他のスキルをパーティの仲間に貸与し、仲間がそのスキルを最大限に増幅させることで実力を上げていました。 しかし、スキルを貸すというその特性上、実際の戦闘では無能になってしまうマージ。 そのせいで彼は仲間から冷遇され、遂にはパーティから追い出されることになります。 そんな仲間に愛想を尽かし、これまで貸していたスキルの返却を求めるマージ。 スキルを返しても十分な経験値を重ねてきたため問題ないとあっさり返却に応じる仲間でしたが、 実はマージが貸していたスキルには、過去6年間で積み上げられた莫大な"利息"が付いていたのです。 こうして自身のスキルを利息という大きな見返りと共に"とりかえした"マージが、パーティを離れて自由の身となり新たな旅を始めるという物語です。 人生やり直しの物語であり俺TUEEE系の要素もあるため、自身のスキルを最大限に活用しながら活躍していくマージの姿が魅力の作品です。 また、マージにスキルを"返却"したあとのパーティの元仲間も今後と往生するようで、彼らの"その後"がどのような描かれ方をするかも気になる作品です、 1巻まで読了
無実の罪をかぶせられて国を追放され、人間を喰らう怪物が王をしていると噂のダーゲンヘルム王国に捨てられた公爵令嬢のシルフ。 死を覚悟した彼女でしたが、噂のダーゲンヘルムの王に拾われ、かつて夢見ていた図書館司書として新たな暮らしを始めるという物語。 表紙は少し暗い印象で導入もけっこう絶望的な感じですが、そこを乗り越えると、新たな人生を歩み始めたシルフの明るい未来が見えるはずです。 また、かつては身分を偽ってまで庶民の場である図書館に通っていたほどの本好きであるシルフですが、彼女の"本好き"が、図書館司書という夢についてだけではなくダーゲンヘルムの王との関係性にも関わってきて、2人の何とも言えない距離感がたまらなく愛おしい作品です。 1巻まで読了
ベランピングとは、自宅のベランダでキャンプ気分を味わうという最近注目のアウトドアです この作品は、仕事のストレスを発散できずにいたOL・笹さやかが、近所の男性がベランピングをしている様子を偶然見かけたことで興味を持ち、自分でもベランピングにチャレンジしていく様子を描く作品です。 主人公であるさやかの家がごくごく普通のマンションだったり、ベランピングに使う道具を100均で揃えていたりと、気軽に始めて工夫次第でいろんな楽しみ方ができるというベランピングの魅力が満載の作品です! また、さやかが1人で楽しむ様子だけではなく、お隣さんやアウトドアショップの店員など、少しずつさやかの交流の輪が広がっていく様子も楽しい作品です! 1巻まで読了
田舎町のさびれた宿屋の娘・アンナは村に十数年ぶりに来た旅人がイケメン3人組だと知って色めき立っていました。 その3人が村で開くパーティの参加者を募っていると聞きつけたアンナは、そのあとすぐ偶然出会った3人の旅人の1人・アーサーにパーティに参加させてもらえるようお願いし、あっさりOKをもらいます。 しかし、実はアーサーたちは魔王を倒しに行く勇者一行で、村で開く"パーティ"ではなく、一緒に冒険に行く"パーティの仲間"を探していたのでした。 ということで、勘違いからアーサーたちと冒険に出ることになってしまった、なんの能力もないただの宿屋の娘・アンナが繰り広げるドタバタコメディです。 足手まといになりながらもなんやかんやでパーティの3人と仲良くなっていくアンナがどうにか結婚相手を捕まえようと奮闘する様子が面白い作品ですが、ファンタジー世界を利用したメタネタも多く、あの手この手で楽しませてくれるコメディ作品です!
『アドレスどちら』、『魔法自家発電』、『いちばんいいスカート』などでお馴染みの、谷和野さんが手掛ける読切シリーズが単行本になりました。 収録作品は 「風の開け閉め」 「花ゲリラ」 「藍の上青の下」 「星拾い」 の4本。 どこか懐かしくほっとするような美しい絵柄で紡がれる、心の繊細な機微を丁寧に掬い取った作品たち。西洋系でファンタジックなお話が中心かと思えば、現代日本が舞台で野球部の少年を描く作品も登場して緩急が生まれています。 個人的には、「星拾い」における主軸の二人の心の変化に自分の過去の体験を重ねて古傷の痛みを思い出すようでした。 総じて心の窓の扉が開かれ、清新な風を受けたような読後感です。 端的に言って、私は谷和野さんが描く世界が大好きです。シリーズはまだ続くようなので、今後も楽しみにしていきたいと思います。
タイトルから想像されるのは、女性が主人公でかっこいい幼なじみがいる物語でしょうか。半分はその通りなのですが、本作の特徴は男性側のみならず女性側も超絶にイケメンすぎるというところです。 ヒロインのいつきは、容姿も性格もイケメンすぎて冒頭から女生徒に告白されます。そんないつきの幼馴染で、彼女のことを想い続けている男子・あおいもまた文武両道で性格も外見も文句のつけようのないパーフェクトイケメン。 スパダリ×スパダリの両片想い、一体どうなっちゃうの〜!? という本作ですが、もうひとつこの作品で面白いのは、この二人が全校生徒の「推し」と化しているというところ。モブたちがエネルギッシュな強火オタクさながらに、二人の関係性が少しずつ進展していくのを尊さに身悶えしながら応援していく様子がたまらなく面白いです。 「寿命伸びすぎて不老不死になったわ」 「顔、良…ッ!!」 「著名美術家の彫刻かよ……」 「まぶすしすぎる 朝だっけ?って思うくらいまぶしい」 「(吐血)」 と時に語彙豊かに、時に人語を失って元気なモブたちが大好きです。 茶畑真さんは初単行本だそうですが、絵は綺麗でネーム的にも読みやすく、マンガが上手な方だなと思います。今後も楽しみです。
自分でも犬を飼うようになってから、すっかりこういった作品への共感度が高くなりました。 ある日から家にやってきた、愛犬の生態と日常を愛情たっぷりに描いた作品です。 顎乗せや伸びといった仕草。 人間と後ろの物体との間の狭い空間に潰れるのも辞さず入り込もうとするところ。 変な寝相。 病院の診察台の上でプルプル震えて固まるところ。 伸びる皮。 近所の人のアイドルになっているところ。 寝ながらキックしてくるところ。 シャンプーのいい匂いも一晩の命であること。 軟体動物と化す様。 飼っている犬種は違ってもかなり共通する「あるある」、そして「うちのこ」へのたゆまぬ愛が詰まっていることに穏やかな笑みが溢れました。 単話版から追加された幕間の「ひとん家のいぬの話」ではよその色々な犬種の子たちのかわいいお話も(コーギー 成分が多めでした。コーギー姐さんかっこかわいい)。 終盤の展開にはいつか訪れるその日が迫ってくる様に胸を搾られます。何気ない日常を、より愛おしく感じさせてくれ大事に過ごしたいと思える作品でした。
『緑の罪代』や『お兄ちゃんは今日も少し浮いてる』など秀作を次々と送り出してくださっている梅サトさんの短編集です。 表題作の「ユカリさんはクローン」は、人口の1/3がクローンで占められるようになり自分と同じ顔の人が様々な場所で違うことをして活躍している世界を描いたお話。すこしふしぎ感のあるSFで、「複製された私たち」というモノローグにアイデンティティについて考えさせられました。 「放課後の最後の晩餐」は、レオナルド・ダ・ヴィンチの名画の中の使徒たちを絵画の通りに演じてみてその気持ちに迫るという授業を描いたお話。見るだけなのと実際にやってみるのには大きな隔たりがあるのはすごく解ります。物語を普通に読むのと、人に聞かせる朗読をするために読み込むのとでは全く解像度が違うように。 「妖精裁判」や「アンコンシャスワールド」では、それぞれ1ページ丸々使った決めのページが印象に残りました。 5つ目の「最期の人形」も含めて、5篇に通底したテーマを感じさせてくれますが、そこには敢えて触れません。実際に読んで確かめてもらえればと思います。 シリアスな雰囲気の作品がメインではあるものの、肩の力を抜いて自然体でいるような軽やかさがある短編集です。過去作と同様の梅サトさん作品の良さが味わえます。 あとがきでは作者の梅サトさんがどうして梅が好きなのかが語られていますが、まさに梅が綺麗に咲き始める時期、冬が終わり雪の下から草花が芽吹くような春の訪れを少しずつ感じるこれからの季節に読むと良い塩梅な一冊だと感じました。
この展開、先がわからなさすぎて気になるやつ。 離婚するために結婚を承諾するって、どんな話になっていくのか。 そしてやはり三椿(主人公)は開に恋しちゃってますね。 元カレの行動・発言にも、えーっまじか。って思う所多々あり。 結構皆さん破天荒気味の様な。笑 1巻で怪しいフラグが沢山たってたから、この先ドロドロの展開になっていくのでしょう。
この作品は自分の"煩悩"が具現化するようになってしまった女子高生・甘原かんろと、 その"煩悩"を毎回退治してくれる後輩・言代まゆらという2人の関係を描くコメディ作品です。 甘原の"煩悩"は最初はおでこの大きなニキビとして現れて、そこから生まれた生物がどんどん成長して、甘原にしか見えないイケメンの人間の姿となり、やがて宿主であった甘原のことを唆して彼女を煩悩のままに行動させようとします。 対する甘原は自制心がめちゃくちゃ弱く、“煩悩”に唆されてすぐに暴走してしまう始末。 そこに、なぜかその煩悩が見える言代が現れて"煩悩"を退治していくのですが、その退治の方法が「甘原に懺悔をさせてそれを武器に戦う」というもの。 マンガでしか表現できないその退治方法には注目ですし、もちろんコメディとしても終始ハイテンションで物語が進んでいくのでずっと楽しんで読める、そんな作品です! 1巻まで読了
探偵事務所を営んでいる松田の元に、高校の同級生・神子にまつわる依頼が来たことから物語は始まります。 学生時代から"不幸な人間"を好きになると言っていた神子は今もヒモのような生活をしていて、松田は依頼の解決のために神子を呼び出すのですが、のらりくらりと言いくるめられて、いつの間にか彼は松田の探偵事務所に住み着くようになってしまっていました。 この作品は、そんな2人が日々舞い込む依頼の数々を解決していく様子を描く物語です。 彼らの元に舞い込む依頼はどれも一癖も二癖もあって、依頼が来るたびに繰り広げられる2人の丁々発止のやりとりと、一見仲違いばかりしているように見える2人の唯一無二の関係性が魅力的な作品です また、個々の依頼を解決する過程にはスリルや人情味が感じられるバディサスペンスとしても上質な作品になっていて、最後の事件でそれら全てが凝縮されて最高の盛り上がりを魅せる1巻完結の作品です。
一言でいうとタイトル通りというか、かなりエロコメ寄りで、まおゆうの如くいきなり魔王と勇者が対峙して珍道中を繰り広げていく、今の所エロコメメインの作品である。 原作はノクターンノベルズの官能小説で魔王とは言うが、歴代の勇者が聖剣を握るや討伐されまくり、何度となく肉便器にされてきた為、滅茶苦茶自己評価が低く、当代の勇者が現れる頃には名ばかりの魔王と化していて、魔王復活したのに魔族からは見放されていて魔王軍も最早集結せず、対峙するや否や降伏して肉便器宣言して命乞いという、あまりにもアレな魔王で、 勇者は勇者で田舎で暮らしてたら偶然か運命か聖剣を抜いた(?)事から、あれよあれよと勇者に祭り上げられ、一応正義感は強いので魔獣被害に苦しむ人々の為に、4カ月ほどの旅の末(魔王軍とは交戦せず=要はレベル一桁)魔王城に乗り込んだら、上記のように命乞いする弱弱しい魔王が「守ってあげたいお姫様」という自身の好みにクリティカルヒットだったことから剣を振る事が出来ず、なし崩し的に魔王を肉便…仲間にして王都に判断を仰ぐ事にしたのである。 とにかく歴代勇者の所業がギャグっぽく語られてるが、中々にヘビーで、魔王とのエッチシーンもえっちと言えばえっちだが、魔王の弱弱しさと勇者の流されっぷりが結構な笑いを生み出していて、シリアスもエロも笑いもあり、中々に楽しめる。 現時点ではあくまでエロコメで、この先はシリアスなファンタジー要素もあるがそこまで描くかは不明。 エロは直接的な描写は薄めだが、淡々と過去の男遍歴と淫語を並び立て媚びる魔王は気に入る人も居そうだが、現時点では笑いに繋がっている感じ、というか小説版のエロ文章が濃密すぎて、漫画化に際して削られた文章と青年誌レベルに抑えた作画のエロ描写ではエロ部分はちょっと物足りない。 ただし疲れ果てて目の死んだ魔王とか、そんな魔王が人間の食べ物に喜ぶ顔とかは十分可愛く描けていて良し。 原作の魅力をどこに置くかで評価は分かれそうだが、魔王の可愛さやイチャラブ、バトルとかは期待できそう、翻ってエロはちょっと抑えすぎな感は正直あるが、全く無いわけじゃないので悪くはない。