
金髪ピアスだけど腕は確かな小児外科医
自分の状況をちゃんと理解できない分、暴れたり騒いだりすることが多い小児科、大変そうだな…とマンガなどを読んで思います。とくに医者として優秀であることに加え「子供を診る」能力が問われる仕事ですね。主人公は、大人からすると一瞬心配になる風貌をしている女性小児外科医・星乃。金髪ピアスにちょい粗雑な態度。しかし子どもと同じ、もしくは子ども以上に子どもの目線を持っている、腕は確かな医師です。彼女のもとに訪れる、様々な症状を持った子どもたちととの親。彼女の活躍が楽しみになる1話でした。
「暴力で気に食わない奴殴ってスカッとしたい」という思考の人間が心が大人になる前に社会に揉まれて保身を覚えて
モラル的に正しい側に立って正論で殴れば自分が責められることなくスカッとできると考えてしまった
そして親のやらかしで医者の世話になる可哀想な子供という、味方すれば99%正しい側になれる存在に目をつけた…って感じの漫画ですね
親の失敗で小さい子供が病院騒ぎになったとき、一番体が傷付くのは当然子供の方ですが一番心が傷付くのは親の方なのです
ちゃんとした親になろうとしていた人ほど精神にダメージを受けることになります
この漫画はそんな親を一話完結で叱りつけ、改心させ、さよなら、と言った具合に欲求不満を解消するための使い捨ての道具としてしか見ていません
過去の名作医療漫画にはそれを一話でまとめることに成功していた作品もありますが、この漫画にそこまでの表現力は感じられません
医療系漫画では自分が知らない専門知識が出ると、学びになった経験から内容やらリアリティやらを全肯定してしまう読者がたまにいるのですが
そういう人がこれをリアルだと思って真似すると実在の親と子供両方を苦しめることになります
子供を育てた経験がある人ならわかると思いますが、元来子供の行動は予測不能で親が全てコントロールして守れるものではないのです
最近では過去の常識で大丈夫だったはずの環境で子供が熱中症になる事故などもあり得ます
子育ての失敗には親への厳しい言葉が必要なこともありますが、それは決してこのようなインスタントなものではないのです
相手のメンタルがどの程度弱ってるか理解し、適切なタイミングで適切な言葉をかけ、その言葉による良い影響と悪い影響を把握しその都度修正をするような…気長に側に居てやれる「身内になる覚悟」が必要になります
それが無い人間が他人の子供の事故で親を責める言葉を吐いたり、責める人間を肯定する言葉を使う世の中だからこそ生まれてしまった漫画なのかもしれません
でも本当に他人の子供を守りたいなら、これから先も子供を守り育てる存在である親が壊れるかもしれない行動をしてはいけないのです