ある意味倫理的な原典
2023年11月2日 中学生最後の学年に「少年ジャンプ」で読んで、しばらくして思い出したように単行本を買ってもらった記憶がある。そしてこの時この作品に『暗殺教室』は元より『ONE PIECE』より世界の真実を描いているような衝撃を受けた事を覚えている(尤も今は『ONE PIECE』に対する軽視は不当であった気がしている(笑)) この作品、ある種の受難劇として読んだ。全ての人間に流れる悪魔の血をより濃く引いた少年が生きる導を求めて盾となり誰よりも傷ついていくという展開はベタだがやはり響くものがあり、屋宜の作品に出てくるヴィランが「それが公然であるゆえに美学を志向しない」事もそれを対比している。 絵にしても、首一枚繋がった鬼が拳を振りかぶり、地下駐車場にて四天王の如く悪鬼を握りしめる主人公のような鮮烈なヴィジョンが垣間見れる所もあり、作者は寡作であるが、又違った性質の作品を読んでみたい気がする
この作品が大好きなので、連載開始号は大切に保管してあります。
【当時の想い出】
自分が子供の頃読んでいたジャンプは、暗黒期と呼ばれていました。
新連載と打ち切りのサイクルが非常に激しかった時代です。
しかし当時、お金のなかった自分にとっては好都合でした。
巻数の多いワンピースやナルトは、揃えるのが難しかったからです。
そんな中、連載開始したのがこのアイアンナイトでした。
読み切り版の「ゴブリンナイト」で心を掴まれていた自分は、当然この新連載に喜びました。
そして、第一話のクライマックスを呼んだ時の感動は今でも覚えています。
【アイアンナイトの魅力】
本作の魅力は大きく分けて二つあります。
一つは「敵」、もう一つは「終わり方」です。
〈敵〉
敵のバックボーンはほぼ描かれません。
同情の余地はなく、ただの悪党として立ちはだかります。
意思疎通が図れない相手だからこそ、強い恐怖心を抱くんだと思います。
近年のジャンプ漫画ではあまり見かけない演出なので、自分は好きです。
〈終わり方〉
打ち切りとは思えないほど綺麗に終わります。
短編として制作されたと言われても違和感ないほどです。
【最後に】
全3巻なので非常に揃えやすいです。
読み切り版も二本、単行本に載っているので、ifルート的な楽しみ方もできます。
未読の方は、ぜひ読んでみてください。