真っ暗だから覗きたくなる
一巻だけでは透桜子の深層心理は見えてこない。それでも、彼女の恐ろしさは伝わってくる。 最大限馬鹿になって先入観をなくして善意だけで見てみれば、父親に甘えてみたい優等生の女の子に見えなくもないかもしれない。2人きりのときだけ距離が近いのも、母親や学校での振る舞いと違うのも、不器用なだけと捉えられるかもしれない。 でも、それだけでは片付けられない後ろ暗さがある。 「再婚相手の娘がめちゃくちゃ甘えてきて困ってます」なんて気持ち悪いハーレム系コメディにありそうな設定なのに、その気持ち悪さをゾクゾクする恐怖にして表現しているのが面白い。 透桜子が何を考えているのかまだわからないけれど、深い闇が奥行きがあることだけは見えている。それが真っ暗だからこそ、見たくなるし見るのが怖くて引き込まれる。 透桜子の母親にも何か秘密があるのか?という点も気になってくる。今のところ可愛らしい母親でしかないけれど……。 透桜子の秘密を知りたいけれど、明かされないでほしい気もしている。 でも、はやく続きが読みたい作品。