怖い話とあったので、どんな幽霊が出てくる怖い話かと思いきや。
そういう方向ではなかった。 幽霊は出てくるけど、ちょっと違う。 清朝時代の、台湾の女性たちが描かれている。 そこから生まれた、悲しい運命の女性たちとその物語。 当時の女性たちは悪霊になったほうが自由で、できることも多いのでは、と主人公が思ってしまうほど、女性が許されていることは少ない。 さらに見知らぬ男に誘拐されかけて暴れても「娘の躾している、こいつは〜〜」といえば、周りはすんなりと納得する。 大きくなって結婚するとしても、持参金をたくさんもらえば、嫁入り道具は高価なものを用意しなければいけない。 ほとんどの人が貧乏な時代、酷な制度だ。 結婚したらしたで、妻は男を産めと期待され、もひ生んだのが女ならば、男でなかったことへの悲しみに加え、この子も自分と同じような人生を歩むのかと絶望に暮れる。 どうやって男を産むかという民間信仰もコラムに書かれているのだけど、書かれた方法の多いこと、多いこと。 そんな時代なので、女の子が生まれたら親が殺してしまうことも多々あったらしい。 その結果、女が少なく、結婚できない男が増えた。 そこで発明されたのが、幼女を家に迎えて育て、息子の嫁にするという方法。光源氏もびっくり。 というように、作中でも説明されているとはいえ、背景知識がたくさん必要なので、予備知識がない私は2周目でようやく話を追いながら読むことができた。 こわいというより、悲しい話だなと思った。 たしかに、幽霊は出てくるのだけど。