あらすじ

失踪・人身売買・不当な死など、様々な事件を大胆不敵に調査していく潔娘(ゲリョン)だったが、やがて自分自身にも危険が迫る。そしてついに結婚の道を歩み始め…。潔娘はついに事件の真相を突き止めることができるのか?
守娘 上
杜(ド)家の娘・潔娘(ゲリョン)は兄に可愛がられて育ったが、兄嫁や親戚に結婚を勧められることに嫌気がさしていた。そんなある日、川辺で見つかった女性の遺体に儀式を行う女性霊媒師と出会う。突如現れた小さな手形や誘拐・人身売買など、女性に対する様々な事件の秘密が明かされていく。差別と権力、鬼神と迷信、台湾に古くから存在する社会現象の裏側に、女性の視点から迫る。
守娘 下
失踪・人身売買・不当な死など、様々な事件を大胆不敵に調査していく潔娘(ゲリョン)だったが、やがて自分自身にも危険が迫る。そしてついに結婚の道を歩み始め…。潔娘はついに事件の真相を突き止めることができるのか?
守娘
台湾怪奇譚と抑圧される女性 #1巻応援 #完結応援
守娘 シャオナオナオ
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
『陳守娘(タン・シュウリョン)』の伝説を題材にした物語は、墨っぽい美麗な作画で幻惑と苦悩の物語へと私を誘う。 舞台は清代の台南。不思議な祈祷師・守娘と出会うのは、名家のお転婆お嬢様。彼女は謎の水死体を皮切りに、様々な女性の苦しみの声を聞き、寄り添い、行動し……そうしてある巨悪の構造に巻き込まれてゆく。 彼女は当時の女性達がする、纏足をしていない。その分自由に走れる彼女は「女性のために」走る存在。一方で守娘は主人公を導くが、彼女自身も元は苦しむ女性であり、意外と無力な存在でもある。 描かれるのは、女性にあまりにも厳しい家父長制社会。そこで女性達は神や霊に縋り、まじないに頼り……その社会構造を恨むのではなく、その社会構造をなんとか生きのびようとする。その理不尽に、男である私は言葉を失う。 さらに描かれるのは、人間社会の恐ろしさに対する霊的存在の無力さ。膨大な怨念が、せいぜい足に痣を付けて何かを知らせることしかできない。でも、それをきっかけに何かが変わる時……そしてやはり無力な守娘がお嬢様に「諦めない事」を伝える時、そこに残る僅かな希望に安堵する。 しかしその希望を前にして「この時代に生まれなくて良かった」と男の私は言いたくない。この怨念と希望は、何千年も受け継がれ、そしてこのままでは、これからも受け継がれる物だから。 この物語にある「女性の抑圧」は、恐らくあらゆる時代の女性に接続する。『アンナ・コムネナ』は千年前の皇宮でも女性は不自由だった事を描き出す。そして『女の子がいる場所は』は現代の世界中・そして日本の少女への抑圧を描く。 今を生きる男の私は「抑圧はなくなった」「差別は解消しつつある」と簡単に言ってしまいそうになる。しかし現在も抑圧される女性は存在し、その言葉は彼女たちにも届くかもしれない。彼女たちははどう思うだろうか。 この事はあらゆる差別・抑圧に通じる。苦しみは私に見えない所で生まれ続けるだろう事を、忘れずに言葉を紡ぎたい。