紫太郎は中学の入学式の直後、見知らぬ神社の前で目を覚まします。
そこで彼が遭遇したのは巨大な龍神。

龍神はなぜか紫太郎のことを“お嫁さん”と呼び、そのまま結婚の儀式をしようとするのですが、
結婚の意味も知らず、名前を持たなかったその龍神に「ヤマブキ」という名前を付け、紫太郎は少しの間ともに過ごすことになります。

龍神が神社に棲み着くきっかけとなった100年前の出来事、
龍神と紫太郎、それぞれの心の中に根を張っていた孤独な感情
そして紫太郎から失われていた神社で目覚めるまでの記憶と右目

それら全ての要素が一本の線で繋がった時、
紫太郎と龍神は“愛”という言葉の意味を知る―

そんなストーリーが300ページ超の大ボリュームで紡がれた1冊です。

読みたい
孤独な少年と龍神が”愛”を知るまでの物語 #1巻応援にコメントする
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スーサイドエイジ
青々とした影の下で息絶えるものたち #1巻応援
スーサイドエイジ
兎来栄寿
兎来栄寿
カドコミがリニューアルされ、とても見やすく使いやすくなった今日このごろ。アプリのBOOK WALKERもこの調子で使いやすくして欲しいです。 そんなカドコミで短期集中連載されていたこちら。 作者のあらやかわいさんは「絶対天使」や「ゾンビは走らねえんだよ」などでも感情を迸らせる女子高生たちを描いていましたが、この『スーサイドエイジ』も、まさに自身が高校卒業する際に同人誌として描いたもののリメイクだそうです。 第1話 天真爛漫な合田さん 第2話 陸上部の松田さん 第3部 惰性に生きる田嶋さん 第4話 優等生の真田さん 第5話 学校嫌いな金子さんと刈谷さん 第6話 卒業式 という目次を見ていただければ解る通り、概ね1話ごとにメインでフィーチャーされるキャラクターは変わりながらも、同じクラスで共に過ごす女の子たちを描いた群像劇です。 まず、シンプルに絵に惹きつける力があります。スタイリッシュな作画で描かれる女の子たちが魅力的で、特に三白眼になりがちな眼力の強さが良い。個人的な好みで言うと、4話でチラシを配っている金子さんの横顔と、6話の包帯の子が特に好きです。 そして、「女子高生」という特別な3年間が終わるに際して生じるさまざまなものが入り混じって消化不良を起こしそうな感情を若々しさを迸らせながら表現しているのも良いです。人生において、その瞬間にしか湧かないものというのがありますが、この作品にはそれがしぬかりと込めてあります。普通の人であれば、記憶の中から時と共に少しずつ薄らいでいくであろうものがこうして作品として永遠に残る形で留められている。それは、他者が触れれば自身の記憶に呼応して何かしらを呼び覚ます契機にもなり、またいつか歳を重ねて自分で読んだときにはその貴重さを噛み締める類の素晴らしい営みであろうと思います。今の私には、この昏さが眩しいです。 作品の構成もまたとても良く、1冊で綺麗に完成しているのも美しいです。あれだけ楽しい時間を一緒に過ごした友人でも、その裏にあるものをまったく知らないこともあります。努力していた人。怠惰な人。真面目な人。奔放な人。他者に行っていたさまざまなラベリングのその裏は、もしかしたらこんなだったのかもしれないと思わせてくれます。 ウクライナやパレスチナにいる同い年の子の存在を思えば日本に生まれて毎日食べるものや水に困らず今この瞬間に命が消されることに怯えなくてもよく、さまざまな権利があるだけでも幸せなはずです。しかし、たとえひとつひとつ大きな不幸を消していっても残った小さい不幸の大小が隣の人と比べてほんの少しでも大きければ結局不幸だと思ってしまうのが人間。難儀なものです。人間はどこでも幸せになれるし、どこでも不幸になれる。若いころなんて特に今の自分が宇宙のすべてであるのもよく解ります。ああ、苦い。 キャラクターで言えば、容姿的にも関係性的にも金子さんと刈谷さんのエピソードなどはどうしたって好きです。ここを煮詰めたものなども一回描いてみて欲しいなと思うくらいには、短い中に良さが溢れていました。 あらやかわいさん、瑞々しくて初期衝動に満ちていて、これからますますたくさんの傑作を描いていくであろうことを確信できる1冊で今後が楽しみです。
お見合いにすごいコミュ症が来た
もしもお見合いに虚無僧女子が来たら #1巻応援
お見合いにすごいコミュ症が来た
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兎来栄寿
兎来栄寿
Twitter(現X)で掲載した読切が大反響を呼び、連載化された異色のラブコメです。 40歳の会社員伊丹は、婚活サービスに登録して1年ほど頑張っているもののなかなか良い相手に巡り会えずにいた男性。そんな伊丹に密かに思いを寄せる28歳の部下の園田さんがかわいくて仕方がありません。 園田さんは、自分の友達を紹介するという体で自身が虚無僧の天蓋を被ってコミュ症の「野田」と称して伊丹とのお見合いを断行します。そうして12歳差+相手の顔を見れない状態での不思議なお付き合いが始まっていきます。 『光る君へ』で『源氏物語』が盛り上がっている昨今ですが、かつては滅多に顔を見せることがない状態が普通だったわけで、今の慣習からすると特異には見えますがある意味では回帰的であるとも言えるのかもしれません。 普段会社では常にクールな佇まいである園田さんですが、ひとりになると思考も言葉もヒートアップして暴走していくさまがたまりません。何なら、この作品はそのシーンを見るために読んでいるようなところがあります。がんばれ園田さん、負けるな園田さん! 君に明日はある!! また、そんな園田さんが惹かれる伊丹の優しさと健気が応援したくなる感じで良いです。なぜ好きになっていったのか、どこに愛情が湧いてくるのかという部分のエピソードが良いですね。伊丹はいわゆる子供部屋おじさんではあるのですが、おじさんというものが女性からあまねく嫌われる存在であることを自覚して常に一歩引いたところにいようとする姿に親しみを覚えます。 ただ、母親と同居している家を手放せないなどの事情もあって婚活難易度が高くなっているところがあるのはリアル。もし結婚しても、一回りの年齢差があり特に男性側の年齢が高い場合は老後も気がかりになるのはその通りです。男性も40を超えてくると妊活もなかなか大変なこともあるでしょう。それでも、園田さんと無事に幸せな家庭を築いていって欲しいです。 余談ですが、4話で登場する虚無僧にやたら詳しい主婦が好きです。
東京宵待シンデレラ
女性向け風俗にまつわる群像劇 #1巻応援
東京宵待シンデレラ
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兎来栄寿
兎来栄寿
ドラマ化もされ大人気を博しながら先日最終話を迎えた『明日、私は誰かのカノジョ』ですが、いわばNEXT『明日カノ』となりそうな風格を感じる作品がこちらです。 女性向け風俗をメインテーマとした群像劇で、最初は小説家の女性・晴海の物語から始まります。中学時代の経験から恋愛に向いてないことを自覚しその時に死んだと思っていた感情が、女性向け風俗を利用することで想像もできなかったほど劇的に蘇っていくさまが描かれていきます。 サブタイトルが「アポトーシス」ですが、晴海の父親が元化学教師であるというところから夜職のマンガでしっかりとネクローシスとアポトーシスが語られるのは面白いです。そうした育ってきた家庭環境を含め登場人物それぞれにあるバックボーンが詳らかに語られていくことで、現実にもありふれていると感じるようなエピソードでも独自の色が生まれて深く入っていけます。 また、晴海を担当するセラピストのアキトはその次の章ではまた別の立ち位置で違う側面を見せてくれます。仕事では誰かの支えになりながら、プライベートでは自分も他の誰かに支えられて生きている。この群像劇ならではのそれぞれのキャラクターの多面性を見せてくれる構成が、夜職などの華やかな面と現実の対照性とも非常にマッチしていて面白みを感じさせてくれる部分でもあります。さまざまな利用者やセラピストを始めその周囲の人物たちを通してそれぞれの物語を見せてくれます。 人間はつくづく幻想に生きているし、それでも幻想によって生きられるのならそれでいいと思います。ただ、幻想を追い求めすぎて幻想を見せてくれる現実の人間に縋り過ぎるようになってしまうと破滅の足音が忍び寄ります。それでも追い求めてしまうのが人間というものですが。強く共感できる部分もあり、共感はできないけど理解はできるという部分もあり。 近年は女性向け風俗がマンガで扱われることも急増してきたと感じますが、この『東京宵街シンデレラ』は最大手の「東京秘密基地」への取材も行いながら丁寧に描かれていることもあってリアリティがあります。 あとがきマンガにその取材の様子も描かれていますが、そこの元オーナーさんの浮世離れしたコメントの数々だけでも面白いです。 東ねねさんの絵もアシスタントの方が描く背景も非常に美しくヴィジュアル的にも人気を得やすいと思いますし、今後実写化などしてブレイクしていくことが大いに期待される作品です。
冒険者絶対殺すダンジョン
ダンジョンが熱い今だからこそ #1巻応援
冒険者絶対殺すダンジョン
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兎来栄寿
兎来栄寿
『ダンジョン飯』や『葬送のフリーレン』や『俺だけレベルアップな件』といった大人気作品のアニメ版でダンジョン攻略が現在絶賛放映中で、先日は弐瓶勉さんの最新作『タワーダンジョン』も1巻が発売し、いまだにTLでは『シレン6』が盛り上がっている世間がダンジョンに湧く今、最高のタイミングで満を持して発売されたこの『冒険者絶対殺すダンジョン』。 昔テクモの『刻命館』というゲームのシリーズが好きでした。普通のゲームは冒険者としていろいろな場所を旅するのですが、『刻命館』シリーズはそうした冒険者のような者たちを含めて侵入者を罠に嵌めて殺していくゲームです。罠によるコンボを作るのが非常に楽しかったですね(第1作はメモリーカードを9ブロックも使うので大変でしたが)。 本作は、まさにそんな『刻命館』シリーズのような楽しみを味わえる道満晴明さんの最新作です。 トラック事故で死ぬと冒険所に、落ちてきた飛行機のエンジンに潰されるとダンジョンのフロアスタッフに転生するという世界で、見事に飛行機のエンジンに潰されてしまったナハトとアイネのふたりが主役となり、毎回さまざまな方法で冒険者を待ち受けたり逆に自分たちが死んで復活(リスポン)したりする物語です。 道満晴明さんらしい、あっけらかんとした下ネタ(サキュバスに前立腺の位置を教えてもらったり、MM号が出てきたり)やメタさ(冒険者がエリクサー症候群で使わなかったエリクサーを回収して保管していたり、「ここだけSNSに拡散されたらやべえ奴〜〜」というセリフだったり)が随所に出てくるのも流石で好きです。マンドラゴラの描き方や設定ひとつとっても、これぞ道満晴明さんと膝を打ちます。 また、特に6話や14話などは短編で設定を活かしながら巧く落とすのが得意な美点もよく出ています。最後にブレイバーンのような最新のネタまで放り込んでくる辺りも流石です。 かわいい絵柄でありながらそこそこエロスとバイオレンスが盛られていますが、その辺り込みで美味しく食べられる方にはお薦めです。
ラスボスラブデス/ラスボスラブデス
ラスボスがヒーローを鍛える真の理由とは? #1巻応援
ラスボスラブデス/ラスボスラブデス
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兎来栄寿
兎来栄寿
『グリーングリーン』、『私立アキハバラ学園』、『CARNIVAL』、『グリザイアの果実』などのフロントウィング作品や『神様家族』、『南青山少女ブックセンター』などでも知られる桑島由一さんが原作、『オヤマ!菊之助』の瀬口たかひろさんが作画を担当する作品です。 昨シーズンは『16bitセンセーション』が放映されさまざまな郷愁に駆られていましたが、昨日は『同級生2』のリメイク発売が発表され『夜勤病棟』リメイクが発売。『ヘブンバーンズレッド』は『Angel Beat's』との第二弾コラボで盛り上がっており、往年の界隈の熱が現代にも感じられることに目を細めます。 田中ロミオさんや丸戸史明さんなど強い作家性を持った方々もマンガ原作という形でも活躍する昨今、桑島由一さんも参戦してきたのは熱いです。 1ヶ月前に天からの啓示を受けて、悪と戦う正義のヒーローとなった3人の少女たち 「シールド」の渚楓花(ふうか)。 「スピード」のジュリ。 「パワー」の奏音(かのん)。 そして、彼女たちを統べるアルペジオ。 しかし、悪の組織"髑髏団"のボス・ダークスカルの圧倒的な力に完敗した後、名前や衣装にダメ出しされ説教を受けてしまいプロデュースされることとなります。 ダークスカルがなぜ、敵である彼女たちに手を掛けて強く鍛え上げるのか? その裏には確固たる使命と目的があり、さらにその部分にもさまざまな裏がありそうで、類似する要素を持つ他の作品群との差異化が図れています。この辺りはやはり別の畑で長年経験を積んできた方々特有のセンスと地力を感じさせてくれるとことで、大きな見どころとなっています。冒頭にとんでもないカットバックがありますが、それが夢オチ的なものでないとするならそこに至る関係性の変遷などの過程、その前後も楽しみです。 また、細かい掛け合いにも味があります。 「神話からの引用はもうお腹いっぱいなんですぅうぅう!」 「七つの大罪もだ」 「タロットカードとチェスからの引用もな」 「不思議の国のアリスもです!」 というメタい会話など、好きです。 なお、キャラで言うと私は当然奏音ちゃん推し。世界の半分を敵に回すことを覚悟で言うと、奏音ちゃんには常にメガネを外して髪を下ろし黒髪ロング状態でいて欲しいです。ひとりだけ効果音にやたら「むち♡」「むちちっ…」と付けられる彼女の体の描き方は、瀬口たかひろさんの精髄を感じます。一方で、彼女たちの能力を発動する際などの気合の入った作画は迫力満点です。 巻末で「続巻は怒涛の展開」と言及されており、今後のストーリーがとても楽しみです。
日本の月はまるく見える
当事者が描くBLが規制された中国のリアル #1巻応援
日本の月はまるく見える
兎来栄寿
兎来栄寿
普段は意識せずごく当たり前のものとして享受していることが、少し時や場所が変われば当たり前ではないということはままあります。本作は、日本でデビューを目指すBL作家を通してそういった当たり前の大切さを気付かせてくれる作品です。 小6で男性同士の恋愛シーンに出逢って目醒めた主人公・夢言(ムゲン)。26歳になった現在もBLを愛好し漫画家として活動しているものの、中国国内において表向きBLは禁止されている状況で、担当編集にもBLを描けないとダメなら切ると言われ本当に好きなものを堂々と描けない苦しみを受けます。 かつては好きなようにマンガを描いてpixivにアップロードしていたものの、国の規制でブロックされてしまいVPNを使っても繋がらないことが増えてしまったという現状。 しかし、そこに日本の編集者からのメッセージが届きます。それと同時に、かつて自分の描いたマンガを破り捨てた幼馴染の致遠(チエン)との縁談が持ち上がり、夢言の運命は一気に加速していきます。 日々さまざまなマンガやアニメ、ゲームや小説、映画やドラマなどに触れている私たちですが、日本に住んでいると政府による検閲や表現規制、インターネット規制がごく当たり前に行われている社会がすぐ隣にあるということは忘れてしまいがちです。アジアを見渡しても、まだまだ各種表現への規制は厳しいところが多いです。 それらは決して対岸の火事ではなく、一歩間違えれば日本もこれから同じようになっていってしまう可能性があります。さまざまな理由で表現を規制しようとする人と、たとえ自分が嫌いなものであったとしても表現の自由は守ろうという人が日々鬩ぎ合っています。 街の書店でBLマンガを買って読んで、同じものを好きな人とネット上で知り合い語り合う。日本人なら当たり前のようにできるそのことが、どんなに難しくて稀有なことなのか。逆に言えば今この日本における状況がどれだけ恵まれたものなのか、ということを改めて思い出させてくれます。 この作品は、作者の史セツキさんが自身の体験も基にして描いているので、日本の作家ではなかなか出せないであろうリアリティが随所から滲み出ています。 興味深かったのは序盤の「双親角」。子供を結婚させたい親同士が互いの子供について情報交換をする場所のエピソードです。そこでは年齢・身長・卒業大学・仕事・年収が訊かれる様子が描かれているのですが、こういう場でも身長が特に重要なステータスとして出されるのだなぁと。中国人は面子を重んじるので身長も高いことが尊ばれ男女問わず身長が低いと侮られやすいとは聞いていましたが、特に女性に関してはそこまで身長を気にすることはない日本人からするとなかなかの文化の違いを感じさせられます。 『魔道祖師』などのように、国境を越えて大人気を博していく作品がこれからますます生み出されていくことでしょう。しかし、この作品の夢言のようにそれが叶わず苦心している人も世界にはまだまだたくさんいるはずです。そうした人たちが堂々と自身の才能を世に発していけるような世界を作る一助になるために、より一層仕事を頑張りたいと思わせてくれた作品です。
パリッコの都酒伝説ファイル
酒が生み出す強めの幻覚のようなマンガ #1巻応援
パリッコの都酒伝説ファイル
兎来栄寿
兎来栄寿
ルノアール兄弟×酒ライターパリッコさんという、混ぜたら危険な組み合わせによるとんでもないマンガの1巻が出ました。 この世には良い酔っぱらいと悪い酔っぱらいがいます。 悪い酔っぱらいは人に迷惑をかけます。一方、良い酔っぱらいは人の心を和ませて楽しませます。 この作品は、良い酔っぱらいの所業です。 さまざまな都市伝説やオカルトネタと、酒ネタを組み合わせることでとんでもない読み味を生んでいる作品です。 『MMR』の樹林さんがワインマンガの金字塔『神の雫』を生んだことを考えれば、あながち都市伝説と酒の組み合わせは悪くないのかもしれません(そうか?)。 とにもかくにも、語彙が強い。 「神秘交信飲酒(チェアネリング)」 「行きつけの路上飲みスポット」 「宝焼酎はノーマルでも  うめぇんだよおおお!!!!」 「麹次元の存在」 「上ミノタウロス」 「U うんと飲んでも  F 二日酔いにならない  O おじさんになろう」 「鬼ころダウジング」 「地球はホテイの焼きとり塩味だった」 「酒蒸しとは錬金術の一種なのです」 「缶詰太陽系」「缶詰グランドクロス」 「4千万年に1度の飲酒体験」 「キンミヤ焼酎はナスカ文明の遺したオーパーツ」 普通の人生を歩んでいたら、絶対に遭遇しないであろうパワーワードのオンパレードや細かいボケの数々には何度も声を出して笑ってしまいます。 チェアネリングサークルに宝焼酎4リットルを置いて交信飲酒することで極上宝焼酎を召喚する件とか本当に好きです。 ホッピー大好き人間としては、FILE.4の「ホッピーラビリンス」の回などは幕間コラム含めて愛しいレベルです。そう、このマンガの世界と現実をつなぐ役割を果たす酒好きならではのコラムもまた良いんですよね。 ホテイの缶詰が異様に美味しそうに描かれているので、静岡県民にも強く薦めたいです。また、地元である吉野の酒の八咫烏が登場する回は嬉しくなってしまいました。 酒蒸しに関しては本当に手軽で美味しそうなので、釣られて作ってみたくなります。実在する良い呑み処の紹介などもあり、酒好きは深い共感を得られる堪らない作品です。 基本的に1話完結型なので、どこから読んでも大丈夫です。どこか1話だけでも読めば、この謎の熱量の虜になる……かもしれません。 巻末を含めすべてが狂っていますが、狂気の沙汰ほど面白いのです。
レトロゲ
生粋の作者が描くレトロゲー×美少女 #1巻応援
レトロゲ
兎来栄寿
兎来栄寿
20年以上前のゲームをレトロゲーとするなら、プレイステーションやセガサターンはおろかプレイステーション2やゲームキューブやニンテンドーDSすら最早レトロゲーという時代。いかがお過ごしですか。良いんです、私たちは『ガンダムSEED』を観たり『FF7REBIRTH』をプレイして盛り上がって楽しく生きていましょう。 さて、皆さんレトロゲームはお好きですか。かわいい女の子×レトロゲームという組み合わせの作品も増えてきた昨今ですが、本作は一味違います。なぜなら、原作者があの『Final Re:Quest ファイナルリクエスト』の日下一郎さんだからです!(『ファイナルリクエスト』は私の激推し作品のひとつですので、未体験でしたらぜひ検索してみてください) 主人公・英川叡子の「サブカルにも詳しくレトロゲーの知識もYoutubeで学んだ」という設定は、時代だなあと感じずにはいられません。2000年以降に生まれた子がファミコンを知るのは親兄弟などに愛好家がいないと無理ですからね。カセットをふーふーした体験とか持ってなくて当然なわけですよ。 その成績優秀な叡子の更に上を行き、塾でいつもトップを取っている美原美子は、正真正銘本物のレトロゲー好き女子。いえ、好きというレベルを超えた何かの域に達しています。 第1話では、美子が「ファミコンを代表する1本は何か」と問い、叡子は『マリオ3』と答えます。わかります。アイテムで自由に空を飛べるようになってますますアクションに幅ができ、ミニゲームや満載の裏ルートや隠し要素なども最高ですからね。それに対して、とある理由により美子が返す答えは『'89 電脳九星占い』。もう、この時点で格が違っておりこのマンガの本気度が伝わりますね。 マンガに例えるなら、「『ガロ』を代表する1冊は何か」と問われて『カムイ伝』と答える一般人に対して『『ガロ』に人生を捧げた男 ― 全身編集者の告白』と答えるような感じでしょうか(余計伝わりにくそう)。 世間の皆が『ドラクエ』や『FF』に興じていた中で、それらもやった上で『アマランス』や『グレイストン・サーガ』にも興じていそうなオーラをビンビンに感じます。 3話では、究極の問題である『ドラクエ5』の結婚にも切り込みます。叡子はフローラ派であり、長年迫害を続けられつつもPS2版では幼少期にビアンカよりも早い登場があり大逆転を果たしたものの、『いたストDQ&FF』にて性格に難がありすぎてまた辛い思いをした私にとって推しポイントは違うものの勇気付けられる話でした。 5話の冒頭の懐かしいCMネタなどにも、往年のゲーマーならニヤリとしてしまうことでしょう。ドリームキャストで通信費がえらいことになって親に鬼詰めされていた友人は元気かな。 黒い「R7」などは、日下さんならではの、他の人にはなかなか描けない領域の濃ゆいレトロゲーネタでしょう。そういったものが好きな方には最高の作品です。もちろん私は大好きです。 クソゲーへの向き合い方も、愛を感じてとても良いです。さすがに6人プレイはしたことないですけど。 毎回のピアスやイヤリングに、そのときに扱う作品や事象が示唆されているのも面白いです。ただレトロゲームについてマニアックに語るだけでは終わらない展開も見どころです。 海外に日本のレトロゲームが流出していく流れが激化する昨今、ザリガニやミカドなどに行くのが好きな私としてはああいう遺産レベルのゲームを国内に保全する大きな場所ができてほしいですね。1巻最後に出てくる美子の家は憧れです。 ともあれ、レトロゲーマーとしては、「そんな話をもっとしてくれ…もっと……!」と赤木の前の銀次のようになる作品です。
アイアンファミリア
『オナ禁エスパー』作者が描く王道バトルファンタジー #1巻応援
アイアンファミリア
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兎来栄寿
兎来栄寿
『オナ禁エスパー』で一躍名を馳せた竜丸さんの、待望の連載作品です。 人造人間であるホムンクルスが存在する世界を舞台に繰り広げられる、随所に王道少年マンガ感が溢れているダークファンタジーとなっています。 王道であるが故に展開には既視感を覚える方、特に第1話はプロットに『チェンソーマン』を感じる方は少なくないでしょう。しかし、そこは竜丸さん。徐々に独自の持ち味を発揮していきます。 特に1巻で見どころなのは、3話の「新人の通過儀礼」。主人公テツヲが新たな生活を始める拠点となる蜂須館において、自称「かしこくて知的で頭の良い十四歳」シローと自称「十三歳で館一番の美女」カレンが課すとんでもない対決です。ここに竜丸さん節極まれり。 蜂須館の主であり母性と底知れぬ強さを感じさせる蜂須さんや、自称蜂須館で一番キュートなホムンクルスことクレコさんなどのキャラもとても良いです。立っているキャラは続々出てきますし、それぞれの固有の能力に伴った掘り下げも楽しみです。 また、 「多勢に無勢 去勢のひとつでも張ってみろ」 や 「血飛沫に反吐と硝煙」 のような七五調が滲み出る独特のセリフのセンスも小気味いいです。 時折混じるギャグとシリアスの塩梅も良く、濃ゆいオリジナリティを上手く人口に膾炙するように落とし込んである作品となっています。純粋な尖った作家性を見たい方は『オナ禁エスパー 竜丸短編集』の方をお薦めしますが、王道少年マンガを好きな方にはこちらもお薦めです。
パンチラッシュJKタラちゃん
『股間無双』作者が送る健康的JK格闘 #1巻応援
パンチラッシュJKタラちゃん
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兎来栄寿
兎来栄寿
『股間無双~嫌われ勇者は魔族に愛される~』のジブローさんが原作を務め、新鋭の斯道歩さんが作画を担当する本作。 身長2mを超える威圧感ほとぼしる風貌で中学時代に喧嘩無敗の「拳王」と呼ばれ恐れられた男・二階堂勝王(かつおう)は実は一度も戦ったことがないビビりで、本当に強くて武で頂点を目指しているのは双子の妹である多薇(たら)だったという設定で始まる健康的学園格闘マンガです。 ジブローさんの作品ということで『股間無双』をお読みの方であればご存知の通り、良い意味でとても頭の悪いマンガとなっています。だが、それがいい。 勝王いわく「学校で一番風紀を乱している」教師である吉良綺羅々(きらきらら)先生はとにかく「バルン」「バルン」という擬音を放ちながら初登場から4ページかけてその恵体を見せつけてきますし、多薇と最初に戦うことになる″鉄拳アングリー″こと中島亜久里(あぐり)も自身の癖を露わにする妄想を3ページかけて見せつけてきます。いい趣味してるぜアングリー! 1話読めば解る、健康的な描写への尺の割き方に安心と信頼のジブロー節を感じずにはいられません。「パンチラッシュ」の「ッシュ」の部分から色を変える装丁も、作り手の意志と意気込みを感じます。 斯道歩さんの高い画力が存分に生かされたパンチラやパンツ舐め構図の豊富さは、大変に健康的です。かと思えば、格闘アクション部分の描写も非常に力が入っていて迫力があり格闘マンガとしての楽しさもしっかりとあります。 スネ毛のキモさに定評のある″スネ一文字″ローキック菊郎のようなダサい名前のイケメンがブチ切れている性格で、しかもしっかり強いのは坂本ジュリエッタ的な何かを感じます。 巨乳で絶対領域持ちの黒髪ロングストレートJKがガチで戦うマンガが好きな方、『はぐれアイドル地獄変』や『一勝千金』が好きな方にオススメです。 それにしても、長谷川町子さんもまさかこんな作品のモチーフになるとは思っていなかったでしょう。
日向さんの恋する温度
このクーデレ女子が熱い! 2024 #1巻応援
日向さんの恋する温度
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兎来栄寿
兎来栄寿
『私の愛した母の恋人』の須野ゆき子さんが描く、クーデレ女子と冷え性男子のオフィスラブです。 早い、強い、かわいい。 三拍子揃っている理系女子の日向こはるは、いわばクーデレ界の吉野家です。 まず、早さについて。本作は展開がとても早いです。自分にはない社交性を持っていて周りを明るくすることのできる蒼井涼介への秘かな憧れが結実して、1話からこはるはデレを見せてきます。友人・同僚以上恋人未満の期間特有のもだもだ感を長く楽しみたいという方には向かないかもしれませんが、その分熱いイチャイチャを長く楽しむことができます。 次に、強さについて。27歳化学メーカー勤務のこはるは、昔から一人で勉強や研究に没頭していたタイプで人とのコミュニケーションに難があるタイプです。それ故に、恋愛についても疎い。理系女子として面倒くさい思考もしがち。しかし、だからこそ距離感がバグっていて強ムーブをしてしまうこともあります。通常だと女の子が冷え性で男の子がそれを温めるのが定番ですが、逆であるのも面白いです。1度燃え上がると実は激しいこはるの強火のデレをたくさん味わうことができます。中学生のような恋愛でありながら、大人なので健康的にやることはやる熱々さが良いです。 そして、かわいい。シンプルに須野ゆき子さんの描く女の子がかわいくて、ここぞという決めシーンでの表情が好(ハオ)なのはもちろんなのですが、社内でのイメージと実際のこはるのギャップはクーデレの真骨頂。おまけマンガなどでも非常に積極的ですが、不器用さも残したこはるの様子がたまりません。初々しくも大好きムーブを連発するこはるのかわいさを堪能してください。 クーデレヒロインが好きな方、理系女子の恋模様を見たい方にお薦めです。
あすなろ坂
「あすなろ坂」読んでみた
あすなろ坂
かしこ
かしこ
幕末から終戦までを描いた作品です。初代主人公もお婆ちゃんになるまで激動の時代をかけ抜けますが、物語の主役は各時代ごとに子供から孫そしてひ孫へと受け継がれていきます。 幕末編。主人公は会津藩でも指折りの名家へ嫁ぎますが、その後に幼馴染への恋心を自覚して妊娠してしまいます。しかし旦那さんが自分の子供として育てると受け入れてくれます。なかなかセンセーショナルな始まりです。ここから更に紆余曲折ありますが、幕末編の主人公の相手を思いやるピュアな夫婦愛には胸を打たれます! 明治編。出生の秘密を息子と娘は知りません。娘とお嫁さんが看護師や小説家になって女性の自立が描かれるようになり主役も変わっていきます。ただ幕末編の主人公もまだまだ若くて元気なのでそちらの生き様も目が離せません。 大正編。明治編の息子の子供達が主役になります。女優の夢を叶えて仕事に邁進する姉、思想家の夫と満州へ渡った家庭的な妹。まるで対照的な生き方がどちらも過酷な人生でした。関東大震災が起きて人々が混乱していく様子も描かれていたのが印象に残りました。 昭和編。満州に渡った妹夫婦の娘が主役です。訳あって孤児として育てられ勘違いから養女として主人公一家に娘として迎えられることになります。軍人の奥さんになりますが初恋の相手であるロシア人と三角関係になったり、時代も恋も怒涛の展開です。幕末編の主人公が大往生して走馬灯が流れるシーンは4代続いた物語の大団円に相応しかったです。 後書きに「10代の頃から男性の周りにいた女性達は戦争を止められなかったのかと考えていた」とあり、それが全編を通して真のある女性が描かれる動機になったんだなと思いました。また同じ女性でも仕事に生きがいを見出したり、命がけで家庭を守ったり、それぞれ違って多様性があるのがいいですよね。少女漫画だからどの女性も恋に対して一生懸命になってるけど、大事なのは精神的な自立なんだと学びました。もっと早く中学生くらいの頃に読んでたら人生も変わってたかもしれません!
スーサイドエイジ
青々とした影の下で息絶えるものたち #1巻応援
スーサイドエイジ
兎来栄寿
兎来栄寿
カドコミがリニューアルされ、とても見やすく使いやすくなった今日このごろ。アプリのBOOK WALKERもこの調子で使いやすくして欲しいです。 そんなカドコミで短期集中連載されていたこちら。 作者のあらやかわいさんは「絶対天使」や「ゾンビは走らねえんだよ」などでも感情を迸らせる女子高生たちを描いていましたが、この『スーサイドエイジ』も、まさに自身が高校卒業する際に同人誌として描いたもののリメイクだそうです。 第1話 天真爛漫な合田さん 第2話 陸上部の松田さん 第3部 惰性に生きる田嶋さん 第4話 優等生の真田さん 第5話 学校嫌いな金子さんと刈谷さん 第6話 卒業式 という目次を見ていただければ解る通り、概ね1話ごとにメインでフィーチャーされるキャラクターは変わりながらも、同じクラスで共に過ごす女の子たちを描いた群像劇です。 まず、シンプルに絵に惹きつける力があります。スタイリッシュな作画で描かれる女の子たちが魅力的で、特に三白眼になりがちな眼力の強さが良い。個人的な好みで言うと、4話でチラシを配っている金子さんの横顔と、6話の包帯の子が特に好きです。 そして、「女子高生」という特別な3年間が終わるに際して生じるさまざまなものが入り混じって消化不良を起こしそうな感情を若々しさを迸らせながら表現しているのも良いです。人生において、その瞬間にしか湧かないものというのがありますが、この作品にはそれがしぬかりと込めてあります。普通の人であれば、記憶の中から時と共に少しずつ薄らいでいくであろうものがこうして作品として永遠に残る形で留められている。それは、他者が触れれば自身の記憶に呼応して何かしらを呼び覚ます契機にもなり、またいつか歳を重ねて自分で読んだときにはその貴重さを噛み締める類の素晴らしい営みであろうと思います。今の私には、この昏さが眩しいです。 作品の構成もまたとても良く、1冊で綺麗に完成しているのも美しいです。あれだけ楽しい時間を一緒に過ごした友人でも、その裏にあるものをまったく知らないこともあります。努力していた人。怠惰な人。真面目な人。奔放な人。他者に行っていたさまざまなラベリングのその裏は、もしかしたらこんなだったのかもしれないと思わせてくれます。 ウクライナやパレスチナにいる同い年の子の存在を思えば日本に生まれて毎日食べるものや水に困らず今この瞬間に命が消されることに怯えなくてもよく、さまざまな権利があるだけでも幸せなはずです。しかし、たとえひとつひとつ大きな不幸を消していっても残った小さい不幸の大小が隣の人と比べてほんの少しでも大きければ結局不幸だと思ってしまうのが人間。難儀なものです。人間はどこでも幸せになれるし、どこでも不幸になれる。若いころなんて特に今の自分が宇宙のすべてであるのもよく解ります。ああ、苦い。 キャラクターで言えば、容姿的にも関係性的にも金子さんと刈谷さんのエピソードなどはどうしたって好きです。ここを煮詰めたものなども一回描いてみて欲しいなと思うくらいには、短い中に良さが溢れていました。 あらやかわいさん、瑞々しくて初期衝動に満ちていて、これからますますたくさんの傑作を描いていくであろうことを確信できる1冊で今後が楽しみです。
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