17歳から25年ヤクザとして生きてきて足を洗うことになった秋山。そんなところに「ヤクザになって助かりたい」と言うちびっ子・勇介が現れ、ほんの数時間面倒を見てやることに。

決して怒らない秋山。
純粋さと鋭さを併せ持つ勇介。
ヤクザが排除された世で仁義を忘れた極道と町の人々。

ヤクザにならなきゃ生きていけなかった中年と、辛い環境から逃げたくてもヤクザになれない幼児。
異なる時代に生まれた2人を主人公に据えることで、いつの世も社会の淀みに生きることは厳しいということが、残酷なまでに伝わってくる圧巻の読みごたえでした。
読み終わった後にタイトルを見てズシッときたところも最高……。

秋山が勇介の足を洗ってやるシーンで、アニメ『デスノート』のオリジナル演出を思い出しました。アニメにはLが雨に濡れた月の足を拭うというシーンがあり、死を前にしたイエスが最後の晩餐で弟子たちの足を洗う場面になぞらえているのだそうです(※「月は神ではない」という暗喩)。

秋山は終始勇介に優しいですが、靴も買ってやれない、銭湯に入ることもできない彼にできる最大の愛情表現が路地裏の水道で足を洗ってやることだと思うと……胸がいっぱいになります。
見ず知らずの子供の足を当たり前のように洗ってやる秋山の心根が好きです。思わずキリストの姿を重ねたくなるほど。

秋ヨシカさんという名前に見覚えがあると思ったら『萌えの血』の方でした。マジで何描いても面白いな〜〜この人!早く短編集出してください買います!!!

17歳から25年ヤクザとして生きてきて足を洗うことになった秋山。そんなところに「ヤクザになって...
読みたい
あしをあらう
本棚に追加
本棚から外す
読みたい
積読
読んでる
読んだ
フォローする
メモを登録
メモ(非公開)
保存する
お気に入り度を登録
また読みたい
認知症になった魔法使い

認知症になった魔法使い

おばーちゃんは魔法使い。でも近頃ちょっと認知症が進行中。魔法の力を受け継いでいない娘のアキコや孫のサトをハラハラさせながら、しもべ猫のガブとガルを従えて──ボケた魔法を発動中!! 新しいテイストのハートフル・ファンタジー・ホームドラマ、第1話!!

みどりの台所

みどりの台所

世界は肉を食べる植物――肉植に支配されてしまった。動物も人も居なくなった静かな世界に放り出されてしまった姉妹・みどりとさくらは、命をつなぐため大手通販会社“Jungle”の物流倉庫で暮らし始める。肉植のせいで外へ出られないさくらのために、みどりは限られた食材を工夫して思い出の料理を再現する。

萌えの血

萌えの血

これは、漫画の国に生きる親子の愛の物語――。有害なものの一つといわれる、劇画の父の血を継ぐつむぎ。自分の顔にコンプレックスを抱え、悩む日々。そんなある日、母の面影を感じる可愛い頰線が現れ…!?

厳しい人生を生きる2人の束の間の出会い #読切応援にコメントする
※ご自身のコメントに返信しようとしていますが、よろしいですか?最近、自作自演行為に関する報告が増えておりますため、訂正や補足コメントを除き、そのような行為はお控えいただくようお願いしております。
※コミュニティ運営およびシステム負荷の制限のため、1日の投稿数を制限しております。ご理解とご協力をお願いいたします。また、複数の環境からの制限以上の投稿も禁止しており、確認次第ブロック対応を行いますので、ご了承ください。