亡き親父と息子の確執。父と懇意の謎の少年にコメントする
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めくり、めぐる

紙の本の良さに感じ入る物語 #1巻応援

めくり、めぐる 中陸なか
兎来栄寿
兎来栄寿

先日五反田に行ったのですが、数年前にあおい書店が閉店してしまったのに加えて、とてもマンガの品揃えや陳列センスが良かったかつてのあゆみブックスであるTSUTAYA五反田店すらもなくなってしまっており非常に寂しくなりました。 最近は書店がどんどん減っています。私が子供のころにお世話になった書店も今はほとんど無くなってしまいました。それは中古書店も例外ではありません。 本作は中古書店を営んでいた父親を亡くした息子の物語です。本にばかり感けていて自分の方を向いてくれなかった父親を、サッカー少年であった主人公・樹(たつる)は厭っていました。そんな父親が亡くなってしまい、経営していた古書店「佳日」に父親を下の名前で呼複雑な想いを抱えていたところ謎の少年がやってきて物語の車輪が回り始めます。 『めくり、めぐる』というタイトルの通り、古書店にある本はみな読まれた誰かの手から、また別の誰かの手へと渡っていくもの。考えてみれば、そこに置かれている本はみんな誰かが読みたいと思ったり、あるいは誰かに読んでもらいたいと思われたりした本なのだと思うと、その1冊1冊の裏側にある見えない無限の物語に想いを馳せます。こればかりは、電子書籍ではできない紙の本ならではの魅力ですね。 本が繋ぐ、世代や背景などを超えて生まれる絆。たとえ言葉が通じない人とでも、本が共通言語となって心を交わし合うことができる瞬間が確かにある。自分が長年心の底から探し求めていた本や、昔は興味がなくて読まなかったけど年月を経てから改めて読んでみたら夢中になった本のことなどを想いました。 1話から本当にいいお話ですし、中陸なかさんの絵がまた叙情性溢れる物語にぴったりハマっています。思春期の少年たちの眼がいいですね。 今月に上巻が、1ヶ月後に下巻が発売となるので、まずは上巻だけ買って続きを楽しみにするのも良し、上下巻あわせて買って一気に読むのも良しです。

創作文芸サークル「キャロット通信」の崩壊

なぜ人は物語を綴るんだろう?

創作文芸サークル「キャロット通信」の崩壊
toyoneko
toyoneko

「今年読んでよかったマンガリスト」を作ったときに、今年読んだ読み切りで何が良かったかな…と思いだす中で、真っ先に思い出したのが本作だったんですよね というか、「ゼロ災でいこうっ」のシーンが思い浮かんだ(添付) 衝撃的なシーンでした 大人になっていく中で、飛行機事故を契機に、自分の「核」が創作ではなくなっていたということ(又は、自分の「核」は最初からそんなところにはなかったということ)、そして、現実を前に情熱は失われてしまっていたこと、そのことを自覚する物語 それが、本作に対する私の印象でした …が、読み返してみると、実はそうではなかった だって、主人公は、そのことを自覚しながら、それでも、創作をやめられないから 「他の選択肢がない」という理由で、やはり創作を辞めることができない 別の人生を歩めるなら歩みたいと泣くのに、それでも辞めることができない それどころか、キャロット通信は解散し、仲間もいなくなり、 誰も読んでくれない、読者すらいないのに、辞めることができない 「にもかかわらず…私は…懲りもせず」 「また繰り返す…どうして?」 「なぜ??」 たぶん、このセリフこそが、この作品の核心なのでしょう 主人公にとって、創作は、苦痛なのでしょう でも、主人公の救いは、もはや創作しかない だから、主人公は、創作に向き合い続ける 「赤羽」に登場するペイティさんが、 「やはり創らないと気が狂いそうだから創るってコトですね…」 と言ってました(増補改訂版4巻、ボーナストラック9話)、 「創作」というのは、もともと、そういうものなのかもしれないです あ、ところで、そんなふうに「創作」をやめることのできない綿本おふとん先生ですが、トーチwebで新連載とのこと!みんなで応援しようね! https://x.com/offton_w/status/1873197901478019149

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