救いにも呪いにもなる曖昧な定義、家族
子どもがいる男女が結婚し、一緒に暮らし家族になっていくお話。 家族ってものすごく曖昧で不安定なコミュニティだ。夫婦なんてそもそも他人同士で、離婚するという権利も与えられている。離婚したら子どもは父と母どちらかと離れることになるし、再婚したら父か母が増えたり兄弟姉妹ができたりするし。 離れてようが血縁があろうがなかろうが、全部含めて家族である。家族じゃないよと突き放す権利もたぶんある。 同じ境遇、同じ立場でも、同じだけ相手を思いやるのは難しいこと。相手の過去や親族との関わり方。血が繋がってないから、あるいは繋がってるから生まれる距離感。 家族にならなければ見えてこないもどかしさがリアルに描かれている。 最後は駆け足でハッピーエンドに向かっていった感があるけれど、許せないことも理解できないことも含めて、受け入れようと思えるものが家族なのかなあと感じた。 救いにも呪いにもなるようなテーマだからこそ、あたたかく終わってくれて嬉しかった。
一筋縄ではいかないようで。
最後の話だけ、広海視点になっている。
一人称が僕、性別は女、9歳。
タイトルとあらすじを考えると、彼女が主人公だったんだろう。
母がご飯を作らない宣言をしたシーンはとても好きだ。
互いに子連れ再婚して、お金は折半しているのに、家事は折半していない。
偏食の義娘、文句は言わないけど辛辣な感想を言う夫。
心が狭くなっていることを自覚して、ストレスを減らす方向に向かったんだなと思った。見習いたい。
子連れ再婚した夫妻の生活は、要所要所に、ドロドロしたものが覗き、それを覆い隠すように日常が続いていく。
描きたいことを描きつつ、一巻完結になるようにされたなら、突然の大団円に思えても仕方ないのかもしれない。
渦巻いたドロドロは横において、それぞれ幸せなこともあるよと分かったほうが、読んでいる方も後味が良いから。
とはいえ、漫画の端々から覗くドロドロは、嫌いではなかった。