一筋縄ではいかないようで。

最後の話だけ、広海視点になっている。
一人称が僕、性別は女、9歳。
タイトルとあらすじを考えると、彼女が主人公だったんだろう。

母がご飯を作らない宣言をしたシーンはとても好きだ。
互いに子連れ再婚して、お金は折半しているのに、家事は折半していない。
偏食の義娘、文句は言わないけど辛辣な感想を言う夫。
心が狭くなっていることを自覚して、ストレスを減らす方向に向かったんだなと思った。見習いたい。

子連れ再婚した夫妻の生活は、要所要所に、ドロドロしたものが覗き、それを覆い隠すように日常が続いていく。

描きたいことを描きつつ、一巻完結になるようにされたなら、突然の大団円に思えても仕方ないのかもしれない。
渦巻いたドロドロは横において、それぞれ幸せなこともあるよと分かったほうが、読んでいる方も後味が良いから。

とはいえ、漫画の端々から覗くドロドロは、嫌いではなかった。

読みたい
ヤンキー君と白杖ガール

目からの情報過多な世の中

ヤンキー君と白杖ガール
ゆゆゆ
ゆゆゆ

登場するヤンキーは顔の傷がなくて、服の趣味が良ければ、ものすごく人が良くて純愛している好青年。 弱視の女の子に「ポエマー」と言われるほど、大好きなユキコさんの前では好青年。 一線を越えると黒豹に戻るようだけど、ユキコさん第一なので基本は好青年。 コミュニケーションお化けのようなユキコさんも、見えないからそう変わらざるを得なかったとあって、相当な苦労の上であの人となりができていて、結果が一話冒頭の白杖ケツアタックなんだなぁと思った。 コメディになる部分は、NHKの番組バリバラでみた、障害者コントを思い出させた。 障害は触れるのを避けるべきことでもなく、彼女たちには当たり前なことで、その中でのからかいや日常の楽しみ、苦労が興味深く描かれている。 もちろんコメディ要素だけでなく、しれっとヤングケアラーとなっているきょうだい児の話や、人は年を取ればいずれ見えなくなることが描かれていて、でも重たい話のはずがドロドロしておらず、あっという間に読み終えてしまった。 視力がオレサマはなるほどなと思ってしまった。 かき氷シロップはオレサマを感じさせてくれる食べ物。食品に絞ると、嗅覚が2番手のオレサマ。 ちなみに登場キャラクターのなかでは、高校生男子らしくムラムラ大好きな青野くんがとても好きだ。

ワタシってサバサバしてるから

広告で見たことがあるやつだ

ワタシってサバサバしてるから
ゆゆゆ
ゆゆゆ

主人公が「私ってサバサバしてるから〜」っていうタイプの人間でした。 「みんな私のこと「かわいい」って言ってくれるけど本命にはしてくれないね?」で知ったのですが、主人公を「うわー何こいつ」って言いたくなるキャラクター(悪役)にして、当人が落ちていくさまを眺めるジャンルっていうのがあるんですね。 身近にいたら、さりげなくフェードアウトしたくなるタイプの性格ですが、「女の敵は女」というあたりはリアルです。 そして、男の中で生きようとしているわけでなく、同性と仲良くするわけでなく、人がいっぱいいるところに飛び込んでいるのに、孤高です。 読んでいて、どうしてそういう考えに?と思ってしまい、主人公なのについていけません。 本編を悪役サイドで見ている気持ちです。 とはいえ、ライバル視されている本田さんが主人公だと、「私ってメンタル強めだから〜」と、メンタルの強さを過剰に見せつけてくるキャラクターに改変されてしまいそうで、そんな本田さんは見たくないなと思ってしまいます。 よくよく考えれば、周囲がこれほどひいた反応を取っていてもへこたれず、ゴーイングマイウェイでいられる主人公の網浜奈美は非常にメンタルが強いです。 ビジュアルが本田さんと主人公が入れ替わっていたら、どんな感想になっていたんでしょう。

最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか

殴るためのお肉

最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか
ゆゆゆ
ゆゆゆ

このタイトルで、この絵柄で、いわば北斗の拳。 いや、くにおくんかもしれません。 陰湿なイジメが繰り広げられる恋愛モノかと思えば、メリケンサックが出てくるタイプの恋愛モノでした。 メリケンサックと恋愛モノって、同時に存在しうるんですね。 「パワー・アントワネット」と違い、ムキムキでもなく、筋肉でもなく。 公爵令嬢として腐った世の中を正すため、いや殴りたいから主人公は暴力をふるいます。 ストッパーが無くなった彼女は強いです。 ターゲットの名前がいつの間にか「肉」呼ばわりになっていて、こうやって人でないから殴ってよしと正当化するのかなとチラと思えば、その肉がことごとく、言い訳できないレベルの悪役たちで、世直しのためには、殴っとこうかという気持ちを読者に湧き立てさせます。 そして、時の女神の力を借りて、倍速やらなんやらブーストさせて、「ボンボコボンボコ」殴って蹴って。 暴力シーン(連続)もこのきれいな絵柄のママ繰り広げられ、「創竜伝」の龍堂兄弟のようなめちゃくちゃな振る舞いも、このきれいな絵柄のママ繰り広げられます。 とりあえず公爵令嬢なので、一線は越えていないそうです。不殺です。 すべて峰打ちなので大丈夫らしいです。さすがです。 暴力で解決はよくないけれど、早いんだということはよくわかります。

ぼくの家族

ぼくのかぞく
著者:南Q太
最新刊:
2019/11/01
ぼくのかぞく
ぼくの家族
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ぼくの友だち

ぼくの友だち

■単話版『ぼくの友だち』(1)収録話:「ぼくの友だち」短編の名手・南Q太が描く、心にあかりを灯してくれる珠玉の短編。「勇気出して言ったらよかったな あの時も」お互いの制服を交換し合った同級生との25年ぶりの再会を描いた、描き下ろし32ページ。

南Q太傑作短編集 ぼくの友だち

南Q太傑作短編集 ぼくの友だち

短編の名手・南Q太が描く、心にあかりを灯してくれる珠玉の5作品。すべて単行本初収録!この世界のこの場所でいま きみがとなりにいること【収録内容】お互いの制服を交換し合った同級生との再会『ぼくの友だち』(描き下ろし32ページ)。隣に越してきた画家・カオルとの出会いで、灰色の「ぼく」の人生が色づいていく『キリフィッシュ』。妻から仕事から逃げた先の離島で過ごす優しい時間『幸福』を含む全5作に加え、軽やかな文体がオンリーワンの魅力を放つショートエッセイ「伯林滞在記」も書き下ろしで収録。【もくじ】ぼくの友だち ……003キリフィッシュ ぼくの友だち(2) ……035カルトッフェルン ぼくの友だち(3) ……075サファイア ……113幸福 ……145【担当者より一言】ないものにされかけていたその孤独を、見過ごさない。さみしさの中にも、やさしい光を感じる作品集。南Q太ワールドを存分に堪能できる、2017年~2024年に描かれた珠玉の5編。何度も読み返したくなる、宝物のような1冊になりました。南Q太ファンはもちろん、余韻が深く感じられる物語をお求めの方にも、おすすめです!

ボールアンドチェイン

ボールアンドチェイン

Web版「GINZA」の2023年漫画コンテンツ・年間PV数1位を獲得。読むと心が奮い立つ話題作!誰かに決められた〈幸せ〉は、いらない。結婚と、離婚。人生の岐路に立たされた二人を描いた南Q太最新作。【この物語は…】冷え切った夫婦関係に悩む〈あや〉。性自認に揺らぐ中、結婚を控える〈けいと〉。まったく接点のなかった二人の人生が交差するとき…「女」だとか「妻」だとか。「普通」だとか「常識」だとか。自分を縛るものと闘い続ける「私たち」の物語。行き詰まりを感じる日々。自分の本心に向き合ったとき、人生が動き出す。

私の彼女

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小説家の金森ユウは、母の自死を題材にした小説を出版した。それが賞をもらい、話題となり、サイン会を開くまでになった。その帰り道、ユウは不思議な女の子・エルに出会う。しかし、ユウはその後から、小説が書けなくなってしまい、苦しむ。そんな彼女を励まし、支えてくれたエルと徐々に距離が縮まり親しくなっていくが――!?見逃せない南Q太の新境地!

ひらけ駒!

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将棋に夢中な小学4年生、菊地宝。そんな息子を見守るうちに将棋の魅力にはまっていく母。千駄ケ谷の将棋会館、子ども将棋大会、将棋スクール、町の小さな将棋道場、将棋まつり。ふたりの休日はいつだって将棋! どうしたら強くなれる? 将棋指しは変人ばかりなのか? 知れば知るほど惹きつけられる将棋の世界へようこそ! 作者42歳にしてはじめての週刊連載、緊張のなか始まった第1巻!!

トラや

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どこにでもいるふつーのカップル、直子(トラ)とけんちゃんの、何にもなくても幸せな時間。約束もない、束縛もない、愛だけがある日々。ずっとこんなふうにふたり、自由でもいいんじゃない?

ひらけ駒!return

ひらけ駒!return

小学3年生の菊池宝は将棋と出会い、いつしか夢中に! はじめて足を踏み入れた町の将棋道場、子ども将棋大会、プロ棋士による指導対局、憧れの将棋会館、将棋を通じて知り合った仲間たち。将棋が好きなすべての子どもたちが歩む道のりを辿った1巻。

POP LIFE

POP LIFE

漫画家のさくらと通信制高校に通う息子のかえで、イベント会社勤務の明海と小学生のたいちとるる。ふたつの母子家庭家族が支え合い共に暮らす、穏やかで自由で優しい毎日。「更新される日常の中でささやかだけど大事なことを紡ぐ日々。いいなー、こんな家庭に育ちたかったかも。」(岡村靖幸/ミュージシャン)

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