救いにも呪いにもなる曖昧な定義、家族
子どもがいる男女が結婚し、一緒に暮らし家族になっていくお話。 家族ってものすごく曖昧で不安定なコミュニティだ。夫婦なんてそもそも他人同士で、離婚するという権利も与えられている。離婚したら子どもは父と母どちらかと離れることになるし、再婚したら父か母が増えたり兄弟姉妹ができたりするし。 離れてようが血縁があろうがなかろうが、全部含めて家族である。家族じゃないよと突き放す権利もたぶんある。 同じ境遇、同じ立場でも、同じだけ相手を思いやるのは難しいこと。相手の過去や親族との関わり方。血が繋がってないから、あるいは繋がってるから生まれる距離感。 家族にならなければ見えてこないもどかしさがリアルに描かれている。 最後は駆け足でハッピーエンドに向かっていった感があるけれど、許せないことも理解できないことも含めて、受け入れようと思えるものが家族なのかなあと感じた。 救いにも呪いにもなるようなテーマだからこそ、あたたかく終わってくれて嬉しかった。