意欲作であり問題作
以前読んだ本谷有希子さんの「イママン」で、星里もちる先生が賛否両論の激しい作品だったと答えていて、そうだろうなあと納得したものでした。 正直、もちる先生のファンが望むハッピーさよりもビターな感情を与えることが多く、連載当時に読んでいて自分もほろ苦い気持ちになることが多かった記憶があります。 数年前、自分が腑抜けてるなあと思い、いっちょ喝を入れようかと思い久々に読み返しました。記憶にあるよりは、登場人物達に対して受け入れられる気持ちになっている自分がいて、それは20歳くらいの頃の自分よりも成熟した証なのか、それとも中年になってくたびれたせいなのか、判断がつきませんでした。 この作品を読んで何を感じるか、それは読み手の年齢や人生経験に左右されるかもしれません。嫌悪感を覚える人のことも、理解出来る作品ではあります。ただ、ラブコメの名手が紡ぐ必要があったと記憶されるべき作品であることは、記しておきたいと思っています。
主人公は同僚女性2人と関係を持っているがどちらのことも本気ではなかった。何に対してもドライな性格の主人公がある女との出会いによって人生を狂わされる…。
前半の目に光がない時のヒロイン浮世は次にどんなことを仕出かすのか予測不能でページをめくる手が止まらないくらい引き込まれました。ろくに化粧しなくても美人でスタイルが良くて雰囲気があるなんてそれだけでもう男の人は夢中になっちゃうだろうにあの言動ですからね。極め付けは「私みんなにいいって言われるんです」ってセリフかな。淡々とそんなこと言えちゃうところが怖かったです。
捨て身な浮世にどこまでも主人公が振り回され続けるので恐ろしい結末を迎えてしまうのではないかと心配しましたがそうはなりませんでした。ただあの終わり方も別にハッピーエンドじゃないような。何かきっかけがあれば壊れてしまうような幸せな気がしました。