松太郎の導入部分はこんなだったんだ
角界に入門してからの松太郎は読んでいましたが、入門前の中学生時代の話は今回初めて読ませて貰いました。乱暴者だけでなくかなりのワルだったんですね。持っていたイメージとかなり違いましたが、かえって新鮮に感じられ良かったです。それと、松太郎の絵が殆ど「あしたのジョー」のマンモス西で、破天荒な行動はジョーな所も笑えました。名作が多々あるちばてつや氏ですが、この作品は間違いなくベスト3に入る名作でしょう。
角界きっての暴れ者、坂口松太郎が大暴れする痛快・大相撲コミック! ▼第1話/鞭声粛々(べんせいしゅくしゅく)▼第2話/暴走トラック▼第3話/酒乱色乱馬鹿二人▼第4話/円満中退▼第5話/就職行脚▼第6話/オランウータン復讐鬼▼第7話/のたり奮戦す▼第8話/“松”獲得大作戦▼第9話/のたりのたりと東京へ▼第10話/“可愛がられる”タイプの新弟子●登場人物/坂口松太郎(現在19歳の中学3年生。近所の鼻つまみ者で、石炭運びで鍛えた怪力が唯一の取り柄)、南令子(松太郎が通う中学校の教師。松太郎のマドンナ)、島田先生(松太郎の担任)、西尾留次(廃坑の石炭掘りで生計を立てる変わり者)●あらすじ/落第を繰り返し、19歳ながら中学校に通う松太郎。担任・島田の小言もまさに馬耳東風で、職員室に呼び出されても、マドンナの南先生に目を奪われる始末。今日も学校を早退しては、のたりのたりと家路をたどる(第1話)。▼早退した松太郎は、いつものとおり廃坑へ行き、小遣い稼ぎに西尾の石炭運びを手伝うことに。ところが、松太郎のリヤカーが道をふさいでいたため、うしろから来た運送会社のトラックとさっそく一悶着。荒くれ運転手相手に、松太郎は怪力ぶりを発揮し……(第2話)。●本巻のハイライト/結局、学校を中退することになった松太郎。だが、長崎で巡業中の関取を相手に大暴れしたことから、その怪力ぶりが親方衆の目にとまり、ついには東京・両国の雷神部屋へ入門することになる(第8話)。
夏休みにちょうど10巻まで無料だったので読み始めたのですが、やっぱり面白いです。ちばてつや先生の作品を読めば読むほど「漫画家になりたい人はちばてつやを読むべきだ」という気持ちが強まります。10巻までだと松太郎はまだまだやんちゃで真面目に相撲に取り組んでないので、ほぼ田中が主役なんですよね。でも脇役にスポットライトが当たるのがちばてつや先生の真骨頂ではないでしょうか。どんなキャラクターにもそれぞれの人生があってストーリーを動かす為のただのコマじゃない。それを作為的に行っているのではなく、先生が作品に没入していることで生まれているんだと思います。
ちなみに松太郎が学校の先生を押し倒しちゃうエピソードを描いたら「子供も見るかもしれない雑誌なのになんてことを描くんだ!!」ちば先生のお母さんがすごく怒ってコンコンと説教された話を「ひねもすのたり日記」で先に読んでいたので、該当のシーンもなんだか微笑ましかったです。