結構ちゃんとした物語構成をとっている
ジャンプ+掲載。ドラゴンボールの世界でファンがヤムチャとして転生をし、大活躍する話。意外と良作。テンプレはしっかりと抑えて、そこそこ綺麗にまとめている。一見の価値あり https://shonenjumpplus.com/episode/10833497643049550354
転落事故をきっかけに男子高生がヤムチャに転生!? ブルマとつき合えると喜んだのも束の間、彼はヤムチャがやがて死ぬ事を思い出す…!! 次々と強敵が訪れるドラゴンボールワールドで生き残る為、今ヤムチャが最強を目指す!!
「※この感想は個人的な物であり、別にあなたがこの作品を好きな事を否定するものではないし、別にこういう作品を販売停止にするべきだとは一切言ってないし、俺も嫌いだとか言って相乗りしたがる奴に反応する気もありません。私の感想は私自身のものであり、他の人々の感想とは異なる場合があります。」
あほくさいけど今の時代、明確化しておかんと突っかかる奴や、自分の言葉を使う気の無い奴が出るので敢えて。
まあ絵は非常に鳥山タッチが上手く、お話自体はよくある転生物であり、原作のドラゴンボールでは噛ませ犬化や弱キャラ扱いが進みまくってしまったヤムチャに主人公が転生したという物である。
だがまず前編からして主人公に全く共感も好感も抱けなかった、その最大の理由はこいつのドラゴンボール好きという設定だが、自分のドラゴンボール好きな部分に凄い不快感が出るセリフ「どうせなら悟空やベジータが良かったああ―――――っ!!」である。
お前…ドラゴンボール世界、それもキャラに転生しといてそれかと、このセリフ時点で凄いドン引きした。
どういうことかというと、正直自分が転生したら、まず自分がヤムチャである事とか云々より、背景のデカいキノコにめちゃくちゃ感動する自信があるのだが、この主人公はそういう素振りをあまり見せず、しかも本当のヤムチャの魂がどこに行ったのか、そういう事に一切気を回さず、ブルマという彼女を思い原作知識で強くなろうとする…。
しかしハッキリ言うと、自分はドラゴンボール世界に転生したとしても、その世界を愛するが故に「観測者」にはなりたくても「参加者」になろうとは思わないので、この主人公のぐいぐい歴史を改変しようとする姿勢に本気でムカついてしまったし、「本物の」ヤムチャの魂がどうなったのかを描かない事にとにかく不快感がある。
悟空やベジータが良かったそうだが、じゃあお前悟空やベジータに転生してたら何する気だったんだよ、育ての親を殺し名誉や金に頓着しない自由人である悟空や、原住民を殺し地上げ業に勤しみながら家族を持ち穏やかになる自分に悩むベジータやる気だったのか?とてもそうは思えないし、そうじゃないなら大好きな原作の破壊者でしかないのよ。
原作知識でもっと強化というの自体は確かに二次創作でもあるあるネタだが、そもそもネタキャラ扱い甚だしいヤムチャも、手からビームぶっ放して地形変えるような連中相手と渡り合えるれっきとした超人(開始時点では子悪党数人なら楽勝な盗賊だが)の筈なのに、この主人公はヤムチャに転生したからヤムチャと同じことができるという理屈も凄い不快だった。
ミスターサタンだって一般的な範囲では相当な努力をしたからこそ、Z戦士には及ばぬまでも、世界人口は明らかになってないとはいえ数百万以上の一般人を押しのけて世界チャンピオンに君臨している筈。
なのに殺意を持った相手と渡り合う経験が現代にどれほどあり、いざそういう場面に遭遇した時に動けるか、喧嘩の経験が転生前に有るとかすらも碌に描いてない状態で、そういう事をやっても例え盗賊時代からでも「ヤムチャがそれまでやってきた努力の成果を横取りしてる」という感覚が強く、凄い拒否感が出る。
いわゆる転生物では、何だかんだ皆そういう部分に気を使ってか、本来なら死産の赤ん坊だとか、転生先の世界は元ネタとは関係ない世界にしてるのに、「ドラゴンボール」の世界だと描かれてて、自分自身がいわゆる「壁になりたい」型の思考なのも手伝い、主人公の転生ライフが不快極まりない。
仮に自分が転生するなら1万歩譲っても天下一武道会のアナウンサーまでで、たとえ死ぬと分かっていてもモブ一般人としてドラゴンボール世界を満喫して楽しみたいだけに、仮に転生先が原作に存在しないオリキャラとか、ヤムチャの身体になってもヤムチャと同じくらい戦えるようになるのに相応の努力が必要だったと描かれてるとか、幾つかフォローを入れていればココまでの不快感は感じなかっただろうけど、結局本物のヤムチャの魂を探そうともしない主人公というのに不快感は拭えなかっただろうし、
終始主人公のドラゴンボール愛を信じる事が出来ず、信じられないからラストの二人の舌戦は共感できる筈のオチなのに、その言葉を信じる事が出来ないので嫌いなままで終わってしまった。