少し古い少女漫画ライクな絵柄だけで語られると思いきや、登場する漫画家大先生たちの絵柄に似せた御大たちのビジュアルも登場。

あまり古い漫画は知らないのですが、それでも裏ばなしとして楽しく読めました。
リアルタイム世代なら、さらに楽しめると思います。

読んで一番良かったなと思ったのが、古い恋愛少女漫画ではよくある、咲き乱れる花が背景に描かれるシーン。
あれはなんでだろうと思っていた謎が解明したことです。

どうして突然花を背負うのか。
いえ、背負っているのではありません。
感情がたかぶると、花は咲き乱れるものなのです。
そう、ディズニー映画のプリンセスたちが、感情がたかぶると歌い出すように!

大先生たちはこのシーンにはこの花!と咲き乱れる花のイメージまであったようで、描いていた方々の苦労には頭が下がる思いです。

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薔薇はシュラバで生まれる―70年代少女漫画アシスタント奮闘記―

少女漫画はこうして作られる!超貴重なアシスタント目線のエッセイ

薔薇はシュラバで生まれる―70年代少女漫画アシスタント奮闘記― 笹生那実
まるまる
まるまる

日本の少女漫画文化の礎を築いた名だたる作家たちのアシスタントをつとめ、数々の「シュラバ」を経験した著者から見た、知られざる少女漫画制作の裏側。 その裏側には、薔薇が舞いアハハ..ウフフ...と笑顔が輝く少女漫画(例えが薄っぺらくて申し訳ない)イメージとは正反対の、寝食を限界まで犠牲にする作家とアシスタントたちの姿がありました。 ただ本書で描かれるのは、そのシュラバが如何に地獄だったかとかそういう話ではなく、いまやレジェンドと呼ばれる作家たちの名作誕生秘話や、それぞれの人柄がよくわかるエピソードなどです。 大変なこともたくさんあるけど、何よりみんな漫画が好きで描くのが楽しくてしょうがないというのが伝わってきます。 衝撃的だったのは、萩尾望都先生自ら作詞、作曲、歌、ナレーションをこなしたアルバム「エトランゼ」に収録された「アシスト・ネコ」の歌詞。シュラバの混沌をそのまま歌詞にした内容(のよう)です。聞いてみたい…。 あとは美内すずえ先生に、著者が新人の頃に犯した失敗を7年越しにお詫びしたときに放たれた言葉。これには本っっっ当に痺れました…!!! どんな言葉だったかはぜひ本編で確かめてください。

ヤンキー君と白杖ガール

目からの情報過多な世の中

ヤンキー君と白杖ガール
ゆゆゆ
ゆゆゆ

登場するヤンキーは顔の傷がなくて、服の趣味が良ければ、ものすごく人が良くて純愛している好青年。 弱視の女の子に「ポエマー」と言われるほど、大好きなユキコさんの前では好青年。 一線を越えると黒豹に戻るようだけど、ユキコさん第一なので基本は好青年。 コミュニケーションお化けのようなユキコさんも、見えないからそう変わらざるを得なかったとあって、相当な苦労の上であの人となりができていて、結果が一話冒頭の白杖ケツアタックなんだなぁと思った。 コメディになる部分は、NHKの番組バリバラでみた、障害者コントを思い出させた。 障害は触れるのを避けるべきことでもなく、彼女たちには当たり前なことで、その中でのからかいや日常の楽しみ、苦労が興味深く描かれている。 もちろんコメディ要素だけでなく、しれっとヤングケアラーとなっているきょうだい児の話や、人は年を取ればいずれ見えなくなることが描かれていて、でも重たい話のはずがドロドロしておらず、あっという間に読み終えてしまった。 視力がオレサマはなるほどなと思ってしまった。 かき氷シロップはオレサマを感じさせてくれる食べ物。食品に絞ると、嗅覚が2番手のオレサマ。 ちなみに登場キャラクターのなかでは、高校生男子らしくムラムラ大好きな青野くんがとても好きだ。

ワタシってサバサバしてるから

広告で見たことがあるやつだ

ワタシってサバサバしてるから
ゆゆゆ
ゆゆゆ

主人公が「私ってサバサバしてるから〜」っていうタイプの人間でした。 「みんな私のこと「かわいい」って言ってくれるけど本命にはしてくれないね?」で知ったのですが、主人公を「うわー何こいつ」って言いたくなるキャラクター(悪役)にして、当人が落ちていくさまを眺めるジャンルっていうのがあるんですね。 身近にいたら、さりげなくフェードアウトしたくなるタイプの性格ですが、「女の敵は女」というあたりはリアルです。 そして、男の中で生きようとしているわけでなく、同性と仲良くするわけでなく、人がいっぱいいるところに飛び込んでいるのに、孤高です。 読んでいて、どうしてそういう考えに?と思ってしまい、主人公なのについていけません。 本編を悪役サイドで見ている気持ちです。 とはいえ、ライバル視されている本田さんが主人公だと、「私ってメンタル強めだから〜」と、メンタルの強さを過剰に見せつけてくるキャラクターに改変されてしまいそうで、そんな本田さんは見たくないなと思ってしまいます。 よくよく考えれば、周囲がこれほどひいた反応を取っていてもへこたれず、ゴーイングマイウェイでいられる主人公の網浜奈美は非常にメンタルが強いです。 ビジュアルが本田さんと主人公が入れ替わっていたら、どんな感想になっていたんでしょう。

最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか

殴るためのお肉

最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか
ゆゆゆ
ゆゆゆ

このタイトルで、この絵柄で、いわば北斗の拳。 いや、くにおくんかもしれません。 陰湿なイジメが繰り広げられる恋愛モノかと思えば、メリケンサックが出てくるタイプの恋愛モノでした。 メリケンサックと恋愛モノって、同時に存在しうるんですね。 「パワー・アントワネット」と違い、ムキムキでもなく、筋肉でもなく。 公爵令嬢として腐った世の中を正すため、いや殴りたいから主人公は暴力をふるいます。 ストッパーが無くなった彼女は強いです。 ターゲットの名前がいつの間にか「肉」呼ばわりになっていて、こうやって人でないから殴ってよしと正当化するのかなとチラと思えば、その肉がことごとく、言い訳できないレベルの悪役たちで、世直しのためには、殴っとこうかという気持ちを読者に湧き立てさせます。 そして、時の女神の力を借りて、倍速やらなんやらブーストさせて、「ボンボコボンボコ」殴って蹴って。 暴力シーン(連続)もこのきれいな絵柄のママ繰り広げられ、「創竜伝」の龍堂兄弟のようなめちゃくちゃな振る舞いも、このきれいな絵柄のママ繰り広げられます。 とりあえず公爵令嬢なので、一線は越えていないそうです。不殺です。 すべて峰打ちなので大丈夫らしいです。さすがです。 暴力で解決はよくないけれど、早いんだということはよくわかります。

薔薇はシュラバで生まれる―70年代少女漫画アシスタント奮闘記―

ばらはしゅらばでうまれるななじゅうねんだいしょうじょまんがあしすたんとふんとうき
著者:笹生那実
ジャンル:エッセイ
最新刊:
2020/02/27
ばらはしゅらばでうまれるななじゅうねんだいしょうじょまんがあしすたんとふんとうき
薔薇はシュラバで生まれる―70年代少女漫画アシスタント奮闘記―
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