めちゃくちゃ考えさせられた
自分の子供がいじめられた・・・という話は、よくありますが本作は、いじめた側の話。 というか、いじめ加害者・被害者双方の親がW主人公といっていいような話。 それぞれの視点で物語がすすむので、双方の状況や言い分がわかるのが、本作の特徴です。 最初は当事者同士で物語がすすむのですが、いじめの様子が動画に残されておりSNSで拡散され、名無しの正義感によって炎上。 いじめた側も、社会的に制裁をうけてしまう。 この一連の流れが今っぽくて、めちゃくちゃ考えさせられました。 自分自身、いじめた人間は、いじめられた人間と同じ苦しみを味わうべき論の人間だったのですが、実際、この様子を目の当たりにすると、びっくりするほどこれじゃない感がすごかったんですね。 目的が達成されたとはいえ、なんとも言えない後味の悪さが残るんです。 この後味の悪さってなんだろうって考えているのですが、結局、当事者間で何も解決していないことが原因なんだと思いました。 いじめた側が、そりゃもうゲッソリするほどいじめたことを後悔・反省しても、それが、こういうSNSで炎上して身バレして不特定多数の人間におもちゃにされるやり方だったのが、どうなんだろう?ってことなんですよね。 こんな再現性のない無責任なやり方ではなく、社会システムとして取り組んで欲しいとさえ思いました。 いじめも立派な犯罪として、隔離して、少年院みたいなところでブチこんで反省させるとかでもいいです。 また、いじめは100%いじめた方が悪いのですが、いじめられた側も一定期間で謝罪や反省を受け入れるようなこともして欲しいと思った。 恨み続けても、人生の無駄で何も解決しないことに気づかせて欲しい。 とはいえ、これは自分がいじめられたことがない人間なだけなので、実際、いじめ経験者は加害者がたとえSNSの不特定多数の人間からでも制裁をうけている様子に「ざまぁみろ」とか思うのだろうか。 そういう人にとって、モヤスカな内容なのかもしれません。 などと、めちゃくちゃ考えさせられる内容でした。
子育て漫画の延長線上にある作品だとは思いますが、それ以外の人が読んでも学びがありました。
自分がいじめを受けたもしくは我が子がいじめられたという手記は割と見かけますが、いじめをしていたという話はあまり聞いたことがありません。
創作物に登場するいじめっ子は家庭環境に問題を抱えていたり、そもそも倫理観がぶっ壊れていたり。
現実のいじめっ子も本当にそうなの?
両親に愛されていたらいじめっ子にはならないの?普通の価値観を持っていたらいじめっ子にはならないの?
この作品の中では、普通の家庭で両親に愛されて育った少女がいじめをしています。
我が子がいじめられた親が悩み傷つくのと同じように、我が子がいじめをしていた親も悩み傷ついています。
ごく一般的な人たちが加害者にも被害者にもなるからこそ恐ろしいのだと改めて気づかされます。
善悪は表裏一体などと言いますが、裏表はっきりわかれているのではなくグラデーションになっているんだろうな…なんてことを思いました。