果たして誰の目に「わるいあね」として映っているのか
「私はかつて、実の弟を誘拐した。」というインパクトのある帯の文句が目につく作品。言ってしまうと"禁断の恋愛"を描いている作品ではあるのだが、"禁断"だからこそ"姉"と"弟"それぞれの内心の吐露が真に迫る。姉は弟を思うためか罪悪感からなのか弟を遠ざけようとするし、弟は真っ直ぐに姉を求めるているようで記憶の中の姉と再会した姉との間で悩み苦しんでいる。でもひとたび出会ってしまうと行動が思考を上回ってしまう。いろいろな思考が巡りながら、"人が人を愛することのどうしようもなさ"を見せつけられているような気がする。 そしてこの作品で特筆すべきなのは、主人公が"姉と弟の2人姉弟"ではないということである。姉である日向子と弟の夏樹、そして夏樹の"双子の妹"の瑞樹。禁断の恋愛ともなれば周囲からの批判の目に晒されるという展開も往々にしてあるが、その目が他でもない身内、しかも親ではなく同胞の中にいるという息苦しさ。夏樹と瑞樹、そして他でもない日向子本人、果たして日向子は誰の目に「わるいあね」として映っているのか。 1巻まで読了